債務整理とは?手続きの種類や特徴、知っておくべきメリット・デメリット
債務整理とは、キャッシング、クレジットカード、住宅ローンなど、さまざまな借金の負担を軽減できる法的な手続きです。
主な方法として、任意整理、個人再生、自己破産、特定調停があり、それぞれの状況に応じた選択が可能です。
債務整理を行うことで、借金返済から解放され、新たな生活を始める機会を得られます。一方で、手続きによって信用情報への影響や一定の制限も生じるため、各手続きのメリット・デメリットを十分に理解することが重要です。
このページでは、債務整理ごとの手続きについて、その特徴や効果、期間、費用などを詳しく解説しています。
債務整理とは?
債務整理とは借金を減額またはゼロにして返済計画を見直す手続きです。国民の6.4人に1人が借金をしていて、その中の6~10人に1人の割合で債務整理をおこなっていると言われてます。
債務整理には、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4つの手続きがあり、手続きによって大きく変わるのが借金を減額できる割合と返済期間です。
ご自身の返済状況に合った債務整理の選び方
任意整理または特定調停
借金を3~5年程度で完済できそうな場合個人再生
借金を1/5に圧縮すれば3年程度で完済できそうな場合自己破産
どうしても完済することが難しい場合
上記のように返済状況に応じた基準で、債務整理を選ぶことができます。ご自身の返済状況に合った手続きの詳しい特徴やデメリットとメリットをご確認ください。
ただし、上記はあくまでも目安です。ご自身に最適な債務整理方法を知りたい方は、司法書士や弁護士にご相談ください。
債務整理できる借金や支払いの種類について
債務整理は多くの借金問題を解決できる手続きですが、すべての債務が対象となるわけではありません。
ここでは、債務整理の対象となる借金と対象外となる支払いについて詳しく解説します。
債務整理の対象となる借金・支払い
金融機関からの借入 |
|
---|---|
クレジットカード関連 |
|
教育関連 |
|
その他 |
|
債務整理の対象とならない借金・支払い
公的債務 |
|
---|---|
扶養関連 |
|
損害賠償・補償関連 |
|
刑事関連 |
|
債務整理の対象となるかどうかは、債務の性質や発生原因によって異なります。不明な点がある場合は、必ず専門家に相談することをおすすめします。
また、債務整理の方法(任意整理、個人再生、自己破産など)によっても対象となる債務の範囲が異なる場合があります。
債務整理ごとの手続きの特徴やメリット・デメリット
毎月の返済額を減額できる任意整理
任意整理とは、司法書士や弁護士が貸金業者と交渉をおこなって、借金の総額と月々の返済額を減らす手続きです。通常の場合、利息をカットして完済までの期間を3~5年に変更します。
任意整理のメリット・デメリット
- デメリット
- ブラックリストにのる
- メリット
- 毎月の返済金額を減額できる
- 借金を減額できる可能性がある
- 返済期間がのびる可能性がある
- 将来利息をカットできる
- 遅延損害金をカットできる
- 督促をストップ
- 家族や職場にバレない
- 手続きに手間がかからない
- 保証人や担保に影響がないように調整できる
借金を約1/5に減額できる個人再生
個人再生は裁判所を通した手続きで、5000万円以下の借金を約1/5に減額し、原則として3年(最長5年)の分割払いに変更します。
減額後の借金を返済していかなければならないので、ある程度安定した収入が今後も見込めることが条件です。
個人再生のメリット・デメリット
- デメリット
- ブラックリストにのる
- 官報にのる
- 保証人に影響が出る
- 裁判所に出頭する必要がある
- メリット
- 借金を大幅に減額ができる
- 持ち家を手放さずに手続きできる
- 車を手放さずに手続きできる可能性がある
- 返済期間がのびる可能性がある
- 督促を止められる
- 給与差押さえを止めることができる
借金をゼロにできる自己破産
自己破産とは、自身の財産で借金を返済し、借金をゼロにする手続きです。
ギャンブルや浪費による借金ですと借金理由が問題にされる場合がありますが、正直に理由を話せば手続きをおこなった9割以上の人が、自己破産できていますのでご安心ください。
自己破産のメリット・デメリット
- デメリット
