同時廃止(どうじはいし)とは?
同時廃止とは、自己破産手続において、破産手続開始決定と同時に破産手続廃止決定を行うことを指します。これは、債務者に配当の見込みがある財産がない場合に行われる簡略化された手続です。
通常の破産手続とは異なり、破産管財人を選任せずに手続を終了させる方法であり、債務者の負担軽減と手続の迅速化を図ることができます。
同時廃止の基本概念
定義 | 破産手続開始決定と同時に破産手続廃止決定を行うこと |
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目的 | 財産がない債務者の破産手続を簡易かつ迅速に終了させること |
法的根拠 | 破産法第216条第1項 |
同時廃止は、裁判所が債務者に配当するべき財産がないと判断した場合に適用される特別な手続きです。この手続きにより、債務者は長期間にわたる通常の破産手続きを回避できます。
同時廃止の主な特徴
破産管財人不選任 | 破産管財人を選任せずに手続を進める |
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手続の簡略化 | 通常の破産手続よりも簡略化された手続で進行する |
費用の軽減 | 破産管財人費用が不要となり、手続費用が抑えられる |
迅速な処理 | 申立から3~4ヶ月程度ですべての手続が終了する |
通常の破産手続きでは破産管財人が選任され、債務者の財産調査や換価・配当といった作業が行われますが、同時廃止ではこれらの手続きが省略されます。そのため、時間と費用を大幅に節約することができます。
同時廃止の適用条件
- 債務者に換価するほどの財産がないことが明らかであること
- 債権者の利益を害さないと認められること
- 免責について問題がないこと
- 詐欺的な行為や隠し財産がないこと
同時廃止が適用されるためには、上記の条件をすべて満たす必要があります。特に、債務者が財産を隠していないことや、債権者の利益を不当に害していないことが重要です。
同時廃止の手続きの流れ
- 債務者が裁判所に破産を申し立てる
- 裁判所が債務者の財産状況等を審査する
- 破産手続開始決定が出される
- 同時に破産手続廃止決定が出される
- 債務者が免責許可の申立てを行う
- 免責審尋(裁判所での面談)が行われる
- 免責許可決定が出される
同時廃止の手続きは上記のような流れで進行します。債務者は最初の申立てから免責許可決定まで、裁判所の指示に従って必要な手続きを行う必要があります。
同時廃止に関する注意点
財産の申告 | 債務者は正確に財産を申告する必要がある |
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免責不許可事由 | 免責不許可事由がある場合、免責されない可能性がある |
再度の破産 | 7年以内の再度の破産は原則として認められない |
信用情報への影響 | 破産情報は一定期間、個人信用情報機関に登録される |
同時廃止による自己破産は債務整理の有効な方法ですが、上記のような注意点があります。特に財産の隠匿や虚偽の申告は重大な問題となり、免責が認められなくなる可能性があります。
よくある質問
同時廃止の手続費用は、通常の破産手続よりも低額になります。これは破産管財人を選任しないため、管財人費用が不要となるためです。
一般的には、裁判所に納める費用(予納金)が2~3万円程度、司法書士や弁護士費用が20~30万円程度となることが多いです。
ただし、具体的な金額は案件の複雑さや地域によって異なることがあります。杉山事務所では分割払いにも対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。
同時廃止が認められない場合は、通常の破産手続に移行することになります。これは主に、債務者に換価可能な財産が発見された場合や、債権者の利益を害する可能性があると判断された場合に起こります。
通常の破産手続では破産管財人が選任され、財産の調査・換価が行われるため、手続期間が長くなり、費用も増加します。
このような状況を避けるためにも、申立て前に専門家に相談し、自分の財産状況を正確に把握しておくことが重要です。
同時廃止が認められても、免責が自動的に認められるわけではありません。免責不許可事由(浪費や賭博による債務、詐欺的な借入れ、破産財団を隠匿するなど)がある場合は、免責が認められない可能性があります。
また、過去7年以内に免責を受けている場合も、原則として免責は認められません。免責を確実に受けるためには、財産状況を正直に申告し、裁判所からの質問に誠実に答えることが重要です。
免責の可能性について不安がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。
同時廃止の手続きは、通常の破産手続きに比べて短期間で終了します。一般的には、申立てから免責許可決定まで3~4ヶ月程度の期間がかかります。
ただし、裁判所の混雑状況や個別の事案の複雑さによって期間が変動することがあります。また、書類の不備があると手続きが遅れる原因となりますので、専門家のサポートを受けながら正確に手続きを進めることが大切です。
まとめ
同時廃止は、財産がない債務者が自己破産する際に適用される簡略化された手続きであり、破産手続開始決定と同時に破産手続廃止決定が行われることが特徴です。
この手続きには、破産管財人を選任しないことによる費用削減や手続きの迅速化というメリットがあります。申立てから免責決定まで3~4ヶ月程度で完了することが多く、通常の破産手続きに比べて債務者の負担が少なくなります。
ただし、同時廃止が認められるためには、債務者に配当の見込みがある財産がないことや債権者の利益を害さないことなどの条件を満たす必要があります。また、財産の隠匿や詐欺的な借入れなどの免責不許可事由がある場合は、免責が認められない可能性があります。
債務整理の方法として同時廃止による自己破産を検討している方は、専門家のアドバイスを受けながら手続きを進めることが重要です。杉山事務所では債務整理に関する無料相談を実施していますので、お気軽にご相談ください。
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