自分でできる特定調停のやり方とデメリット

債務整理には一般的に弁護士や司法書士に依頼をして手続きをおこなう任意整理、個人再生、自己破産のほかに、特定調停という裁判所を通して自分でおこなえる手続きがあります。

特定調停は司法書士や弁護士に依頼をせず自分でおこなうため、費用が安く済むというメリットがあります。

費用を払うことが困難な場合や、平日の昼間に裁判所に出向く時間がある方にとっては自分で借金問題を解決するいちばん取り組みやすい手続きです。

特定調停とはなにか

特定調停とは、民事調停の特例として定められている債務整理の方法の1つです。民事に関する紛争を解決する方法には民事訴訟と民事調停の2つがあります。民事訴訟は裁判所が介入する訴訟手続きですが、民事調停は裁判所を通して当事者同士によって話し合いをして問題解決を目指す方法です。

債務整理には、当事者間の話し合いにより解決を図る方法として特定調停のほかに任意整理という手続きがあります。任意整理とは司法書士や弁護士に依頼をして、返済が楽になるよう、将来利息のカットをしたうえで月々の返済額を交渉をする手続きです。

特定調停の手続きも任意整理と同様で利息のカットや返済額の調整をする手続きですが、司法書士や弁護士に依頼をする必要がなく、自身で裁判所へ行き、裁判所の調停委員のアドバイスを受けながら解決を目指す方法という違いがあります。

特定調停でどのくらい借金が減るのか

特定調停をおこなうと今後の借金の返済額がどう変わるのかですが、まず借金の中に過払い金が発生していないか調停委員会が取引履歴から計算をおこないます。引き直し計算をすることで過払い金の有無や借金の金額を明確にしてもらいます。

過払い金があった場合には残っている借金から減額をしてもらいます。残った借金にたいして利息のカット、毎月の返済額をムリなく支払いできるように貸金業者と交渉をしていきます。

基本的に、過払い金が発生していなければ裁判所を通す手続きだからといって残っている借金の元金がへることはありません。ただし将来利息のカットができれば、今後の返済額はすべて残っている借金に充当されるので借金が減っていく実感が得られるでしょう。

特定調停の注意点は、残っている借金以上に過払い金が発生していたとしても、特定調停の手続きで過払い金を取り戻すということはできないということです。

借金以上の過払い金が発生している場合は、司法書士や弁護士に依頼をして任意整理という手続きに切り替えたほうがよいでしょう。

特定調停を利用できる条件

特定調停とは、経済的に破綻するおそれがある人が利用する債務整理方法です。毎月約束通りの金額を支払うことがむずかしくなってしまった人が対象となります。

返済が困難になってしまう可能性を持った人を特定債務者といい、特定債務者であることが特定調停を利用できる条件です。さらに、特定調停で合意できた場合、合意内容の通りに返済をすることができるということも特定調停の利用条件としてあげられます。

現在、収入がまったくないという人は利用者として対象外です。また、収入がなく、貯金が少しだけあるという人も条件から外れます。今後も返済可能となる収入を継続的に得る見込みがある人のみが特定調停を利用することができるのです。

減額後の借金が収入を考慮した上で現実的に返済できる金額であることも要件となっています。具体的に、返済できる金額の基準は残った借金を3年~5年程度で返せることが目安になります。

特定調停の対象とならないもの

借金の返済に苦しんでいる人の中には税金や保険料の支払いに苦しんでいる人も少なくありません。しかし税金、国民健康保険料、社会保険料などは特定調停の対象になりません。

国に対する借金については特定調停で解決することはできないため、滞納している金額もすべてきちんと納めることが必要となります。どうしても納めることがむずかしい場合には、役所などに行って分割払いの相談をするようにしましょう。

特定調停のデメリット

一定期間あらたな借り入れやクレジットカードの利用ができない

特定調停のデメリットとして、ブラックリストにのることになり一定期間、新規の借り入れやクレジットカードを利用することができないということが挙げられます。

ブラックリストとは信用情報機関に債務整理をしたという事故情報が登録されることで、これを一般的に「ブラックリストにのる」と表現します。

借り入れやクレジットカードの利用申し込みがあると、金融機関は信用情報機関に登録されている個人信用情報を確認します。返済が滞りなくおこなわれるかをチェックし、審査の判断材料とするのです。

個人信用情報にはクレジットの契約内容や支払い状況、残高といったことが登録されています。3つある信用情報機関の間で事故情報は情報共有されているため、基本的にどの信用情報機関に登録されていたとしてもブラックリストにのった状態をさけることはできません。

