債務整理できる条件とできない条件を徹底解説
債務整理には、おおきくわけて任意整理、個人再生、自己破産、特定調停と4種類あります。
どの手続きを選ぶべきなのかは借入件数や金額、収入などのバランスを見てきめることになりますが、自分が希望する手続きができる条件を知らなければ債務整理が思ったような結果にならず失敗したと感じてしまうこともあります。
債務整理の種類別に条件を説明しますので、自分の借金状況にあった債務整理をみつけてください。
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借金額いくらから・借入れ何社から債務整理できるか
カードローンや銀行のローンを複数利用している状態を多重債務といいます。
債務整理をおこなう人の中にはいわゆる多重債務者もいますが、複数の借入先がないとできないというわけではなく、借入先が1社でも債務整理はできます。
債務整理は経済状況などを基準に判断するため、借入先は複数である必要はありません。
経済状況が悪化して返済のために新たな借入先を増やしてしまう人もいますが、借入先を増やすより債務整理に踏み切るほうが賢明といえるでしょう。
債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」の4種類があります。
借入先は何社からできるということはありませんが、借入額に応じてどの債務整理が適当かという目安はあります。
収入にもよりますが、任意整理や特定調停であれば、60万円~100万円前後が妥当です。
任意整理や特定調停は貸金業者に交渉して利息分を減額してもらわなければなりません。
交渉しやすい額や減額後の返済も考えれば100万円程度を目安にするのが現実的です。
借金が100万円を超え、収入と比較しても返済が厳しい場合には個人再生を考えましょう。
個人再生は利息や元金という分け方をしません。
債務総額を最大5分の1、または100万円までに減額できる方法です。
たとえば500万円の借入で5分の1まで減額できた場合は100万円まで減額できると考えられます。
自己破産はそれよりさらに借入が多い場合、または安定収入が見込めないときに検討してみましょう。
債務整理の対象にできる借金
銀行カードローンは債務整理できる
銀行カードローンは債務整理の対象にできます。
銀行カードローンにもさまざまなものがありますが、どこから発行されているものでも特に例外になるというものはありません。
銀行系でも消費者金融系でも、どちらも可能です。
奨学金は債務整理できる
安定した就職先がなかなか得られないことで奨学金の返済が滞ってしまう人が増えています。
奨学金は事情で返済できないときに一定期間、返済を止められる制度が利用できることもあります。
しかし、期間を使い切っても返済できないときには滞納として処理され、その場合は連帯保証人に請求がいくのが一般的です。
奨学金は大抵の場合、親や親族が連帯保証人になっているため、債務整理をするときはトラブルを避けるためにも連帯保証人とよく相談しましょう。
返済を滞納して一括請求がきてしまった場合でも債務整理できる
滞納や遅延があると貸金業者などの借入先から一括請求を視野に入れた督促がくることがあります。
これを無視したり滞納が長引いたりすると当然一括請求されてしまいます。
貸金業者から直接請求がきているのであれば、まだ債務整理できる可能性は残されています。
ただし、裁判所を通して強制執行をされた場合は、手続きができる債務整理方法が限られてきます。
そうなる前に早めに司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。
住宅ローンの滞納も同様で、住宅ローンなどは滞納が3カ月程度続いた時点で代位弁済になる可能性が高くなります。
代位弁済とは保証会社が債務者の借金を立て替えたということになり、求償権つまり返済を請求する権利が保証会社に移行することです。
代位弁済後は保証会社から督促されます。
代位弁済がおこなわれると通常は保証会社から内容証明郵便などで通知されます。
この場合はできるだけ早く住宅ローン会社に連絡を取り、返済の意思を伝えておくのが賢明です。
債務整理できる可能性はまだ残されているので、同時に司法書士または弁護士に相談しましょう。
任意整理、個人再生した後に払えなくなってしまった…二回目の債務整理はできる
任意整理や個人再生をして新たに返済を始めても、残念ながら途中で払えなくなってしまう人もいます。
借金を減額して3年~5年という期間で分割返済することで楽になる人は多いですが、返済中に病気や失業してしまうなど事情が変わるのは仕方がない場合もあります。
任務整理や個人再生した後で約束した金額が払えなくなってしまった場合は、自己破産でリセットして人生を再スタートしましょう。
債務整理の対象にできないもの
税金の滞納は債務整理できない
税金が払えなくなったとしても税金を債務整理することはできません。
そもそも借金とはまったく違う扱いになります。
