書類をなくしたり貸金業者を忘れた場合でも過払い金請求はできる
過払い金請求は契約書類をすべてなくしていても、借りた貸金業者を忘れてしまっていても手続きをすることができます。特に完済した借金の場合は、取り引きした明細書や契約書は捨ててしまい残っていないケースがほとんどです。
しかし、完済した借金でも返済中でも過払い金請求をすることができ、払いすぎた利息を取り戻すことができます。過払い金は100万円を超えることもあり、完済した借金の過払い金請求をした場合のデメリットはほとんどありません。
ここでは書類をなくしていて利息や借入額をはっきり覚えていない方や貸金業者も忘れてしまった方が過払い金請求をする方法を解説していきます。
■もくじ
カードや明細など書類をなくした場合でも過払い金請求ができます
貸金業者にお金を借りる際に交わした「基本契約書」や返済時に発行される「明細書類」をなくしていても、取引履歴があれば過払い金請求をすることができます。
取引履歴はすべての貸金業者に保管する義務があり、また開示の請求をすることで開示しなければいけない決まりがある(貸金業法第19条)ため、開示の請求をすることで取り寄せることができます。
基本契約書及び明細書類は、法定利息(利息制限法)の範囲内の利息かどうかを計算するために必要な借入日や利息、返済日や返済額などの記載がある書類です。
しかし、取引履歴にも同じ情報の記載があるため、契約書類がなくても取引履歴で代用ができるのです。
取引履歴が処分されていた場合は専門家に相談を
貸金業者は取引履歴を保管・開示する義務がありますが、保管期間は10年です。10年を過ぎると保管の義務がなくなるため「処分してしまったため開示できない」と開示してくれない貸金業者もいます。
特に、業務提携や吸収合併などがあった貸金業者は業務提携または吸収合併前の取引履歴については処分してしまい、一部の取り引きのみの開示であることが多く、取引履歴を取り寄せてもすべての取り引きを確認することができません。
その場合は、推定計算をすることで過払い金額を算出することができます。推定計算には、記載されている最初の残高を0円だと仮定して計算をする方法と、未公開部分の取引を再現して計算をする方法があります。
推定計算は、計算が複雑であり専門的な知識も必要になります。取引履歴が処分されていたり、取引履歴が途中から(一部)のみの記載ですべての記載がない場合は一度専門家に相談してください。
貸金業者を忘れた場合でも過払い金請求ができます
借りた貸金業者を忘れてしまった場合、信用情報機関に問い合わせて貸金業者を特定することができます。
貸金業者は貸し付けをする際に、お金を貸してもきちんと戻ってくるのか、他に借り入れはないかなどの審査をすることが一般的です。この審査の元となっているのが「信用情報機関」に登録されている個人情報です。
個人情報には勤務先や年収、クレジットカードの支払い状況、ローンなどによる借り入れ状況などの情報がすべて記録されています。
法定金利(利息制限法)よりも高い利息で貸し付けをしていても借り入れの際に審査があった場合は、すべて信用情報機関に登録されています。
日本の信用情報機関は、以下の3社があります。
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 全国銀行個人信用情報センター(JBA)
- 株式会社日本信用情報機関(JICC)
すべての貸金業者はいずれかの信用情報機関(あるいは複数の機関)に登録されているため、上記の機関に情報開示の請求をすることで、契約終了から5年以内であれば借り入れをした貸金業者名を特定することができます。
各信用情報機関の開示方法
情報開示は基本的に本人であることが望ましいですが、代理人(ただし委任状が必須)や法定代理人でも開示請求をすることができます。それぞれの機関の開示方法は以下の通りです。
株式会社シー・アイ・シー(CIC)
インターネット、郵送、窓口で申し込みをすることで開示請求ができます。
インターネットで開示請求をする場合
開示方法 | PCまたはスマホで受付をし、貸金業者に登録した電話番号と称号することで、PDFデータとして届く(※1) |
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受付時間 | 8時~21時45分 |
必要な物 |
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手数料 | 1,000円(※2) |
※1:PCで行う場合は「Windows」のみの対応
※2:支払いはクレジットカードのみ
郵送で開示請求をする場合
開示方法 | 申込書などの必要書類と手数料をCICに郵送し、到着後10日前後で届く(※1) |
