自己破産の流れや期間・必要書類

本来であれば、借りたお金はきちんと返済しなければなりません。しかし、収入が減ったり家計の支出が増えたりして、どうしても返済ができなくなるケースもあります。借金の負担があまりにも重く、さまざまな方法を試しても返済のめどがたたない場合、自己破産を考える人もいるのではないでしょうか。

借金をすべてゼロにしてもらえる自己破産は、借金で苦しむ方にとって大きな助けとなります。ただし、自己破産は手続きが非常に複雑なうえ、膨大な書類の準備も必要です。申し立てをする裁判所や裁判官によって必要な準備が変わる場合もあり、個人ですべての手続きをおこなうのは現実的ではありません。

スムーズに自己破産手続きを進めたいなら、借金問題に詳しい専門家への相談・依頼がおすすめです。

自己破産手続の事前準備と必要書類

自己破産は、裁判所に申し立てたうえで返済が不可能だと認めてもらい、借金をゼロにする手続きです。養育費や税金など、必ず支払わなければならないお金を除き、借金の返済義務がなくなります。借金で苦しむ債務者には魅力的な手続きですが、債権者にとっては大きな損害です。

このため、自己破産の申し立ては簡単に認められるものではありません。裁判所は、申し立て人が本当に返済できないのか、自己破産が適切なのかなどを詳しく調査し、やむを得ないと判断した場合に限って自己破産を認めます。この調査に利用するために、自己破産手続きには多くの書類の提出が求められるのです。

必要書類にはさまざまな種類があるだけでなく、裁判所によって準備する書類や書式が異なることもあります。自己破産の申し立てをするときには、手続き内容などについて調べることに加え、こういった複雑な書類の準備もしなければなりません。

借金問題で精神的・経済的な負担が大きい中、事前準備に多くの時間と手間がかかる自己破産手続きをご自身でおこなうのは非常にむずかしいです。借金の苦しみからいち早く解放されるためにも、自己破産を検討しているなら専門家に任せることをおすすめします。

事前準備

自己破産は、どうしても返済が不可能な場合に認められる手続きです。ある程度の財産を持っていると、返済は可能と判断されるため基本的に自己破産は認められません。裁判所は、申し立て人が本当に返済にあてられる財産を持っていないのかどうか、正しく調査する必要があるのです。

このため、申し立て人は、所有する財産についての情報を裁判所に詳しく報告しなければなりません。自己破産をするときは、まずご自身がどのような財産を所有しているのか、正しく調べるところから準備を始めましょう。

返済が不可能かどうかを判断するための必要書類にはさまざまなものがありますが、代表的なのは家計簿です。自己破産の申し立てをする直前1~3カ月の家計簿を提出する必要があるので、準備しておきましょう。普段つけている家計簿があればそれを提出すればよいのですが、なければ家計簿を作成してから申し立てなければなりません。

家計簿の提出は必須とされているため、必ず準備しましょう。また、借金に過払い金が発生しているかどうかの確認も必要です。過払い金があれば、自己破産前にお金を取り戻し、生活費や税金の支払い、自己破産手続きの費用などにあてられます。

貸金業者から取引履歴を取り寄せ、引き直し計算をおこなって過払い金の有無を確認しておきましょう。引き直し計算をした場合は、計算書や取引履歴なども提出書類に含めます。

なお、自己破産は申し立てればすべてのケースで認めてもらえるわけではありません。たとえば、ギャンブルや浪費、株取引などの免責不許可事由があれば、自己破産手続きをしても借金がゼロにならない可能性があります。免責不許可事由にはほかにもさまざまな項目があり、どれに該当しているかご自身では判断がむずかしいです。

また、免責不許可事由に該当していても、専門家のサポートを受けることで自己破産が認められるケースもあります。免責不許可事由について不安がある場合は、お早めに弁護士・司法書士にご相談ください。

必要書類

自己破産を申し立てる場合、裁判所に必要書類をそろえて提出しなければなりません。基本的な書類は以下の通りですが、裁判所ごとに必要書類や書式が異なります。事前準備で調べた内容をもとに、必要なものをそろえましょう。

