住宅資金特別条項・住宅ローン条項(じゅうたくしきんとくべつじょうこう)とは?
住宅資金特別条項・住宅ローン条項とは、民事再生手続において債務者が住宅ローンを抱えている場合に適用できる特別な制度です。
この条項を利用することで、債務者は住宅ローンの返済を継続しながら、自宅を手放すことなく債務整理を進めることができます。
住宅資金特別条項の基本概念
定義 | 住宅ローンを継続返済することで自宅を維持できる制度 |
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適用手続 | 民事再生 |
目的 | 債務者の生活基盤(住居)の確保と債務整理の両立 |
住宅資金特別条項の主な特徴
住宅の維持 | 自宅を手放すことなく債務整理が可能 |
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ローン継続 | 住宅ローンの返済を継続する必要がある |
他の債務との区別 | 住宅ローン以外の債務は別途処理される |
適用条件 | 一定の要件を満たす必要がある |
住宅資金特別条項の適用要件
- 住宅ローンが債務者の生活の本拠である住宅の取得資金であること
- 住宅の価値が住宅ローンの残債を上回っていること
- 債務者に住宅ローンの返済能力があること
- 住宅を処分するよりも維持する方が債権者にとって有利であること
- 債権者の同意が得られること
住宅資金特別条項のメリット
債務者にとって |
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債権者にとって |
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住宅資金特別条項の手続き
再生計画案の作成 | 住宅ローンの継続返済を含めた計画を立案 |
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債権者の同意 | 住宅ローン債権者の同意を得る |
裁判所の認可 | 裁判所が再生計画を認可 |
計画の遂行 | 認可された計画に基づき返済を継続 |
住宅資金特別条項の注意点
返済能力の確認 | 住宅ローンの継続返済が可能か慎重に検討する |
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他の債務との兼ね合い | 住宅ローン以外の債務の返済計画も考慮する |
将来の返済リスク | 長期的な返済計画の実現可能性を検討する |
債権者との交渉 | 住宅ローン債権者の同意が必要不可欠 |
住宅資金特別条項と他の債務整理手法との比較
任意整理 | 住宅ローンの条件変更交渉は可能だが、法的な保護はない |
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個人再生(一般) | 住宅ローンも含めて債務の一括返済が必要 |
自己破産 | 原則として住宅を手放す必要がある |
住宅資金特別条項についてのよくある質問
主な条件として、①住宅ローンが生活の本拠である住宅の取得資金であること、②住宅の価値がローン残債より高いこと、③継続的な返済能力があること、④住宅を維持する方が債権者にとって有利であること、⑤住宅ローン債権者の同意が得られることが必要です。
これらの条件を一つでも満たさない場合、特別条項の利用が認められない可能性があります。
住宅資金特別条項を利用した場合、住宅ローン以外の借金は通常の個人再生手続きの対象となります。これらの債務は、収入に応じて定められた返済計画に基づいて返済することになります。
住宅ローンは従来通りの返済を継続しながら、その他の債務は減額された返済額で計画的に返済していくことになります。
住宅資金特別条項を利用している途中で住宅ローンの返済が困難になった場合、再生計画が遂行できないとみなされ、計画が取り消される可能性があります。
その場合、住宅を手放さざるを得なくなったり、破産手続きへの移行を検討する必要が出てきたりする可能性があります。
そのため、手続き開始前に将来の返済可能性について慎重に検討することが重要です。
住宅資金特別条項は、自宅を維持しながら債務整理を行いたい方にとって有効な選択肢です。しかし、適用には様々な条件があり、手続きも複雑です。
この制度の利用を検討している場合や、住宅ローンを抱えながらの債務整理について悩んでいる場合は、杉山事務所にご相談ください。
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