- 財産を処分しなければならない
- ブラックリストにのる
- 官報にのる
- 破産の手続き中に一部就けない職がある
- 破産の手続き中に郵便物を転送される
- 破産の手続き中に居住地を離れられない
- 保証人に影響が出る
- 裁判所に出頭する必要がある
- メリット
- 借金をゼロにできる
- 督促を止められる
- 差押えを止められる
安い費用で手続きできる特定調停
特定調停は、弁護士と裁判官が貸金業者との間に入って返済計画を見直す手続きです。手続きは簡易裁判所でおこなわれ、通常3~5年程度で完済する計画に変更できます。
特定調停のメリット・デメリット
- デメリット
- ブラックリストにのる
- 返済を続けられないと財産や給与を差押さえられる
- 家族にバレてしまう
- 過払い金が発生していても、現金として取り戻せない
- 裁判所に出頭する必要がある
- メリット
- 安い費用で手続きできる
- 毎月の返済金額を減額できる
- 借金を減額できる可能性がある
- 返済期間がのびる可能性がある
- 将来利息を
カットできる - 督促をストップ
- 保証人や担保に影響がないように調整できる
- 債権者と合意できなくても調停が成立する
債務整理後の生活への影響
債務整理後の生活では、いくつかの制限や影響が生じます。ここでは、具体的にどのような影響があるのか、そして制限がいつまで続くのかについて解説します。
債務整理後の信用情報
債務整理を行うと、信用情報機関(JICC、CIC、KSC)に記録が残り、以下の期間、情報が登録されます。
借入ができなくなる期間 | |
---|---|
任意整理 | 約5年間 |
個人再生 | 約5~10年間 |
自己破産 | 約5~10年間 |
この登録は債務整理をしたご本人のみに適用され、家族の信用情報には影響しません。
ただし、配偶者などが連帯保証人となっている場合は、その方の信用情報にも影響が及ぶことがあります。
債務整理後の仕事への影響について
債務整理後の仕事への影響は、選択した手続きによって異なります。
自己破産の場合
免責決定までの期間(通常3~4ヶ月)、一部職種に就けない制限があります。
- 保険外務員
- 警備会社の警備員
- 会社の取締役・監査役(一時的な退任が必要)
任意整理・個人再生の場合
- 特定の職業制限はありません
- 会社役員の制限もありません
多くの会社では、債務整理を行ったことを理由とした解雇は認められていません。公務員についても、債務整理だけを理由とした懲戒処分の対象とはなりません。
債務整理後の借入について
債務整理後の新たな借入については、以下のような制限があります。
- 信用情報機関に登録されている期間中は、新規の借入が困難になります。
- 住宅ローンについては、個人再生で住宅ローン特別条項を利用した場合を除き、債務整理中の物件の住宅ローンは継続できません。
手続終了後、信用情報の登録期間が経過すれば、新規の借入が可能になります。
ただし、事業用の借入や緊急時の借入については、状況に応じて金融機関が判断する場合があります。
債務整理後のクレジットカードについて
債務整理後のクレジットカードに関する影響は以下の通りです。
新規作成について
信用情報機関への登録期間中は、新規のクレジットカード作成が困難になります。ただし、デビットカードやプリペイドカードは作成可能です。
既存カードについて
自己破産・個人再生の場合は、すべてのカードが解約されます。
任意整理の場合は、手続対象としたカード会社のカードは解約されます。手続から除外したカードも、更新時に使用できなくなる可能性が高いです。
家族カードは、本人が契約者の場合、家族カードも使用不可になり、家族が契約者の場合、本人の債務整理には影響しません。
これらの制限は一時的なものであり、信用情報の登録期間が経過すれば、通常の金融サービスを利用できるようになります。
ただし、この期間を活用して、計画的な資金管理の習慣を身につけることが重要です。
債務整理の流れと期間
債務整理は個人で行うこともできますが、司法書士や弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。ここでは、債務整理を始めるにあたって、専門家への相談から手続き完了までの一般的な流れとそれぞれの債務整理にかかる期間を解説します。
すべての債務整理に共通する流れ
