小規模個人再生(しょうきぼこじんさいせい)とは?

小規模個人再生とは、住宅ローンを除く借金の総額が5,000万円以下で、継続的な収入が見込める個人を対象とした債務整理手続きです。民事再生法に基づく法的手続きであり、自己破産を避けながら債務を整理し、経済的再生を図ることができます。

この制度を利用すると、財産を維持したまま債務の減額が可能で、特に住宅を手放すことなく債務整理ができる点が特徴です。債務者の経済的再建を支援するための重要な選択肢となっています。

小規模個人再生の基本概念

定義 住宅ローンを除く債務総額5,000万円以下の個人向け民事再生手続き
対象者 継続的な収入がある個人
法的根拠 民事再生法

小規模個人再生は、民事再生法に定められた法的手続きの一つです。継続的な収入があり、住宅ローンを除く債務総額が5,000万円以下である個人が対象となります。この手続きは、裁判所の管理のもとで行われる法的な債務整理方法です。

小規模個人再生の主な特徴

債務額制限 住宅ローンを除く借金総額が5,000万円以下
収入要件 安定した継続的な収入が見込めること
手続きの簡素化 通常の個人再生より手続きが簡略化されている
財産維持 原則として財産を手放さずに再生可能

小規模個人再生の最大の特徴は、通常の個人再生と比較して手続きが簡略化されている点です。債務者は原則として財産を維持したまま債務の整理ができるため、自己破産と比べて生活への影響が少ないのが利点です。

また、住宅ローンは債務額の上限(5,000万円)に含まれないため、住宅を維持しながら他の借金を整理することが可能です。安定した収入があることが条件となるため、給与所得者や年金受給者などに適した制度といえます。

小規模個人再生のメリット

  • 自己破産を回避しつつ債務整理が可能
  • 財産を維持したまま債務の減額が可能
  • 信用情報に与える影響が比較的小さい
  • 住宅ローンと併用して住宅を維持できる可能性がある
  • 債権者の個別的権利行使が停止される

小規模個人再生のメリットとして、自己破産を選択した場合と比較して、財産を失うことなく債務整理ができる点が挙げられます。特に、マイホームを維持しながら借金問題を解決できる可能性がある点は大きな利点です。

また、手続き開始決定が出されると債権者からの取立てが停止されるため、精神的な負担が軽減されます。さらに、自己破産と比べて信用情報に与える影響が比較的小さいため、将来的な生活再建がしやすいという利点もあります。

小規模個人再生の手続きの流れ

  1. 再生手続開始の申立て – 裁判所に小規模個人再生の申立てを行う
  2. 再生手続開始決定 – 裁判所が要件を満たしていると判断すれば手続開始
  3. 再生計画案の提出 – 債務返済計画を作成し、裁判所に提出
  4. 債権者集会・決議 – 債権者が再生計画案について決議
  5. 再生計画認可決定 – 裁判所が再生計画を認可
  6. 再生計画の遂行 – 認可された計画に基づき返済を実行

小規模個人再生の手続きは、まず裁判所への申立てから始まります。裁判所が手続き開始を決定すると、債務者は自身の収入や支出状況に基づいた再生計画案を作成し提出します。

債権者による決議を経て、裁判所が再生計画を認可すれば、その計画に従って返済を進めていくことになります。一般的に返済期間は3年以内とされており、この期間で債務の一部を返済することで残りは免除されます。

小規模個人再生と他の債務整理手法との比較

任意整理 任意整理と違い、法的拘束力があるため債権者全員に対して効力が生じる
個人版私的整理ガイドライン 対象債権者が限定されない点で異なり、より幅広い債務に対応できる
通常の個人再生 手続きがより簡略化されており、債務額の上限が5,000万円と設定されている
自己破産 財産を維持できる点で有利だが、債務の全額免除ではなく一部返済が必要

債務整理の方法にはいくつかの選択肢がありますが、小規模個人再生はその中でも特徴的な位置づけにあります。任意整理と異なり法的拘束力があるため、すべての債権者に対して効力が生じる点が大きな違いです。

また、自己破産と比較すると、財産を維持できる点で有利ですが、債務が全額免除されるわけではなく、再生計画に基づいた一部返済が必要となります。それぞれの債務整理方法には特徴があるため、自分の状況に最も適した方法を選ぶことが重要です。

