遅延損害金(ちえんそんがいきん)とは?
遅延損害金とは、借入金を期日までに返済できなかった場合に発生する追加の金銭的負担のことです。
これは債務者が返済を遅延したことによるペナルティであり、通常の利息とは別に課される損害賠償金となります。
返済義務を履行しなかったことによる責任として、契約時に定められた率で計算されるのが一般的です。
■もくじ
遅延損害金の基本概念
定義 | 返済期日に支払いができなかった場合に発生する追加負担金 |
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目的 | 返済の遅れによる債権者の損失を補填し、債務者に返済を促す |
法的根拠 | 民法第419条に基づく金銭債務の不履行に対する損害賠償 |
遅延損害金は、契約上の義務を守れなかったことへの賠償金としての性質を持っています。
債権者は遅延によって資金回収ができず、機会損失を被るため、その補填として課されるものです。
返済日を守ることで遅延損害金の発生を防ぐことができます。
遅延損害金の特徴
利率 | 通常の金利よりも高く設定されることが多い |
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計算期間 | 返済期日の翌日から完済日までの期間で計算される |
契約規定 | ローン契約書や金銭消費貸借契約書に明記されている |
遅延損害金の利率は、通常の借入利率よりも高く設定されていることが一般的です。
例えば、年利14.6%の借入に対して、遅延損害金は年利20%となるケースがあります。
消費者金融の場合は、すでに金利が高いため、通常の金利と同率の場合もあります。
遅延損害金の計算方法
基本計算式 | 未払い元金 × 遅延損害金利率 × 遅延日数 ÷ 365 |
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日割り計算 | 実際の遅延日数に応じて日割りで計算される |
計算対象 | 未払いの元金や利息に対して発生する |
遅延損害金は日割りで計算されるため、返済が遅れれば遅れるほど負担が大きくなります。
例えば、10万円の未払い元金があり、遅延損害金利率が年20%の場合、1日あたり約55円の遅延損害金が発生します。
1ヶ月(30日)の遅延では約1,650円、1年間では約2万円の遅延損害金が加算されることになります。
遅延損害金の法的制限
利息制限法 | 元本額に応じて上限金利が定められている(10万円未満:20%、10万円以上100万円未満:18%、100万円以上:15%) |
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出資法 | 貸金業者が請求できる金利の上限を規定 |
民法の規定 | 契約に定めがない場合は法定利率(年3%)が適用される |
遅延損害金にも法律による上限があり、これを超える金利での請求は違法となります。
利息制限法により元本の額に応じて上限金利が設定されているため、これを超える遅延損害金は無効です。
すでに支払った過剰な遅延損害金は、過払い金として返還請求できる可能性があります。
債務整理における遅延損害金
任意整理 | 交渉により遅延損害金の減額や免除が可能 |
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個人再生 | 再生計画認可により一定割合まで減額される |
自己破産 | 免責決定により遅延損害金も含めて免除される |
債務整理を行うと、遅延損害金も含めた債務の減額や免除が可能になります。
任意整理では、交渉次第で遅延損害金を全額免除してもらえるケースも少なくありません。
個人再生や自己破産では、法的手続きにより遅延損害金も含めた債務が大幅に軽減されます。
遅延損害金に関する注意点
金利の確認 | 契約書で遅延損害金の利率を必ず確認する |
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累積リスク | 長期の遅延で急速に増加する可能性がある |
法的制限超過 | 法定上限を超える遅延損害金は無効となる |
早期対応 | 返済困難が予想される場合は早めに相談する |
遅延損害金は放置すると雪だるま式に増加していく可能性があるため、早期対応が重要です。
契約書に記載された利率が法定上限を超えていないか確認し、違法な高金利での請求には応じる必要はありません。
返済が難しい状況になったら、自分だけで抱え込まず、専門家に相談することをおすすめします。
遅延損害金の減額交渉
事情説明 | 返済遅延の理由を誠実に説明する |
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返済計画提案 | 実現可能な返済計画を提示する |
専門家の介入 | 司法書士や弁護士に交渉を依頼する |
一括返済活用 | 一括返済を条件に減額交渉を行う |
遅延損害金の減額交渉は、専門家に依頼すると成功率が高まります。
司法書士や弁護士が介入することで、債権者も交渉に応じやすくなり、大幅な減額が期待できます。
特に任意整理では、元本を一括返済することを条件に、遅延損害金を全額免除してもらえるケースも少なくありません。
遅延損害金と信用情報
信用情報登録 | 返済遅延は信用情報機関に記録される |
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影響期間 | 完済後も5〜10年程度は記録が残る |
ブラックリスト | いわゆる「ブラックリスト」に登録されると新規借入れが困難になる |
返済の遅延は信用情報機関に記録され、いわゆる「ブラックリスト」に載ることになります。
これにより、新たな借入れやクレジットカードの作成、住宅ローンの審査などに悪影響が出る可能性があります。
信用情報の回復には長い時間がかかるため、返済遅延を防ぐことが重要です。
遅延損害金の予防策
返済日管理 | カレンダーやアプリで返済日を管理する |
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口座残高確認 | 引き落とし日前に口座残高を確認する |
自動引き落とし | 可能な限り自動引き落としを活用する |
緊急資金確保 | 返済に備えて一定の貯蓄を行う |
遅延損害金を発生させないためには、返済日の管理が最も重要です。
スマートフォンのカレンダーやリマインダーアプリを活用して、返済日の数日前にアラートが来るように設定しましょう。
口座引き落としの場合は、引き落とし日前に必ず口座残高を確認し、資金不足にならないようにすることが大切です。
遅延損害金についてのよくある質問
遅延損害金は、約定の返済期日の翌日から発生します。
例えば、5月10日が返済日の場合、10日中に返済できなければ11日から遅延損害金が計算されます。
返済日が土日祝日の場合は翌営業日が返済期限となりますが、その翌日からは遅延損害金が発生するので注意が必要です。
返済が難しいと予想される場合は、まず返済期日前に債権者(貸金業者や銀行など)に連絡することが大切です。
事情を説明し、返済猶予や分割払いへの変更などを相談できる可能性があります。
無断で返済を遅らせると、遅延損害金の発生だけでなく、信用情報にも悪影響を及ぼすため、早めに専門家への相談をおすすめします。
はい、遅延損害金にも法律による上限があります。
利息制限法では、元本額によって異なる上限が定められており、10万円未満は年20%、10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は年15%です。
これらの上限を超える遅延損害金は無効となり、すでに支払った超過分は返還請求できる可能性があります。
債務整理の種類によって異なりますが、多くの場合、遅延損害金は減額または免除されます。
任意整理では、交渉により遅延損害金を大幅に減額できることが多く、全額免除になるケースもあります。
個人再生や自己破産では、法的手続きにより遅延損害金も含めた債務が大幅に軽減されるため、返済負担が軽くなります。
まとめ
遅延損害金は、返済期日を守れなかった場合に発生する追加の金銭的負担です。通常の利息よりも高い金利で計算されることが多く、放置すると債務が急速に膨らむ原因となります。
法律により上限が定められており、利息制限法を超える遅延損害金は無効となるため、契約内容の確認が重要です。
返済が困難になった場合は、債務整理により遅延損害金の減額や免除が可能になります。返済の遅延は信用情報に記録されるため、返済計画をしっかり立て、期日を守ることが大切です。
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