債務整理は手続きごとに完了までの流れが異なります。まずは、すべての債務整理に共通する流れを解説します。
- 専門家へ相談
- 委任契約
- 受任通知の発送
ここまでが、すべての債務整理に共通する流れです。上記以降のそれぞれの債務整理の流れは以下になります。
任意整理の流れ
任意整理にかかる期間 | 3~8ヶ月程度 |
---|
任意整理の流れについては、以下のページで詳しく解説しています。
個人再生の流れ
個人再生にかかる期間 | 1年~1年半程度 |
---|
個人再生の流れについては、以下のページで詳しく解説しています。
自己破産の流れ
自己破産にかかる期間 | 3ヶ月~1年程度 |
---|
自己破産の流れについては、以下のページで詳しく解説しています。
特定調停の流れ
特定調停にかかる期間 | 3~6ヶ月程度 |
---|
特定調停の流れについては、以下のページで詳しく解説しています。
債務整理の費用について
債務整理の費用は、選択する手続きや借金の総額、債権者の数などによって変動します。ここでは、各手続きの一般的な費用の相場を解説します。杉山事務所の債務整理費用についてはこちら。
任意整理の費用相場
着手金 | 1社につき2~5万円 |
---|---|
基本報酬 | 1社につき2~5万円 |
減額報酬 | 減額分の10% |
個人再生の費用相場
着手金 | 約50万円〜 |
---|---|
報酬金 | 着手金に含まれる |
申立手数料 | 10,000円 |
官報掲載費 | 13,744円 |
郵便切手代 | 1,600円(80円×15枚、20円×20枚) |
個人再生委員への報酬 | 約15万円〜20万円 |
自己破産の費用相場
着手金 | 約20万円〜40万円 |
---|---|
報酬金 | 着手金に含まれる |
申立手数料 | 1,500円 |
引継予納金 | 約20万円~(管財事件のみ) |
郵便切手 | 4,000円~5,000円程度 |
官報公告費 | 15,217円(同時廃止の場合) 13,000円(管財事件の場合) |
特定調停の費用相場
着手金 | 1社につき約2〜4万円 |
---|---|
収入印紙代 | 1社につき約500円 |
郵便切手代 | 1社につき約500円 |
債務整理の費用と相場については、下記のページで詳しく解説しています。
債務整理に関するよくある質問
原則として、会社に知られることはありません。債務整理は個人の法的手続きであり、勤務先への通知義務はありません。
ただし、給与の差押えがある場合や、自己破産時に収入の確認が必要な場合には、会社に照会が行く可能性があります。
また、会社からの借入がある場合は、その債権者として会社に通知されます。
携帯電話の新規契約は可能ですが、支払い方法に制限があります。
通常、債務整理中はクレジットカード払いができないため、口座振替や現金払いでの契約となります。
また、分割払いでの端末購入は難しい場合が多いため、一括払いでの購入をおすすめします。
任意整理であれば、配偶者に内緒で進めることも可能です。
ただし、自己破産や個人再生の場合は、同一生計の家族の収支状況も裁判所に報告する必要があるため、配偶者に内緒で進めることは難しくなります。
また、配偶者が連帯保証人になっている場合は、手続きの影響が及ぶため、事前に相談することをおすすめします。
債務整理は可能です。
借入先が不明確な場合でも、信用情報機関に照会することで、現在の借入状況を確認することができます。
また、専門家に相談すれば、借入先の調査から手続きまでサポートを受けることができます。
まずは手元にある請求書や返済予定表などを集めて、専門家に相談することをおすすめします。
一般的な企業への就職活動において、債務整理の経歴が問題になることは少ないです。
ただし、金融機関や保険会社など一部の業種では、自己破産歴などが採用の判断材料となる可能性があります。
なお、債務整理の情報は個人情報であり、企業が本人の同意なく調べることはできません。
債務整理で選ばれる杉山事務所
杉山事務所は、相談者の返済状況をくわしくお伺いして、4つの債務整理の中から相談者に一番合った手続きのデメリットとメリットについてくわしく説明します
メリットが感じられない場合は断っていただいて構いませんので、ご納得していただいたうえで正式にご依頼ください。債務整理の相談は何度でも無料です、安心して電話またはメールでご連絡ください。
債務整理・借金減額は無料相談をご利用ください。