自分で手続きをしなければならないので手間と時間がかかる

特定調停の申し立てや調停当日に必要となる書類は、自分で用意することが必要となります。裁判所を通しておこなう手続きであるため、必要な書類や手続きはさまざまです。このため、特定調停をすると手間や時間がかかってしまうというデメリットが生じます。

また、特定調停の期日には裁判所に自分自身が出向かなければいけません。特定調停の期日は平日の日中におこなわれるため、仕事などをしている人の中には時間を確保することに負担がかかってしまうケースもあるのです。

督促がストップするまでに時間がかかる

特定調停は裁判所を通しておこなう手続きであるため、督促を止めるまでに時間がかかってしまうことが一般的です。相談中は返済が滞っている状態になるため、大きな負担となるのが貸金業者などの金融機関からの督促です。場合によっては、督促状が自宅にとどくことで家族に借金がばれてしまうというリスクがあります。

特定調停が開始されたことを貸金業者が認識した後は、貸金業者が返済の取り立てをすると罰則があり、督促状や電話がこなくなります。s家族に内緒で債務整理をしたいという場合は、司法書士や弁護士に依頼をすることで督促はすぐに止まりますので自分の状況に合わせて手続きを検討してください。

調停不成立の場合もある

特定調停は裁判所が仲裁に入りますが、あくまでも当事者同士の話し合いによって解決を目指す民事調停です。このため、自身の希望を貸金業者が合意しなかった場合には調停は成立しません。

相談者は大きな負担となっている借金の金額をできる限り減らしたいと考えることが通常です。一方、貸金業者は法的に違反とならない限度ぎりぎりまでお金を取り戻したいと考えます。そのため、両者とも意見を合わせることができず調停不成立になることもあります。

特定調停したあとに支払いが滞ると強制執行される危険性がある

特定調停は調停終了後、継続的に返済をおこなうことができるという条件のもとで申し立てができる方法です。しかし、実際に支払いが開始されたあとに返済することができなくなって支払いを滞らせた場合、特定調停では強制執行をされるリスクが生じます。

調停での和解時に作成された調停調書は、確定判決と同じ法的効力を持っています。このため相談者が調停調書に記載された内容に違反すると、貸金業者は給与の差し押さえといった強制執行の手続きをすることが可能となっています。

家族にバレる可能性が高い

特定調停の申し立てをすると裁判所から自宅宛てに通知が送られてきます。このため債務整理をしていることが家族にバレてしまう可能性が高くなります。家族に内緒にしたままで手続きをしたい場合には任意整理を検討しましょう。

司法書士や弁護士が代理人になることにより、貸金業者からの連絡などをすべて代理人宛てとすることができるからです。代理人から書類が送られてくる場合にも、事務所名のない封筒を使用するなど家族にわからないような対応をしてもらうこともできます。

特定調停では、過払い金請求ができない

特定調停では、過払い金請求の手続きまでおこなってもらうことはできません。特定調停制度の目的は、借金が増えて返済できなくなった人の経済的な再生を図ることです。

特定調停での裁判所の役割はあくまでも申し立て人が返済可能となるように調整をする仲介役であり、返済の調整をすること以外の手続きはおこなわれていないのです。過払い金があった場合には、過払い金請求の手続きをすることが必要となります。

調停委員が必ずしも債務整理の専門家ではない

特定調停は、裁判官と調停委員によって構成される調停委員会のもとでおこなわれます。申し立てをおこなうと事情聴取期日に裁判所に呼ばれ、調停委員から生活状況や収入、今後の返済計画についての聴取を受けます。そして調整期日には貸金業者が、借金額の確定や返済の方法といったことについての調整を調停委員から受けます。

調停委員は年齢や職業、社会活動の有無といった条件から社会的な経験や専門的な知識があるとみなされた人が選ばれるものです。

ただし、必ずしも債務整理について専門的な知識や経験がある人というわけではありません。そのため、引き直し計算をしない調停や将来利息が残ったままの調停など、結果的に申し立て人にとって不利な調停内容となってしまうケースもあるのです。

特定調停には、強制力がない

相談者と貸金業者の両者の話し合いによって問題の解決を試みるのが特定調停です。しかし、特定調停には両者の意見が折り合わずに調停不成立となるデメリットもありますが、それ以前に貸金業者が参加しないことによって合意に行きつかないケースもあるのです。

特定調停は、貸金業者に対して調停の参加を強制する法的な力はありません。調停への参加を拒否した貸金業者に対しては、特定調停とは別途交渉をしていくことが必要となります。

