官報に載っても自己破産や個人再生はバレない?載るタイミングと内容

一般の方にとって「名前を聞いたことはあるけど、具体的には知らないもの」の代表例と言えるのが官報です。債務整理を検討している段階では、「債務整理をおこなったら、官報に名前などが載るのでは?」といった疑問と不安が生じるものです。

現に、そういった質問は多く寄せられますが、官報について正しく理解しておくことで、不安を軽減できます。官報と債務整理の関係をきっちりと理解し、債務整理にまつわる心配事を小さくしたいなら、正しい情報を集めておくことが何よりも重要です。

官報とはなにか

官報は国が毎日発行している機関紙です。官報には、会社の広告や法令の制定や改定をはじめ、相続や破産を主題とした裁判の情報など、国から国民に知らせるべき事柄が掲載されています。国が特定の内容について発行している新聞のようなものだと考えてください。

官報に破産等の情報が載せられる点は、債務整理を検討している人にとっては心穏やかではいられません。「個人情報なのに、なぜ載せるのか」と疑問に思う人も多いです。しかし、官報に載せられる破産等の情報は、とくに債務者に存在を忘れられてしまっている債権者にとっては非常に重要です。

債務整理が始まると、原則、債権者には通知が送られますが、何らかの理由で債務者が債権者の存在を忘れていたら、忘れられた債権者には通知が届きません。その状態で、もし、官報に破産等の情報が載せられなかったとすると、忘れられた債権者は債務整理の事実に気づくことができません。

債務整理手続きに参加できなければ、債権行使の機会が失われてしまいます。官報に破産等の情報が載せられるのは、債務者に存在を忘れられている債権者の権利を守るためという理由があるからなのです。

官報を紙面で読む手段は、購入もしくは定期購読、国立国会図書館など規模の大きい図書館での閲覧です。また、官報は紙面で発行されるのみならず、インターネット上でも公開されます。ただし、無料で閲覧できるのは、最新の官報からさかのぼって30日分までです。有料会員は制限なく、過去の記事も閲覧できます。

自己破産や個人再生で官報に載ってもバレない理由

官報に自己破産や個人再生の情報が載せられるからといって、即、周囲の人などに知れわたってしまうわけではありません。第一に、官報を毎日読み込んでいる一般人がどれほどいるでしょうか。毎日購入したり、定期購読したりしている一般人は、周囲を見回してもめったにいないはずです。官報を毎日読むために大規模な図書館に通う人もそうそういません。

官報の主な読者は、金融機関や法律事務所です。金融機関は債務整理の情報を、法律事務所は法改正の情報を仕入れるために官報を読みこみます。また、官報に載せられる情報は多種多様かつボリューム満点です。膨大な情報のなかから、個人名を見つけるのは、よほど意識して探さないかぎり、難しいといえます。

「名前をインターネットで検索すれば、インターネット版官報に載せられた自分の名前が出てくるのではないか」との疑問もあるでしょう。しかし、インターネット版の官報はPDF(画像)でアップロードされているため、個人名で検索してもひっかかることはありません。

さらに、インターネット版官報は無料会員なら30日分しか閲覧できないため、インターネット経由で周囲に知られる可能性はさらに少なくなります。つまり、官報に破産等の情報が載せられたとしても、自分から進んで言わないかぎりは、周囲に知られてしまうリスクはほとんどないのです。

官報を金融機関以外の人に閲覧される可能性

周囲の一般人が官報を見ることはほとんどないとはいえ、やはり、特定の業種の人等は官報をチェックしていることがあります。

闇金からの連絡

官報を積極的にチェックしている業種の1つが、闇金業者です。闇金業者は、破産等で官報に載った人を、お金に困っている人や借金に抵抗のない人だと単純に考えて融資の連絡をしてくることがあります。

破産者マップ事件

2019年3月、「破産者マップ」というサイトがおおいにバッシングを受けました。破産者マップの運営者は、破産等で官報に掲載された人の情報をパソコンにとりこみ、破産者等の住所をGoogle地図上に反映させていたのです。このシステムにより、破産者マップを見れば、破産者が官報掲載時点でどこに住んでいたのかが地図上で一目瞭然という事態になってしまっていました。

個人情報保護の観点からみると、大問題以外の表現がみつかりません。破産者マップはメディアにも取り上げられ、多くの弁護士がサイト閉鎖に向けて団結した結果、個人情報保護委員会がサイト運営者に行政指導を行うに至りました。その結果、サイト運営者は破産者マップを閉鎖のうえツイッターで謝罪し、ようやく、破産者マップ事件は収束したのです。

官報に掲載された情報を見る方法

官報には膨大な情報が掲載されています。インターネット版官報を閲覧したり、購入または定期購読、図書館で紙面版官報を読んだりできますが、読み方を知らなければ、破産者等の情報が官報のどの部分に掲載されているのかも分からないでしょう。

官報は、「本誌」「号外」「政府調達」という大きな3項目によって構成されています。破産等の情報が掲載されるのは、3つの項目のうちの「号外」です。「号外」はさらに「省令」「告示」「資料」「公告」に分かれます。

