破産者(はさんしゃ)とは?

破産者とは、裁判所から破産手続開始の決定を受けた債務者のことを指します。

自己破産の申立てが認められ、裁判所から破産手続開始決定が出されると、申立人は法的に「破産者」という地位になります。

破産者になることで、債務の免除を受けられる可能性がある一方で、一定の権利制限も課されます。

破産者の定義と法的地位

破産者とは、債務の返済が困難になり、裁判所に自己破産を申し立て、破産手続開始決定を受けた人のことを指します。

破産手続開始決定が出された時点で、申立人は法律上「破産者」という地位を得ることになります。

法的定義 破産手続開始決定を受けた債務者を破産者と呼びます。
経済的状況 一般的に債務超過状態であり、自力での債務返済が不可能な状況にあります。
法的保護 債務者の再生と更生を目的として、一定の債務からの解放が可能になります。

破産者という地位は、債務整理の一種である自己破産手続の中で生じる法的な立場です。

破産者になるまでの流れ

債務者が破産者となるまでには、以下のような手続きを経ます。

  1. 債務者が裁判所に自己破産の申立てを行います。
  2. 裁判所が債務者の経済状況や債務状況を審査します。
  3. 裁判所が破産手続開始決定を下します。
  4. この決定と同時に、債務者は法的に「破産者」となります。
  5. 破産手続きが進行し、免責許可の審査が行われます。

上記の流れは一般的な自己破産の手続きですが、債務者の状況によって異なる場合もあります。

破産者に課される制限

破産者になると、以下のような制限が課されます。

財産管理・処分権の制限 破産者は自分の財産を自由に管理・処分することができなくなります。
資格制限
  • 弁護士、司法書士、税理士などの士業
  • 保険会社や証券会社等の役員
  • 宅地建物取引業者
  • 警備業の役員
クレジット等の制限 新規のクレジットカード作成や借入れが困難になります。
公的記録 破産の事実が官報に掲載され、信用情報機関にも記録されます。

これらの制限は一時的なものであり、免責許可決定が確定すると多くの制限が解除されます。

ただし、信用情報機関の記録は最長10年間残るため、その間はローンやクレジットカードの利用に制約が生じる可能性があります。

破産者の義務

破産者には、以下のような義務が課されます。

  • 財産開示義務:全ての財産を裁判所や破産管財人に正直に申告しなければなりません。
  • 説明義務:破産手続に関する質問に対して誠実に回答する必要があります。
  • 裁判所への出頭義務:裁判所から呼び出しがあれば出頭しなければなりません。
  • 居住地等変更の届出義務:住所や勤務先に変更があった場合は届け出る必要があります。
  • 破産手続への協力義務:手続の円滑な進行に協力する義務があります。

これらの義務に違反すると、免責不許可事由となり、債務が免除されない可能性があります。

破産後の生活と回復

破産手続が終結し、免責許可決定が確定すると、多くの債務から解放されます。

ただし、以下の債務は免責されないことがあるため注意が必要です。

免責されない可能性がある債務
  • 税金や公共料金
  • 養育費や慰謝料
  • 学資ローン
  • 故意または重大な過失による不法行為に基づく損害賠償
  • 詐欺的行為により負った債務

破産者の地位は一時的なものであり、免責許可決定後は新たな経済生活を始めることができます。

破産後も、基本的な生活に必要な財産(自由財産)は手元に残すことができるため、生活再建の基盤となります。

また、破産後に得る収入は原則として破産財団に組み込まれないため、新たな生活の資金として使用できます。

自由財産の例

  • 差押禁止財産(生活に必要な家財道具など)
  • 現金99万円まで(自由財産拡張の申立てにより増額可能な場合も)
  • 差押禁止の給与部分
  • 必要最低限の生活用品

これらの財産は破産しても手元に残すことができるため、生活の再スタートを切る助けとなります。

よくある質問

すべての借金が必ず免除されるわけではありません。

税金や公共料金、養育費、故意の不法行為による損害賠償など、免責されない債務もあります。

また、破産手続中に財産隠しなどの不正行為があった場合は、免責不許可となる可能性があります。

原則として、勤務先に破産の事実が通知されることはありません。

ただし、給与の差押えがある場合や、資格制限のある職業に就いている場合は、職場に知られる可能性があります。

また、官報に破産の事実が掲載されますが、一般的に官報を日常的にチェックしている人は少ないため、知られる可能性は低いと言えます。

個人差はありますが、破産後の経済的回復には通常数年かかります。

信用情報機関には最長10年間記録が残りますが、時間の経過とともに新たな信用を構築することが可能です。

免責許可決定後は新たな借金をせず、計画的な家計管理を心がけることで、着実に経済状況を改善できます。

破産者になったからといって、海外旅行が法的に制限されるわけではありません。

ただし、破産手続中は裁判所の許可が必要な場合があります。

また、パスポートの新規取得や更新には制限はありませんが、資金面での制約から海外旅行が難しくなる可能性はあります。

まとめ

破産者とは、自己破産の申立てが認められ、裁判所から破産手続開始決定を受けた債務者のことを指します。

破産者になると、財産の管理・処分権の制限や一部の資格制限など、一定の制約を受けることになります。

一方で、免責許可決定を受けることができれば、多くの債務から解放され、経済的に再スタートを切ることが可能になります。

破産者という地位は一時的なものであり、手続終了後は新たな生活を始めることができますが、信用情報機関に記録が残るため、一定期間は金融取引に影響が出る可能性があります。

自己破産を検討する際は、メリットとデメリットを十分に理解し、自分の状況に最適な債務整理方法を選ぶことが重要です。

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