税金は前年度の収入に対して課税されるため、その年の経済事情によっては納税が困難になる人も出てきます。
事情に応じて分割に応じてくれる場合もありますので、税金は市役所や税務署に相談して分割で払っていく計画をたてましょう。
任意整理を利用できる条件
任意整理を利用するための条件
任意整理を利用するには条件がいくつかあります。
自分がどれだけ該当するかどうか考えてみましょう。
まず安定収入があることです。
任意整理は、貸金業者と和解成立した後に3年~5年かけて分割返済をしていきます。
その期間で返済できる見込みがないと任意整理できません。
最後まで返済できるよう、余裕を持って返済できる収入かどうかを考えてください。
返済の意思があることももちろん重要な条件です。
任意整理に向いている人
任意整理は裁判所を通さずに貸金業者と直接交渉する債務整理の方法です。
そのため、借入先が複数ある場合でも1社だけというように選んでおこなうことができます。
ローン返済中の家や車を残したい人は任意整理の対象から外せるので任意整理が向いているといえます。
また、奨学金のような連帯保証人がついている借金は、連帯保証人に迷惑をかけたくない人も多いでしょう。
この場合も対象外にできる任意整理が向いています。
弁護士・司法書士に断られるケース
債務整理をしたくても司法書士や弁護士に断られるケースもあります。
相談内容に嘘がある場合には受任してもらえないと考えておきましょう。
何よりも信頼関係を築くことが重要です。
また、着手金が設定されている事務所では着手金を払わないと受任してもらえません。
ほかにも、無理な要望があるなど誠実性に欠ける行為があると債務整理できないので注意してください。
利益を優先する法律事務所では報酬が見合わないとして断られることもあります。
貸金業者側が任意整理の交渉に応じないケース
任意整理は借入先である債権者が交渉に応じてくれないと成立しません。
通常であればほとんどの貸金業者は任意整理の交渉に応じてくれます。
しかし、まれに応じてくれないケースもあります。
ほか回収手段がある場合、たとえば自動車ローンのように自動車を担保にとっているようなものは自動車を引き上げるという手段があります。
すでに訴訟に発展していて判決がでている場合も含まれます。
給与の差し押さえが可能であれば任意整理の交渉には応じてもらえないでしょう。
貸金業者側がすでに訴訟の準備をしている場合や、訴状が届いている場合には任意整理の交渉はむずかしいかもしれません。
抵当権や所有権留保などのような、ローンに担保権が設定されている場合も応じないと考えるのが妥当です。
一般的なものだと住宅ローンなどが該当します。
また、過去に同じ貸金業者に対して任意整理をおこなっていればおこなっていると、応じてくれない可能性が高くなります。
借りてから1、2回しか返済していないなど日が浅い場合も交渉に応じてもらえないことが多いです。
このようなケースは借入をする段階で計画的であるという印象を持たれます。
まれにですが貸金業者によっては司法書士や弁護士事務所に対して任意整理の交渉に応じない業者もあります。
過払い金請求ができる条件
過払い金請求ができる条件について説明します。
そもそも過払い金は貸金業者に支払いすぎた利息です。
そのため、過払い金請求をするには過払い金が発生している必要があります。
過払い金が発生する条件は、利息制限法の上限金利である15%~20%を超えて取引をしていた場合です。
貸金業者は利息制限法の範囲内で貸付をおこなう必要がありますが、貸金業法が改正されるまでのあいだは、多くの貸金業者が出資法の上限金利である29.2%で貸付をおこなっていました。
そのため現在でも借金を返済している人の場合、支払いすぎた利息の分については交渉により減額できる対象になります。
法律事務所にもよりますが、減額できる可能性について契約前に見てもらうことができます。
そのためには、まず無料相談を利用してみましょう。
司法書士の場合は無料相談に応じているところが多いですが、弁護士事務所も無料相談日を設けているところがあります。
インターネットなどで調べ、無料相談をおこなっているところがあれば利用することをおすすめします。
ただし、あくまで減額の可能性を見てもらうということなので、交渉の結果はまた違ってきます。
減額できる見込みがあっても必ず希望の額まで下げられることを保証するものではありません。
いずれにしても、まず相談して不明な点や希望を伝えてみるのもいいでしょう。
個人再生を利用できる条件
個人再生を利用するための条件のひとつは返済できるだけの安定収入があることです。
会社員やアルバイトといった雇用形態は特に関係しません。
ただし、契約社員など一定の期間を経過すれば雇用自体がどう変化するか分からない場合は、対象として見られない可能性が出てきます。
個人再生は減額ができれば分割返済が新たに開始されます。
裁判所を通して減額された借金を原則3年間で返済していきます。
