根保証(ねほしょう)とは?

根保証とは、継続的な取引関係から生じる不特定多数の債務を対象とする保証のことです。通常の保証と異なり、将来発生する可能性のある債務も含めて保証する特殊な形態です。

この保証形態は、継続的な取引関係がある場合に利用され、債権者にとっては包括的な保証を得られる一方、保証人にとっては責任が重大となる特徴があります。

根保証の基本概念

定義 継続的取引関係から発生する不特定多数の債務に対する包括的な保証
目的 現在および将来の債務を含めた包括的な担保の提供
法的根拠 民法第465条の2以下に規定

根保証は主に事業資金の借入れや取引先との継続的な取引関係において活用されます。債権者は将来発生する債務も含めて保証を受けられるため、取引の安全性が高まります。

根保証の主な特徴

被保証債務の不特定性 特定の単一債務ではなく、一定の範囲内で発生するすべての債務を保証対象とする
極度額の設定 保証責任の上限となる極度額が必ず設定される
継続的な保証機能 個々の債務の発生・消滅に関わらず、保証の効力が継続する

根保証の最大の特徴は、債務の発生前から将来的に生じるであろう債務まで包括的に保証することです。これにより、債権者は安定した取引関係を構築できますが、保証人にとっては予測できないリスクを負うことになります。

根保証契約の法的要件

書面による契約 書面または電磁的記録によって作成されなければ効力が生じない
極度額の明示 極度額(保証上限額)が明示されていない根保証契約は無効
期間の制限 主たる債務の元本確定期日は最長5年まで。定めがない場合は契約から3年後

根保証契約は民法改正により厳格な要件が課されるようになりました。特に極度額の設定は必須であり、保証人保護の観点から期間にも制限が設けられています。

根保証人の責任範囲

  • 主たる債務の元本
  • 主たる債務に関する利息
  • 違約金
  • 損害賠償
  • 債務に付随するその他のすべての費用
  • 保証債務に関して約定された違約金または損害賠償

根保証人は上記のすべての項目について、極度額を上限として責任を負います。極度額は保証契約において明示された金額であり、保証人の最大リスク額となります。

根保証の効果

包括的保証 特定の取引関係から生じる将来の債務も含めて保証が有効
極度額による制限 保証人の責任は極度額を超えない
期間制限 法定期間を超える保証期間は認められない

根保証により債権者は債務者の将来の債務まで保証を受けられるという大きなメリットがあります。一方で、保証人の過度な負担を防ぐため、極度額と期間による制限が設けられているのです。

根保証に関する注意点

責任の重大性 将来発生する不確定な債務も含めた保証となるため、リスクが非常に高い
極度額の重要性 極度額が保証人の最大責任額であり、適切な設定が重要
期間の確認 法定期間を超える契約は無効となる可能性があるため注意が必要
書面の必要性 口頭での契約は法的効力を持たないため、必ず書面で行う

根保証を引き受ける際は、その責任の重大性を十分に理解する必要があります。特に、将来発生する債務も含めて保証することになるため、債務者の経済状況や信用状態を慎重に判断することが重要です。

根保証と通常の保証の比較

保証対象
  • 根保証:不特定多数の債務を包括的に保証
  • 通常の保証:特定の債務のみを保証
期間
  • 根保証:法定の期間制限あり(最長5年)
  • 通常の保証:特定債務の弁済期まで
極度額
  • 根保証:必ず設定が必要
  • 通常の保証:特に不要

根保証と通常の保証は、保証の対象範囲や法的要件において大きく異なります。通常の保証が特定の債務に対するものであるのに対し、根保証は継続的取引関係から生じる不特定の債務を包括的に保証する点が最大の違いです。

債務整理における根保証

任意整理 根保証契約の条件によって保証人の責任範囲が変わる可能性がある
個人再生 主債務者の債務が減額されても保証人の責任は原則として影響を受けない
自己破産 主債務者が免責されても保証人の責任は消滅せず、極度額内で請求される

債務整理を行う際は、根保証人の存在を考慮することが重要です。主債務者の債務が減額または免責されても、保証人の責任は原則として影響を受けないため、債務整理の方法選択には慎重な検討が必要です。

よくある質問

根保証契約の期間は、当事者間で合意があれば変更することが可能です。

ただし、変更後の期間も法定制限(元本確定期日は5年を超えてはならない)に従う必要があります。

期間の変更についても書面による契約が必要ですので、口頭での変更は効力を持ちません。

根保証契約における保証人の責任は、契約で定められた極度額が上限となります。

主たる債務者の債務が極度額を超えて発生した場合でも、保証人は極度額を超えて支払う義務はありません。

例えば、極度額が500万円の契約で1,000万円の債務が発生した場合、保証人の責任は500万円までに限定されます。

主たる債務者が債務整理をした場合の影響は、債務整理の方法によって異なります。

任意整理や個人再生の場合、保証人は原則として引き続き保証責任を負いますが、減額された債務額に応じて保証債務も減額される可能性があります。

自己破産の場合は、主たる債務者の債務が免責されても保証人の責任は消滅せず、債権者は保証人に対して極度額の範囲内で請求できます。

根保証契約は、当事者間の合意があれば解約することが可能です。

ただし、すでに発生している債務については、解約後も保証責任は継続します。

解約は将来に向かってのみ効力を持ち、過去に発生した債務に対する責任を免れることはできません。

まとめ

根保証は、継続的な取引関係から生じる不特定多数の債務を包括的に保証する特殊な保証形態です。通常の保証と異なり、将来発生する債務も含めて保証するため、保証人にとってリスクが高いことが特徴です。

民法改正により、根保証契約には極度額の設定や期間の制限など厳格な要件が課されるようになりました。極度額は保証人の責任上限額であり、期間は最長でも5年とされています。

債務整理を検討する際は、根保証人の存在を考慮することが重要です。主債務者の債務が減額または免責されても、保証人の責任は原則として影響を受けないからです。

根保証に関する問題でお悩みの方は、債務整理に精通した専門家へのご相談をおすすめします。杉山事務所では債務整理や根保証に関する無料相談を実施していますので、お気軽にご利用ください。

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