小規模個人再生の注意点

返済計画の実行可能性 収入状況を考慮した無理のない返済計画を立てる必要がある
債権者の同意 債権者から反対意見が多いと再生計画が認可されない可能性がある
手続費用 申立費用や弁護士・司法書士費用などの経済的負担が発生する
再生計画不履行のリスク 計画通りに返済できないと破産手続きに移行する可能性がある

小規模個人再生を検討する際には、いくつかの注意点があります。まず、再生計画は無理なく履行できるものでなければなりません。収入状況を正確に把握し、現実的な返済計画を立てることが重要です。

また、手続きには裁判所への申立費用や専門家への報酬など、一定の費用がかかります。さらに、債権者の同意が得られない場合や、計画通りに返済できない場合には、自己破産手続きへ移行せざるを得ないケースもあるため、十分な検討が必要です。

小規模個人再生の適格性判断

  • 住宅ローンを除く債務総額が5,000万円以下であるか
  • 安定した継続的な収入があるか
  • 再生計画を3年以内に遂行できる見込みがあるか
  • 債務の支払いを怠っていないか(特別な事情がある場合を除く)
  • 過去7年以内に再生手続きを利用していないか

小規模個人再生の利用を検討する際には、まず自分がこの制度の対象となるかどうかを確認する必要があります。債務総額の条件や収入の安定性、過去の再生手続き利用歴などが重要な判断基準となります。

特に、安定した収入があることと、その収入で再生計画を3年以内に遂行できる見込みがあることは重要な要件です。これらの条件を満たしているかどうか、専門家に相談しながら判断することをおすすめします。

よくある質問

はい、小規模個人再生では住宅ローンを別除権として扱うことができ、通常通りの返済を継続することが可能です。

住宅ローンは債務額の上限である5,000万円には含まれないため、他の債務と切り離して考えることができます。ただし、住宅ローンの返済に延滞がないことや、継続的な返済が可能であることが条件となります。

この制度を利用することで、住宅を手放すことなく他の債務の整理を進めることができるため、マイホームを守りながら債務問題を解決したい方に適しています。

再生計画は、あなたの収入や生活費を考慮しながら、無理なく返済できる金額を設定する必要があります。

具体的には、毎月の収入から必要な生活費を差し引いた残額の範囲内で返済計画を立てます。計画期間は原則として3年以内とされており、この期間で返済可能な金額を提示することが求められます。

計画の作成には収入・支出の正確な把握や法律的な知識が必要なため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のサポートを受けることで、裁判所に認められやすい適切な計画を立てることができます。

小規模個人再生の費用は、裁判所に納める費用(申立手数料や予納金など)と弁護士・司法書士費用に分かれます。

裁判所への費用は一般的に数万円程度ですが、専門家への報酬は事案の複雑さや債務額によって変動します。一般的には数十万円程度が目安となりますが、事務所によって料金体系は異なります。

これらの費用は分割払いができる場合も多く、また、債務の大幅な減額が見込める場合は、長期的に見ると費用対効果の高い選択肢となる可能性があります。具体的な費用については、弁護士や司法書士に相談することで正確な見積もりを得ることができます。

小規模個人再生における債務の減額幅は、「最低弁済額」という基準に基づいて決まります。

具体的には、債務総額の2割か、「清算価値」(破産した場合に債権者に配当される金額)のいずれか大きい方が最低弁済額となります。例えば、債務総額が500万円の場合、最低弁済額は100万円(500万円の2割)となります。

ただし、これはあくまで最低限の金額であり、収入状況によってはそれ以上の返済が求められることもあります。具体的な減額幅については、個々の状況によって異なるため、専門家への相談が必要です。

まとめ

小規模個人再生は、住宅ローンを除く債務総額が5,000万円以下で、継続的な収入がある個人を対象とした法的債務整理手続きです。この制度の最大の特徴は、財産を維持したまま債務の減額が可能である点です。

特に住宅ローンと併用することで、マイホームを手放すことなく他の債務を整理できる可能性があるため、自己破産を避けたい方にとって有効な選択肢となります。また、法的手続きであるため、すべての債権者に対して効力が生じる点も大きなメリットです。

ただし、再生計画を3年以内に遂行できる見込みがあることや、計画通りに返済できなければ自己破産に移行するリスクがあることなど、いくつかの注意点もあります。小規模個人再生が自分に適しているかどうかは、専門家のアドバイスを受けながら慎重に判断することが重要です。

債務整理の方法には様々な選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。自分の状況に最も適した方法を選ぶために、杉山事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。経験豊富な専門家が、ご相談者様の状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。

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