特定調停のメリット

費用が安くすむ

特定調停は、間に入る裁判所や調停委員のサポートで一般の人でも書類の準備や手続きの進行をサポートしてもらい、司法書士や弁護士といった専門家への依頼をせずに申し立てをおこなうことが可能です。

任意整理を選ぶと司法書士や弁護士に依頼する必要があるので費用がかかります。特定調停のコストは申し立てにかかる費用のみとなっているため、手間はかかりますが費用を安くできるメリットがあります。

一部の貸金業者だけを対象として申し立てることができる

特定調停では整理する借金を自分で選択することが可能です。このため、一部の貸金業者だけを対象とした申し立て手続きができます。

返済中の家や車のローンを手続きに含めると手放すことになってしまったり、連帯保証人を設定している借金の手続きをすると保証人に請求がいってしまい、迷惑をかけてしまうことになるため、かならず調停員に相談をしながら手続きをする貸金業者を選択してください。

調停委員が間に入るため貸金業者と直接交渉しなくて済む

特定調停では、裁判所で調停委員が仲裁に入り手続きを進めます。このため貸金業者と直接顔を合わせることなく交渉することが可能です。

調停が終了するまでの間、給与差押えなどの強制執行を止めることができる

特定調停の申し立て後は、裁判所は貸金業者に対して特定調停開始の通知をおくります。同時に強制執行停止の申し立てもおこなうと給与の差し押さえや、不動産の競売などといった強制執行を止めることができます。強制執行が停止されるのは調停が終了するまでの期間となっています。

ギャンブルや浪費が原因の借金でも手続きができる

申し立て人が経済的に再生することができるようにすることを目的としておこなわれる特定調停では、裁判所から借金の原因がどのようなことであるかを問われることはありません。

また、貸金業者からも原因について問われたり訴えられたりすることはなく、特定調停は原因がギャンブルや浪費といった場合であっても、理由に関わりなく手続きをおこなうことができる方法です。

官報にのらない

自己破産をすると政府が発行する官報という広報誌に、破産した人の名前や住所といった情報が記載されます。

官報は一般の本屋などには置いてませんが、大きな図書館や政府刊行物を取り扱うサービスセンター、各都道府県にある官報販売所で閲覧や購入することができるものです。場合によっては、闇金業者などが官報をみてダイレクトメールなどが送られてくるようになることもあります。

しかし、特定調停では官報に情報が記載されることがないため、人に知られるというリスクを防ぐことができるようになります。

職業や資格制限がない

債務整理をすることによって現在の仕事や今後のキャリアアップへの影響を心配する人も少なくありません。

自己破産をおこなうと手続きが終了するまでの一定期間について職業や資格が制限されます。具体的に制限される職業とは弁護士や不動産鑑定士といった士業と呼ばれる仕事です。

特定調停では手続きをすることによってこれらの職業につけなくなったり、資格が取得できなくなる制限は一切ありません。手続き中も自由に仕事を選択し、資格を取得することができます。

特定調停にかかる費用

司法書士や弁護士に依頼せずに手続きをおこなう場合、特定調停の申し立てで必要となる費用は収入印紙と予納郵便切手の代金のみとなります。

具体的には貸金業者1社につき500円の収入印紙が1枚と、手続き費用となる予納郵便切手が420円分です。2つの貸金業者を相手に調停の申し立てをする場合には、500円の収入印紙が2組と420円分の予納郵便切手2組で1840円の費用がかかることになります。なお、予納郵便切手の420円分は82円切手5枚と10円切手1枚で用意する必要があります。

ただし、1社への借金額の元本が166万6666円を超える場合には、あとで追加の支払いが発生する場合があります。また、予納郵便切手についても、手続き内容によっては手続き進行後に追加提出が必要となることもあります。

特定調停の流れと期間

特定調停の手続きの流れとかかる期間について説明します。

まず、特定調停を決断したら必要な書類をそろえて簡易裁判所に申し立てをする必要があります。裁判所は申し立てを受けると、調停の進行をする調停委員2名を指定して、裁判官1名と合わせて調停委員会を構成します。

その後、裁判所は申し立て人に調停期日を通知する書面の郵送をします。調停期日の通知は申し立て後、約1週間から2週間後です。そして、申し立てをした日から約1カ月から2カ月くらいを目安として第1回目となる調停期日が指定されます。

指定された調停期日に裁判所に出頭しなければいけません。第1回目調停期日では申し立て人のみが呼び出され調停委員から収入や生活状況、返済の状況などについて聞かれる面接がおこなわれます。2回目の調停期日がおこなわれるのは第1回目の調停期日の1カ月後くらいです。