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必要な物 |
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手数料 | 1,000円(※2) |
※1:必要書類はHPからダウンロード可能
※2:支払いはゆうちょ銀行の定額小為替証書のみ
窓口で開示請求をする場合
開示方法 | 各地のCIC開示窓口のタッチパネル端末機に入力操作することで当日手渡しで受け取ることが可能(※1) |
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受付時間 | 平日10時~12時/13時~16時 |
必要な物 |
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手数料 | 500円(現金のみ) |
※1:窓口は東京、札幌、仙台、名古屋、大阪、岡山、福岡
全国銀行個人信用情報センター(JBA)
郵送で申し込みをすることで開示請求ができます。
開示方法 | 申込書などの必要書類と手数料をJBAに郵送し、到着後7~10日前後で届く(※必要書類はHPからダウンロードできます) |
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必要な物 |
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手数料 | 1,000円(※2) |
※1:登録情報開示申込書はコンビニのマルチコピー機でもプリント可能
※2:支払いはゆうちょ銀行の定額小為替証書のみ
株式会社日本信用情報機関(JICC)
インターネット(スマホ)、郵送、窓口で申し込みをすることで開示請求ができます。
インターネットで開示請求をする場合
開示方法 | スマホで専用アプリをダウンロードし、必要事項を入力し本人確認書類を写真データで添付、決済後、郵送で届く(※1) |
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必要な物 |
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手数料 | 1,000円(※2) |
※1:Android、iPhoneともに対応
※2:クレジットカード各種、コンビニATM払いが可能
郵送で開示請求をする場合
開示方法 | 申込書などの必要書類と手数料をCICに郵送し、到着後7~10日前後で簡易書留にて届く(※1) |
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必要な物 |
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手数料 | 1,000円(※3) |
※1:必要書類はHPからダウンロード可能
※2:支払い票の用紙はHPよりダウンロード可能
※3:クレジットカードまたはゆうちょ銀行の定額小為替証書送付での支払い
窓口で開示請求をする場合
開示方法 | 各地のJICC開示窓口にて申し込み用紙を記入することで当日受け取ることが可能(※1) |
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受付時間 | 平日10時~16時 |
必要な物 |
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手数料 | 500円(現金のみ) |
※1:窓口は東京、大阪
過払い金請求に必要な書類
過払い金請求の手続きに必要な書類は自分でおこなう場合と専門家に依頼する場合で変わってきます。
自分で手続きをおこなう場合は、必要書類を取り寄せたり作成したりしなければいけないため手間がかかりますが、専門家に依頼する場合はほとんど用意する書類はありません。
自分で過払い金請求をおこなう場合に必要な書類
- 貸金業者から借り入れ時に取り交わした「基本契約書」
- 取り引きについての「明細書」または「取引履歴書」
- 借り入れ金額を法定利息で再計算した「引き直し計算書」
- 請求する内容を記載した「過払い金返還請求書」
- 請求する際に添付した書類を説明する「証拠書類説明書」
貸金業者から借り入れ時に取り交わした「基本契約書」
貸金業者から最初の借り入れの際に取り交わす契約書で、金銭消費貸借基本契約書という記載であることも多いです。
貸金業者によってはネットでの契約、もしくはATMにあるテレビ電話での契約をした場合は後日郵送されてきた書面がこの「基本契約書」にあたります。
