賠償額の予定(ばいしょうがくのよてい)とは?

賠償額の予定とは、契約において債務不履行が生じた場合に支払うべき損害賠償額を、あらかじめ当事者間で定めておくことを指します。

この制度は、債務不履行に基づく損害賠償請求を簡易化し、紛争の迅速な解決を図ることを目的としています。

賠償額の予定の基本概念

定義 債務不履行時の損害賠償額を事前に契約で定めること
法的根拠 民法420条1項
目的 損害賠償請求の簡易化と紛争解決の迅速化

賠償額の予定の意義

証明の省略 実際の損害額の証明が不要
予測可能性 債務者が負担するリスクを事前に把握可能
紛争予防 損害額をめぐる紛争を事前に防止

貸金契約における賠償額の予定

一般的な形式 年率による遅延損害金の定め
「未払いの場合、年●%の遅延損害金を支払う」
法的制限 利息制限法による上限規制あり

利息制限法による規制

一般的制限 制限利息の1.46倍まで(4条1項)
貸金業者の場合 年20%を超える遅延損害金の定めは無効(7条)
施行時期 貸金業者への規制は平成22年6月18日から完全施行

賠償額の予定の具体例

貸金額 50万円の場合
制限利率 年18%(利息制限法上)
最大遅延損害金率 26.28%(18% × 1.46)

賠償額の予定の効果

債権者の利点 損害の立証なしで賠償請求可能
債務者の保護 過大な賠償額は法律により制限
裁判所の役割 予定額が著しく過大な場合、減額可能

賠償額の予定に関する注意点

法定上限の遵守 利息制限法等の上限を超えないよう注意
実損害との乖離 実際の損害が予定額を上回っても増額は原則不可
契約内容の確認 契約時に賠償額の予定条項を十分確認すること

賠償額の予定についてのよくある質問

原則として、実際の損害額が賠償額の予定を上回る場合でも増額することはできません。これは賠償額の予定の主要な目的が、損害賠償請求の簡易化と紛争の予防にあるためです。

ただし、契約書に「賠償額の予定を超える損害が生じた場合は、その超過分を請求できる」などの特約が設けられている場合は、実損害額に基づく請求が可能となります。

貸金契約での遅延損害金は、利息制限法による厳格な規制を受けます。一般的な場合、制限利息の1.46倍が上限となります。

例えば、元本が50万円で制限利率が年18%の場合、遅延損害金の上限は年26.28%(18% × 1.46)となります。

ただし、貸金業者の場合は年20%を超える遅延損害金の定めは無効となりますので、より厳しい制限が適用されます。

賠償額の予定が著しく高額な場合、民法420条1項に基づき裁判所に減額を請求することができます。また、消費者契約の場合は消費者契約法により、平均的な損害額を超える部分は無効となる可能性があります。

賠償額が高すぎると感じた場合は、まず法律の専門家に相談し、減額の可能性や適切な対応方法について助言を受けることをおすすめします。

賠償額の予定は、債務不履行時の損害賠償を簡易化する重要な制度ですが、その適用には法律による制限があります。特に貸金契約においては、利息制限法による厳格な規制が設けられています。

契約時には賠償額の予定条項を十分に確認し、疑問がある場合は専門家に相談することが重要です。賠償額の予定に関する疑問や、債務整理に関する相談がある場合は、杉山事務所にご連絡ください。

債務整理用語集一覧に戻る

お気軽に無料相談をご利用ください。

page top