書類 提出が必要なケース
破産産手続開始及び免責申立書 必須
陳述書 必須
債権者一覧表 必須
資産目録 必須
家計の状況(自己破産直近1〜3ヶ月分の家計簿) 必須
住民票(発行から3カ月以内で本籍が省略されていないもの) 必須
戸籍謄本(発行から3か月以内のもの) 必須
給与明細書の写し(申し立て直前の2~3ヶ月分) 給与所得者の場合
賞与明細書の写し(1年分) 給与所得者の場合
源泉徴収票の写し(1~2年分) 給与所得者の場合
賞与明細書の写し(1年分) 給与所得者の場合
決算書(2年分) 自営業者の場合
市民税・県民税課税証明書(1~2年分) 源泉徴収票がない場合、確定申告書の控えがない場合、給与所得者で副収入があった、または修正申告をした場合
所有するすべての預金通帳の写し(2年分) 預金がある場合(合算表示されているものは個別に取引履歴を取り寄せる)
賃貸契約書の写し 借家に住んでいる場合(東京地裁は不要)
不動産登記簿謄本 不動産を所有している場合
固定資産税証明書 固定資産を所有している場合
固定資産評価証明書 固定資産を所有している場合
退職金を証明する書面 退職金が出る可能性がある場合(正社員で勤続3年以上の場合は退職金が出ない証明が必要)
車検証の写し 車を所有している場合
自動車の査定書 初年度登録から一定年数以内の場合(高級車・外国車は個別判断)
保険証券の写し 保険に加入している場合
保険解約返戻金証明書 積み立て式の保険に加入している場合(掛け捨てでも解約返戻金がないことの証明で必要な場合もある)
年金等の受給証明書の写し 年金等の受給証明書の写し
投資に関する資料 株やFXなどの投資をしている場合
購入か売却価格20万以上の財産資料(査定書など) 購入か売却価格20万以上の財産がある場合

自己破産手続きの流れ

自己破産の手続きは、以下の流れで進められます。個々のケースで異なることもありますが、大まかな流れを覚えておきましょう。

1.自己破産の申し立て

必要書類をそろえて裁判所へ申し立てます。

2.審尋

裁判所に出廷し、自己破産に至った経緯や今後のことなどについて裁判官と話し合います。なお、審尋は裁判官が必要と判断した場合のみおこなわれることが多いです。

3.破産手続き開始

提出書類や審尋に問題がなければ、裁判所は破産手続きの開始を決定します。

4.同時廃止と管財事件の振り分け

自己破産には「同時廃止」と「管財事件」という2種類の手続きが存在し、申し立て内容に応じて振り分けられます。大きな財産がない場合は同時廃止、処分して金銭に換えられる財産がある場合は管財事件です。

財産が少なくても、ギャンブルや浪費といった免責不許可事由に該当する場合は管財事件となります。なお、振り分けの基準となる財産は、次の通りです。裁判所により、財産とみなす基準は異なるのでご注意ください。

東京地裁の場合

東京地裁の場合、未払い賃金や保険などの解約返戻金、不動産や自動車・バイクなどの財産について、それぞれ20万円以上の価値がある場合は原則管財事件になります。

ただし、現金については、33万円以上という基準を別途設けているのでご注意ください。

大阪地裁の場合

大阪地裁でも、価値がそれぞれ20万円以上ある財産を所有する場合は管財事件となります。ただし、保有する現金が50万円を超える場合、および現金と普通預金の合計が50万円を超える場合には管財事件になります。自己破産をする方のほとんどは、同時廃止になるケースが多いです。

5-1.同時廃止の場合

同時廃止の場合、破産手続きの開始と同時に手続きが終了します。この後は免責の手続きに移るため、「9-1」へ進みましょう。

 

5-2.管財事件の場合

管財事件の場合、破産手続きの開始と同時に破産管財人が選出されます。破産管財人とは、破産者の財産を正しい価値で処分し金銭に換え、債権者に分配する人のことです。

一般的には、申し立てをした裁判所の管轄地域内にある法律事務所の弁護士が選ばれます。

6.破産管財人と面接

破産管財人は、破産者が所有している財産の処分や管理をするために、破産者と面接をおこないます。管財人が選ばれると裁判所から通知が来るため、連絡をとって面接日などを決めましょう。

管財人には裁判所管轄地域内の弁護士が選ばれるため、その事務所まで出向いて面接するのが一般的です。面接では、提出した申し立て書の内容をふまえながら、債務や資産、家計などの状況を確認します。

同時に、免責不許可事由はないか、あった場合に自己破産を認めるべきかどうか判断するために、さまざまな情報の聴き取りもおこなわれます。

 

7.債権者集会を開催

申し立てから約3カ月経過すると、裁判所にて債権者集会が開催されます。債権者集会は、破産管財人が貸金業者などの債権者に対し、破産者の財産調査や管理の結果などを報告するものです。

破産者に処分できる財産がある場合は、処分したうえで債権者に配当できるものがあればその説明もおこないます。

8.破産手続きの終了

破産管財人から必要な報告をすべて受けると、裁判所は破産手続きの終了を決定します。破産手続きとは、破産者の財産を処分して得られたお金を債権者に配当・弁済することであり、自己破産を認めるものではありません。