第2回目調停期日以降からは1回目の面接での申し立て人からの聞き取りを踏まえて、申し立て人と相手方となる貸金業者、調停委員との間で話し合いをおこないます。だいたい3回目の調停期日で話し合いが終了することが一般的です。

話し合いの末、合意されれば調停調書が作成されて、その内容に沿った返済が開始されます。通常であれば、申し立てをしてから調停調書が作成されるまでの期間は2カ月程度です。

特定調停の手続きに必要な書類・準備するもの

特定調停の手続きをおこなう場合には、まず申し立てをおこなう前に「調査票」を作成する必要があります。調査票は返済が可能であるかを確認するためのもので、収入や借金に関する内容を記入します。

申し立てをする際の必要書類としては調査票とともに申し立て書の原本とコピーが1部必要です。さらに所得額証明書及び納税証明書、給与証明書又は源泉徴収票、家賃の振込書のコピーといった毎月の家賃がわかる書類、預金通帳等のコピーなど毎月の光熱水道料の金額がわかる書類も用意します。給与証明書などは勤務先から受け取ることができるものですが、取得ができない場合には直近2カ月あるいは3カ月分の給与明細書のコピーでも代用できます。

調停期日当日には金銭を借り受けた際の契約書など借金の内容が明らかになる書類や、申し立て書で使用した印鑑を持参する必要もあります。

特定調停とローンの関係

特定調停のデメリットの1つにブラックリストにのるということがあります。ブラックリストに掲載されている間はローンの審査が通りません。

特定調停の場合、ブラックリストにのる期間は5年となっているため、新規のクレジットカードやローンを検討している場合は、5年を過ぎてから申し込みましょう。

特定調停したあとの生活はどう変わるか

普段からクレジットカードを利用していた人の場合、特定調停をしたあともクレジットカードが使えるかを気にする方も多くいます。 特定調停は、どの借金を申し立ての対象とするか、自由に選択することができるので使用しているクレジットカードを残して特定調停することができます。

ただし、特定調停をするとブラックリストにのってしまうため、使用しているクレジットカードを残して特定調停したとしても、カードの更新時期などにクレジット会社が信用情報を確認して債務整理をしたという事故情報が記載されていれば、その時点でカードの使用を停止する可能性が高いです。

そのため、クレジットカードも含めて特定調停をして、現金で生活することに慣れていく方がよいでしょう。

特定調停するタイミング

特定調停になかなか踏み出すことができないという人は少なくありません。しかし、タイミングを逃してしまうと借金の返済に追われて苦しい生活を続けることになります。

特定調停をするタイミングは、このままでは返済がきびしいと自分が感じたときです。特定調停は今後の返済計画が実現不可能と判断されると、申し立てを受理してもらうことができません。このため、収入が激減したり仕事を失ってしまったりなど、完全に返済ができなくなる前のタイミングで申し立てをすることが重要となります。

特定調停と任意整理、どちらを選ぶべきか

特定調停と任意整理のどちらの方法が良いのか迷っている場合には、それぞれのメリットやデメリットを考慮した上で、現在の自分の状況に合う方法を見つけて選ぶことが大切です。

たとえば、費用を抑えたいと考えた場合には特定調停を選んだ方が良いでしょう。
また、多少費用かかかっても準備に時間をかけたくない場合や、家族に内緒で手続きを進めたいという場合には任意整理がおすすめです。

任意整理は司法書士や弁護士に依頼します。
司法書士や弁護士に依頼すれば、任意整理に必要な書類の作成や準備、複雑な手続きについての一切を任せて進めることが可能となるのです。
また費用も分割払いができるため、平日昼間は仕事で裁判所にいけないという方は任意整理を選択するケースが一般的です。

特定調停をする前に司法書士や弁護士に相談する

特定調停について説明してきましたが、特定調停を自分でおこなう最大のメリットは費用がほとんどかからないという点です。デメリットは、残っている借金以上に過払い金が発生していた場合に取り戻しができないことや、ブラックリストにのってしまうことなどが挙げられます。

自分でおこなう手続きのため、必要な書類を揃えたり、平日に裁判所へ出向かなければならないこともデメリットになり得ます。

特定調停には、費用を抑えられるメリットがありますが、自分で手続きを進めなければならなく手間と時間がかかります。

後悔のない手続きをするためにも不安や疑問がある場合には自分ひとりで決断せず、どちらの方法が自分にあっているのか司法書士や弁護士に相談しましょう。

杉山事務所では月3000件以上の借金に関する相談があり、相談者様の要望に合わせた解決方法を提案しています。相談料は無料ですので、気軽にフリーダイヤルやメールフォームからお問い合わせください。

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