基本契約書類をなくしてない場合は以下の取引履歴で代用が可能です。
取り引きについての「明細書」または「取引履歴書」
明細書は返済時毎に出てくるもので、返済日、返済額、残高などの記載があるもので、返済したすべての明細書が必要です。
明細書がない場合は、取引履歴書を貸金業者に取り寄せることで取り引きをしたすべての明細が記載されています。
取り寄せには7日〜1ヶ月程度かかり、貸金業者によっては手数料(1,000円程度)がかかることもあります。
借り入れ金額を法定利息で再計算した「引き直し計算書」
取引履歴から法定利息(利息制限法)の範囲内で借り入れであったかを再度計算(引き直し計算)し、正しい利息で借り入れをした場合の返済額を算出します。
正しい返済額と取引履歴に記載の実際の返済額の差額が過払い金であり、この額を請求することで取り戻すことができます。
引き直し計算は専用のソフトでおこなうことができますが、ひとつの取り引きごとに計算するため間違えやすく、また金額が相違していた場合は過払い金請求ができなくなる可能性もありますので専門家に依頼することをおすすめします。
請求する内容を記載した「過払い金返還請求書」
過払い金請求をする貸金業者、請求する過払い金額、過払い金請求をする趣旨などを記載した書面を提出する必要があります。
形式の決まりはなく、内容に不備がなければ手書きでも受理されますが、A4サイズのWordなどで作成するのが一般的です。
請求する際に添付した書類を説明する「証拠書類説明書」
過払い金請求には引き直し計算書などいくつかの書面を添付しますが、その書面をなぜ添付するのかを書いたものが証拠書類説明書です。
この書類も指定の形式はありませんが、A4サイズのExcelなどで作成するのが一般的です。
専門家に依頼して過払い金請求をおこなう場合に必要な書類
専門家に依頼する場合、手続きに必要な書類はすべて作成してくれるため用意するものは以下の2つです。
- 身分証明書
- 印鑑
身分証明書
弁護士や司法書士が依頼を受けるときには必ず本人確認をすることが決められているため、身分証明書の提示が求められます。
身分証明書は顔写真つきで住所、氏名、生年月日の記載のある以下のものが必要になります。
- 運転免許証
- 住民記帳台帳カード(顔写真つき)
- マイナンバーカード
- パスポート
- その他公的証明書
健康保険証や通知カードは顔写真がないため、身分証明書としての効力が低いとされ、別途上記の証明書の提示を求められる場合があります。(顔写真がなくても身分証明書として受理してくれる事務所もあります。)
印鑑
依頼をする際に契約書を取り交わしますが、その際に捺印が必要になります。ただし、印鑑を忘れた場合は郵送での対応をしてくれる事務所もあります。
完済して10年経つと過払い金請求ができない可能性も
過払い金請求は最後の取り引き(借り入れや返済・完済)から10年が経過すると時効が成立するため、過払い金が発生していても請求することができなくなるため注意が必要です。
時効は最後の取り引き日から起算されるため、現在返済中の借金であれば時効が成立している可能性は限りなく低くなりますが、完済している借金であれば時効が成立している可能性が高くなります。
時効が成立しているかしていないかについては明細書などに記載の借り入れ日から計算できますが、明細書などを紛失している、なくしてしまった場合は貸金業者から取引履歴を取り寄せることで知ることができます。
過払い金請求の手続きは早くても3ヶ月~半年程度かかるため、時効ギリギリの取り引きの場合、個人で手続きをすると手続き中に時効が成立してしまって過払い金を取り戻せなくなってしまうこともあります。
過払い金が発生しているかもしれない借り入れがある場合は、時効が成立する前に一度専門家で確認してもらうことをおすすめします。
貸金業者を忘れたり書類がない場合は杉山事務所へ
杉山事務所では過払い金に精通した司法書士が多く在籍しており、月10,000件の相談依頼※1があり月1億円の過払い金を返還している実績があります。
依頼者様の中には書類が何も残っておらずカードもなくしてしまった方や、複数の貸金業者から借り入れをしていたけれど貸金業者名を忘れてしまった方なども多くいらっしゃいます。
まずはどこの貸金業者から借り入れをしたかお調べし、過払い金が発生しているのか、またいくらくらい発生しているのかを算出してからご依頼するか決めていただく流れとなります。
特に10年以上前に借り入れを開始したかもしれない場合は過払い金が多く発生している可能性が高いです。無料相談は毎日受け付けておりますので、お気軽にメールまたはフリーダイヤルにてお問い合わせください。
債務整理・借金減額は無料相談をご利用ください。