求償権(きゅうしょうけん)とは?
求償権とは、債務者が返済すべき債務を、保証人などの第三者が代わりに返済した場合に、その第三者が債務者に対して立て替えた分の返済を請求できる権利のことです。
つまり、あなたの代わりに誰かがお金を支払った場合、その人があなたにお金を返してもらう権利を持つということです。
求償権の基本的な仕組み
定義 | 第三者が債務者の債務を弁済したことで生じる返済請求権 |
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発生条件 | 保証人等の第三者が債務者に代わって債務を弁済すること |
法的根拠 | 民法第459条、第462条など |
求償権は、他人の債務を代わりに支払った人を保護するための制度です。
例えば、友人のローンの保証人になり、友人が返済できなくなったためあなたが代わりに支払った場合、あなたは友人に対して求償権を持ちます。
求償権が発生する主なケース
- 保証人が主債務者の債務を弁済した場合
- 連帯債務者の一人が債務全額を弁済した場合
- 物上保証人が担保物件の処分で債務を弁済した場合
- 第三者が債務者の利益のために債務を弁済した場合
上記のケースでは、債務を代わりに支払った人が債務者に対して求償権を持つことになります。
最も一般的なのは、保証人が主債務者の支払いを肩代わりするケースです。
求償権の重要な特徴
代位性 | 弁済した第三者は、元の債権者の権利を引き継ぐことができる(弁済による代位) |
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附従性 | 主たる債務が消滅すると求償権も消滅する性質がある |
独立性 | 主たる債務とは別個の債権として扱われる側面もある |
求償権の重要な特徴として、元の債権者が持っていた権利(担保権など)を引き継ぐことができる点があります。
これにより、求償権者は債務者からの回収をより確実にすることが可能です。
求償権の行使方法
任意の請求 | 債務者に対して直接返済を求める方法 |
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法的手続 | 訴訟を提起して裁判所を通じて強制的に回収を図る方法 |
代位権の行使 | 債務者の第三債務者に対する権利を代位して行使する方法 |
求償権を行使する方法はいくつかありますが、まずは債務者に任意の返済を求めるのが一般的です。
それでも返済がない場合は、訴訟を提起して法的に解決を図ることになります。
求償権の種類
事前求償権 | 主債務の弁済期前でも保証人が債務者に対して求償できる権利 |
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事後求償権 | 保証人が債務を弁済した後に発生する通常の求償権 |
共同保証人間の求償権 | 複数の保証人がいる場合、一人が全額弁済したときに他の保証人に対して行使できる権利 |
求償権には上記のような種類があり、状況によって適用される権利が異なります。
債務整理と求償権の関係
自己破産と求償権 | 債務者が自己破産して免責を受けると、求償権も免責の対象となる可能性がある |
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任意整理と求償権 | 債務者が任意整理をしても、保証人に対する請求は継続するため、保証人の求償権は残る |
個人再生と求償権 | 個人再生計画が認可されると、求償権も再生計画に従って縮減される可能性がある |
債務整理を行う場合、求償権がどうなるかは債務整理の種類によって異なります。
特に保証人がいる場合は、債務整理によって保証人に影響が出る可能性があるため注意が必要です。
求償権に関する注意点
主債務者の資力 | 主債務者に返済能力がない場合、求償権の行使が実質的に困難になる |
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時効管理 | 求償権の消滅時効は原則10年(商事は5年)であり、適切な管理が必要 |
求償権行使の制限 | 信義則や権利濫用の法理により、場合によっては求償権の行使が制限されることがある |
求償権を持っていても、債務者に資力がなければ実質的な回収は難しくなります。
また、求償権にも消滅時効があるため、適切な期間内に権利行使をしなければ請求ができなくなる点に注意が必要です。
求償権の具体例
Aさんが友人Bさんの住宅ローン500万円の保証人になりました。
その後、Bさんが返済不能になったため、Aさんが銀行に500万円を支払いました。
この場合、AさんはBさんに対して500万円の求償権を持つことになります。
求償権に関するよくある質問
保証人が債務を返済した時点で、原則としてすぐに求償権を行使することができます。
弁済したことを証明できる領収書や振込明細書などの証拠を保管しておくことが重要です。
ただし、保証契約で求償権行使に制限がある場合は、その条件に従う必要があります。
主債務者が自己破産し、免責決定を受けた場合、一般的に求償権も免責の対象となり、法的な請求権は失われます。
ただし、道義的な債務としては残るため、主債務者が自発的に返済することは可能です。
主債務者の破産手続開始前に求償権が発生していた場合は、破産債権として届け出ることができます。
複数の保証人がいる場合、一人の保証人が全額を弁済したときは、他の保証人に対して各自の負担部分について求償権を行使できます。
負担割合は、特別な取り決めがない限り平等とされるのが原則です。
また、主債務者に対する求償権は、弁済した全額について行使することができます。
求償権の消滅時効は、一般的には権利を行使できるときから10年間です。
ただし、商事債権(商行為によって生じた債権)の場合は5年間となります。
時効の完成を防ぐためには、債務者に対して催告や訴訟提起などの時効中断措置を取る必要があります。
まとめ
求償権とは、債務者の代わりに第三者が債務を弁済した場合に、その第三者が債務者に対して持つ返済請求権のことです。主に保証人や連帯債務者などが債務者の代わりに返済した場合に発生します。
求償権には代位性があり、元の債権者の権利を引き継ぐことができるため、担保権などを行使できる場合があります。
債務整理をする場合、求償権者(保証人など)への影響も考慮して手続きを進める必要があります。求償権には消滅時効があるため、権利行使の時期にも注意が必要です。
求償権に関するトラブルや、保証人としての立場でお悩みの場合は、専門家のアドバイスを受けることが重要です。杉山事務所では、求償権に関する問題や債務整理についての無料相談を実施していますので、お気軽にご相談ください。
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