一部免責(いちぶめんせき)とは?
一部免責とは、破産手続において、裁判所が債務者の状況を考慮し、債務の一部のみを免除する決定をすることを指します。
通常の全面的な免責が適当でないと判断された場合に、条件付きで部分的な免責を認める制度です。
一部免責の基本概念
定義 |
債務の一部のみを免除する破産手続上の決定 |
目的 |
免責不許可事由がある場合でも、部分的な救済を図ること |
法的根拠 |
破産法の裁判所の裁量権に基づく |
一部免責が検討される状況
著しい免責不許可事由の存在 |
- ギャンブルによる借金
- 投資失敗による債務
- 著しい浪費による債務
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全面的な免責が不適当 |
- 債務者の行為に一定の非難可能性がある
- 完全な免責が債権者にとって不公平と判断される場合
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一部免責の流れ
1.破産申立 |
債務者が破産を申し立てる |
2.裁判所の審査 |
裁判所が債務者の状況を詳細に審査 |
3.一部免責の判断 |
裁判所が一部免責が適当と判断 |
4.条件の設定 |
裁判所が免責の条件(積立金額など)を決定 |
5.免責許可決定 |
条件付きで一部免責が許可される |
一部免責の条件と効果
積立条件 |
- 一定金額の積立てが条件として設定される
- 積立金は債権者への配当に充てられる
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部分的免責 |
- 積立金以外の債務が免除される
- 債務者は指定された金額の支払いで残りの債務から解放される
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一部免責の現状
- 利用頻度の低下
- 代替手段の存在
- 全部免責か免責不許可かの二者択一的判断の傾向
一部免責のメリットとデメリット
メリット
- 債務者に部分的な救済の機会を与える
- 債権者にも一定の回収可能性を残す
デメリット
- 手続きが複雑になる可能性
- 債務者にとって負担が残る
一部免責と他の債務整理の比較
全部免責 |
債務全額が免除されるが、要件が厳格 |
個人再生 |
返済計画に基づく部分的な債務弁済 |
任意整理 |
債権者との交渉による債務の減額や返済条件の変更 |
一部免責に関する注意点
裁判所の裁量 |
一部免責の適用は裁判所の判断に委ねられる |
稀少性 |
現在ではほとんど適用されない制度である |
代替手段の検討 |
個人再生など、他の債務整理手段も併せて検討する必要がある |
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