特別な事情がある場合、返済期間が延長されることはありますが、長くても5年という期間で借金を完済することになります。
そのあいだに雇用契約が切れてしまうような場合は条件に沿わないと考えてください。
契約更新される見込みがあったとしてもできない可能性もあると判断されてしまうでしょう。
自営業者の場合も同様の判断がされることがあります。
数年先までの年商が見込めるような業種なら問題ないかもしれませんが、事業計画書や何らかの証明を求められることは考えられます。
個人再生は、減額によって組み直しされた返済がしっかりできるという安定した収入のある人に向いています。
個人再生の住宅ローン特例を利用した場合、マイホームを残したまま、住宅ローン以外の借金を大幅に減額してもらうことが可能です。
ただし、住宅ローン特例が認められないケースもあります。
詳しい内容は貸金業者の借入状況や経済事情、住宅ローンの契約などに関係してくるので、専門家に相談したほうが確実です。
個人再生で個別に債務整理の対象から外せるのは住宅ローンのみなので、ほかにも債務整理から外したいものがある人は任意整理が向いているといえます。
ただし、実際には条件やケースで手続きができるのか異なるので、司法書士や弁護士に直接たずねるほうが確実ですし安心です。
また、過払い金が発生していれば借金はそのぶん減額できます。
自己破産ができる条件
自己破産は希望すれば誰でもできるというわけではありません。
自己破産ができる条件があるので注意してください。
一番の条件は返済能力がないことです。
返済能力とは資産なども含めたものをいいます。
自己破産を利用できないケース
自己破産できるかどうか最終的な決定は裁判所の判断に委ねられます。
担当裁判官による部分もあるので、一般的には妥当と判断できる人でも自己破産できないケースもあります。
ただし、裁判所の判断を仰がなくても一般的に見て自己破産できないケースがあるので解説します。
ひとつは免責不許可事由に該当することです。
免責不許可事由とはギャンブルや浪費、詐欺的行為や特定の貸金業者や身内にのみ勝手に返済を続けているなどの行為が代表的な例です。
そういった行為が発覚した場合は、基本的に認められない傾向が高いといえます。
しかし、失業や倒産などやむを得ない事情で生活費として借入したものでも、それ以前の生活が豊かである場合などまれに浪費という判断をされることがあります。
このような判断に関しては裁判官の個人差が出ることは否めません。
ただし、不動産や預貯金など資産とされるものを返済に充て、それでも返済できない借金があれば自己破産は可能です。
そのほか、クレジットカードの現金化などをおこなっていた場合は自己破産できません。
2回目の自己破産には期間制限があるので、専門家の意見を聞いてみましょう。
自己破産と職業・資格の制限
自己破産をすると、宅地建物取引士や公証人、行政書士や警備員などのほか、制限される職業や資格があります。
地域によっても異なるものが出てくるので、詳しい内容はそれぞれの地域の司法書士や弁護士に相談する際に確認するほうが確実です。
職業や資格の制限は生活に関わることなので簡単に判断してはいけません。
該当する人はこれらのリスクを負っても自己破産をすべきかどうか十分考えてみましょう。
ただし破産の手続きが認められればまた同様の職業につくことは可能です。
特定調停を利用するための条件
特定調停とは主に利息の減額を交渉するものです。
任意整理に似ていますが裁判所が交渉してくれるという点が違います。
相手が減額に応じてくれて和解が成立すれば、その後は分割返済が開始になります。
特定調停を利用するには、自分で資料を揃えることが条件です。
裁判所に申し立てる費用は貸金業者1社当たり500円程度とかなり安い費用でできます。
その代わり申し立てまでの準備や、実際に交渉に当たってくれる調停員への説明も自分でできることが条件です。
そのため、特定調停に向いている人は資料を揃える作業や裁判所での説明に時間を取れる人といえます。
特定調停は自分個人でできる債務整理ですが、その代わり過払い金が出ていても同時に過払い金請求の手続きはできないというデメリットもあります。
また、調停員は債務整理の専門家ではないので、説明に時間を要することも覚悟しておきましょう。
債務整理に対して最善のアドバイスをもらえないこともあります。
借入額や返済能力によっては自己破産や個人再生が妥当である場合も考えられます。
実際にどの債務整理を対象にしたほうがいいかは、債務整理に慣れた専門家に相談してアドバイスをもらうのが適切といえるでしょう。
債務整理をする場合は司法書士や弁護士に相談
債務整理手続きはどの手続きであっても、本人の希望の手続きが必ずできるというわけではありません。
また、虚偽の申告や隠し事、手続き前に財産隠しとして名義変更をしたりすると手続きに制限がでてくる場合があります。
一人で悩み続けるより、司法書士や弁護士の無料相談を利用しましょう。
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