「公告」のなかには「裁判所 破産、免責、再生関係」が掲載される欄が設けられており、破産等の情報もこの欄に記載されるのがルールです。

官報に記載されるタイミングと内容

自己破産や個人再生などの債務整理は、1日や2日で終わる手続きではありません。長い時には数カ月以上かかるのが一般的です。そうなると、「長い手続き期間のなかで、いつ官報に破産等の情報が掲載されるのか?」という疑問が生まれるでしょう。

官報に破産等の情報が載せられるタイミングと内容は、どの債務整理手続きを選ぶかによって異なります。

個人再生の場合

個人再生をおこなう場合、官報に破産等の情報が載せられるタイミングは3回あります。1回目が「再生手続開始決定」が下されたときです。

1回目は「裁判所の事件番号」「債務者(個人再生の申し立てをした人)の住所、氏名」「開始決定日」「決定の主文」「再生債権の届出期間」「一般異議申述期間」「裁判所名」が官報に掲載されます。これらは、債権者が、裁判所に債権を届け出るために必要な情報です。

2回目が「書面決議または意見聴取」をおこなう決定がなされたときです。個人再生は「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2種類の手続きに分かれます。書面決議は小規模個人再生を選んだ場合の手続きで、意見聴取は給与所得者等再生を選んだ場合の手続きです。

どちらの手続きでも、流れはほとんど変わりません。2回目の官報掲載の内容は、事件番号、住所、氏名という1回目と共通するものに加えて「決議に付する再生計画案」「再生計画案に対する回答期間」「裁判所が書面決議に付する決定をした日付」「裁判所名」です。再生計画は債権者にとっても重要な情報なので、官報に掲載されます。

個人再生の「再生計画認可決定」が下されたら、官報に3回目の情報掲載がなされます。認可が決定された場合の「事件番号」「住所」「氏名」「主文」「理由の要旨」「認可決定の日付」「裁判所名」が掲載される内容です。結論と、認可決定をした理由などをもれなく債権者に伝えるために掲載されます。

自己破産の場合

自己破産手続きの場合は、「破産手続開始決定」が裁判所から下されたときと、「免責許可決定」が下されたときの合計2回、官報に情報が掲載されます。ざっくりと、自己破産手続きの始まりと終わりのときに官報に掲載されるイメージです。

1回目の官報掲載では、破産手続きをおこなう人の「住所、氏名」と「各裁判所特有の事件番号」、「決定年月日」「決定の主文」「理由の要旨」「免責意見申述期間」「裁判所名」が載せられます。1回目の官報の役割は、簡単に言うと、どの裁判所にだれが破産手続きを申し出て、どういった理由で、いつ破産手続きを開始することにしたのかを債権者に伝えることです。

また、「債務者が破産手続きをおこなうことについて反対の意見等があるなら、〇〇裁判所まで申し出てくださいね」と債権者に呼びかけてもいます。2回目の官報掲載でも、事件番号や破産手続きをおこなう人の住所および氏名や裁判所名が掲載される点は同じです。

それに加えて、「免責決定を下した日」「決定の主文」「破産管財人である弁護士の名前」「破産債権の届出期間」「財産状況報告集会等(いわゆる債権者集会)の期日」「免責意見申述期間」も官報に載ります。免責決定が下された日に、債務(借金)が免除されるわけではありません。

官報に免責決定が掲載されてから一定期間の間、債権者は免責決定に対して不服を申し立てることができます。債権者のための手続きも引き続きおこなわれるため、それらがすべて終わってはじめて免責決定が確定して債務免除の効果が発生するのです。

官報に載らない債務整理の方法

債務整理のうちの「任意整理」という手続きを選んだ場合は、官報に掲載されません。なぜなら、任意整理は自己破産や個人再生と違って、裁判所を介さずにおこなう手続きだからです。裁判所を介さずに、貸金業者と直接交渉をして債務を減らす手続きであるため、自己破産や個人再生とは手続きの流れ自体も別物だと考えてください。

任意整理では、債務の減らし方を話し合いで決められるため、柔軟な解決が望めます。具体的には、利息制限法に照らし合わせながら債務の総額を減らしたり、毎月の返済額を減らしたりするための和解交渉を貸金業者との間でおこなうのが一般的です。

利息制限法で定められた以上の利率でお金を借りて返済を続けている場合は、利息を高く払いすぎている可能性があります。払いすぎた利息は返してもらう権利があるので、任意整理では、その権利を引き合いに出しながら交渉を進めます。

たとえば、払いすぎた利息が50万円分あるなら、「払いすぎた利息分の50万円を残りの債務額(借金額)から差し引いてください」と請求するのです。請求した時点で残りの債務額が60万円だった場合は、そこから50万円を引き算して残った10万円だけを返済すれば良いということになります。

ただし、実際の計算はもっと複雑ですし、交渉に時間がかかるかもしれません。払いすぎた利息の計算も、素人がおこなうのは困難です。

任意整理は、専門家に依頼することで時間と労力を大幅に節約できますし、交渉も有利にまとまる可能性が大きくなります。任意整理をおこなう場合は、まずは任意整理に精通している専門家探しから始めるのが失敗しないためのポイントです。

任意整理は官報に載らないため、誰にも知られずに債務を減額したい人にとっては最適な手段といえます。しかし、どんな債務でも任意整理できるわけではないので、その点は注意が必要です。

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