実際に自己破産が認められるかどうかは、破産手続き終了後におこなわれる免責手続きによって判断されます。

9-1.同時廃止の免責手続き

破産手続きが終わると、借金の返済義務を免除するための免責手続きがおこなわれます。同時廃止では、裁判所に行って裁判官と債務者が面接をしなければなりません。

免責手続きでも審尋がおこなわれ、裁判所は破産者と話をして免責が適切かどうかを判断するとともに、借金をゼロにすることについて債権者にも意見を求めます。

債権者への意見聴取には期限が設けられ、それまでに回答がなければ免責の許可・不許可の決定へと進みます。

9-2.管財事件の免責手続き

破産者に一定の財産がある管財事件の場合、「7」の債権者集会で免責についても話し合います。同時廃止のケースと同様に、免責が適切かどうかの判断や、債権者の意見聴取などをおこないます。

10.免責決定

債権者から免責についての意見を聴き取る期限が過ぎると、裁判所は債権者の意見や債務者からの事情聴取の内容をふまえ、免責の許可を決定します。免責の決定から2週間以内であれば、債権者は結果について異議を申し出ることも可能です。

11.免責決定の確定

免責が決定すると、2週間後に官報に掲載されます。官報とは政府が発行する機関誌で、法令に関する情報をはじめ、破産や相続などの裁判内容が掲載されているものです。

債権者から異議の申し出がなければ、官報に掲載されてから更に2週間後に免責決定は確定します。決定から確定までは約1カ月かかりますが、この確定をもって破産者は借金をゼロにすることができます。

もし、確定までに債権者から異議の申し出があれば、裁判所が免責決定について再検討したり、高等裁判所で判断されたりするため更に時間がかかります。

自己破産にかかる期間

自己破産にかかる期間は、自己破産手続きの種類によって大きく異なります。財産があまりない場合におこなわれる同時廃止では、破産手続きの開始と同時に自己破産手続きが終わるため、約3~4カ月ほどで済むことが多いです。

一方、管財事件では破産管財人の選出や財産の処分、債権者集会などさまざまなことがおこなわれます。このため時間がかかりがちで、自己破産が認められるまで12カ月以上かかることも少なくありません。ただし、これはあくまでも一般的な場合であり、裁判所ごとにスケジュールが異なることもあるのでご注意ください。

また、書類の準備などに時間がかかったり、不備が多かったりするとそれだけ必要な期間が延びてしまいます。少しでも早く手続きを終えたい場合は、専門家に相談しましょう。

自己破産後、信用情報が回復するまでの期間

自己破産は借金をゼロにできる効果的な手続きですが、注意しなければならないこともあります。その代表的な例が、信用情報に金融事故の記録が残ってしまうという点です。信用情報とは、個人の金融取引におけるさまざまな情報を記録したもので、貸金業者や金融機関などが主に新規申し込み時の審査に利用しています。

氏名・住所や借り入れ・返済の履歴のほか、自己破産などの債務整理や延滞といったあらゆる情報が記録されているのが特徴です。この信用情報に事故の記録があると、クレジットカードやローン、借り入れの審査などで断られるケースも珍しくありません。「金融事故を起こしたということは返済能力がないのでは」と判断され、貸金業者などが警戒するのです。

これが、いわゆる「ブラックリストに入る」ということです。ただし、自己破産をすると、永遠に借り入れやクレジットカードの新規申し込みができないわけではありません。金融事故の情報は、一定期間が経過すると信用情報から削除されます。

削除後なら、貸金業者などが信用情報を参考にしても事故の事実を知られにくいため、審査に通る可能性もあるのです。金融事故の情報が削除されるまでの期間は、情報を管理する信用情報機関によって異なるためご注意ください。

日本にある主な信用情報機関は、日本信用情報機構(JICC)、CIC、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3つです。自己破産の場合はJICCとCICで5年、KSCでは10年間にわたって事故の記録が残ります。いずれの機関も債務者からの申し出で情報を削除することはできませんが、誤った情報が記録されている場合などは修正の申請も可能です。

実際に信用情報から事故の記録が削除されたかどうかは、信用情報機関に開示請求すればわかります。たとえば、JICCの場合、スマートフォンや郵送、窓口などで請求手続きが可能です。一般的に、必要書類の提出から2週間前後すると郵送で回答が届きます。手数料は無料ですが、郵送時の切手代などは負担しなければなりません。

ブラックリストについて

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