任整整理を自分でする場合に知るべきデメリット
借金やクレジットカードなどで、返済ができなくなってしまったときに考えたいのが債務整理。債務整理の中でも、特に簡単にできる手続きが任意整理です。しかし、いくら借金が軽くなるからといって、司法書士や弁護士といった専門家に依頼すれば費用がかかります。
「簡単にできるというなら自分で手続きができるのでは」と考える方も多いでしょう。 たしかに、任意整理は債権者との個人的な交渉によるものなので、裁判所を介さずに簡易的な手続きで進められます。しかし、債権者との交渉を有利に進めるためには、一定程度の法律の知識や債務整理の経験が必要です。
また、資料を集めたり、貸金業者と話し合ったりしなければならず、手間も時間もかかるため、仕事を持っている方には大きな負担となります。任意整理の手続きを自分で進めるとどうなるのかについて、具体的にイメージをした上で、司法書士や弁護士への依頼を検討してみてください。
任意整理を自分でするメリットとデメリット
任意整理を自分でする場合のデメリット
- 手続きに手間がかかる
- 減額幅が少なくなる
- 督促が止まらない
- 過払い金を見落とす
- 任意整理で合意するまでに時間がかかる
手続きに手間がかかる
債務整理の中では比較的簡易的な手続きの任意整理ですが、一定程度の手間はかかります。まず貸金業者に取引履歴の開示請求をして、将来利息を免除してもらうなどの交渉を行い、和解書を結びます。
任意整理は法的なルールがあるわけではなく、貸金業者との個人的な交渉になります。自分でやるとなると、貸金業者とのやりとりをすべて自分でやらなければなりません。交渉するための知識が必要ですし、精神的な負荷も小さくありません。
減額幅が少なくなる
自分で交渉をすると、将来利息や遅延損害金などの減額幅が少なくなる可能性があります。場合によってはまったく相手にされない場合もあります。
債務整理を専門とする司法書士や弁護士に依頼すると、貸金業者も「個人再生や自己破産でまったく借金を返されなくなるよりはましだ」ということで、わりとすんなり減額をしてくれることがあります。
督促が止まらない
司法書士や弁護士に依頼すると、債務整理手続きの代理人となったことを伝える受任通知を貸金業者に送ります。受任通知が届くと、貸金業者はそれ以降借金の督促をできなくなります。
司法書士や弁護士に依頼せずに自分で手続きをしようとすると、貸金業者からの督促を止められません。任意整理の交渉中も督促を受けることとなり、精神的な負担が大きくなります。
過払い金を見落とす
2007年以前から借金をしている方には過払い金が発生している可能性があります。過払い金がある場合、現在の借金から差し引いて減額することができます。
ただし、過払い金が発生しているかどうかは借り入れの時期や金額を正確に調べ、かなり複雑な計算をする必要があります。
任意整理を自分でやると、引き直し計算も自力でやらなければならず、過払い金が発生していることを見落とすリスクがあります。
債務整理を専門に扱っている司法書士や弁護士に依頼すれば、任意整理の際に過払い金についても調査してくれるので、借金の元金を減額できる可能性もあります。
任意整理で合意するまでに時間がかかる
法律や債務整理についての素人だと、ほとんどの貸金業者はまともに相手をしてくれません。それでも将来利息や遅延損害金の免除を認めてもらうためには、かなりの時間をかけて交渉しなければならなくなります。
司法書士や弁護士が依頼を受けて交渉をする場合、交渉決裂になると個人再生や自己破産という手段に持ち込まれる可能性があります。貸金業者にとっては、少なからず元金だけはしっかり回収できるので、任意整理で早々に和解しておこうという業者は多いのです。
任意整理を自分でする場合のメリット
- 費用が安く済む
費用が安く済む
任意整理を自分でやることのメリットは、やはり費用がかからないことです。司法書士や弁護士などの専門家に依頼した場合の料金の目安としては、貸金業者1件につき4~5万円ほどです。
借金の返済で困っている状況であれば安くはない金額ですが、自分で手続きをする手間や、借金の督促に苦しむ時間が長くなることなどを考慮して、どちらが得策かを検討するといいでしょう。
任意整理を自分でする場合の流れ
弁護士に依頼せず、任意整理を自分でする場合は次のような手続きで進めていくことになります。
1.取引履歴の開示請求をする
まずはどこに、どれだけの借金があるかを整理します。正確な借入時期、金額、返済状況を把握するために取引履歴の開示請求をします。契約している貸金業者に問い合わせをします。開示請求は電話やFAX、インターネットなどからすることができます。
貸金業者によっては、開示の理由を聞かれることがあります。「返済状況を確認するため」といった当り障りのない回答をしておきましょう。
2.引き直し計算する
2007年以前に借入をした人には過払い金が発生している可能性があります。開示請求をした取引履歴から引き直し計算を行って、過払い金が発生しているかどうかを判断します。
引き直し計算は、貸金業者の利率、借り入れからの返済時期と金額などにより細かく計算する必要があります。非常に複雑な計算方法ですが、内容を打ち込むことで自動計算してくれる無料のソフトなどもあります。
3.過払い金が発生していた場合)過払い金の返還請求書を送る
過払い金が発生していた場合、過払い金返還請求書を送ります。証拠能力を高めるために、内容証明郵便で郵送するといいでしょう。
返還請求に応じない場合は訴訟に発展します。裁判になると、手間も時間もかかって、自分で手続きを進めることは非常に難しくなるので、司法書士や弁護士に依頼することをおすすめします。
4.和解案を送る
過払い金があった場合は借金の残額から差し引いて計算し直し、滞納なく支払いの出来る月々の返済額と返済期間を算出します。また、将来利息や遅延損害金の免除も交渉の対象として和解案を作成し、貸金業者に提示します。
5.和解交渉する
和解案を基に、貸金業者と交渉をします。話し合いによる解決である任意整理は、この和解交渉がすべてであると言っても過言ではありません。
6.和解契約を結ぶ
交渉が成立すると、和解契約を結びます。和解の内容を確認するために和解書を作成します。和解書に決まった書式はありません。記述すべき内容は、債権者と債務者の名称、和解内容、署名した日付などです。
これを貸金業者と本人の2部用意して、それぞれに当事者両名の署名捺印をして、各々で保管します。
7.和解契約に基づき返済する
和解契約に記した内容に基づいて、借金の返済をします。任意整理後に返済を滞納すると、通常2カ月分が滞納となった時点で一括請求をされます。
返済が難しければ再度和解交渉をすることも可能ですが、一度和解しているので、和解内容は以前よりも厳しくなる可能性があります。
交渉がまとまらない場合は特定調停
任意整理で利息免除にならなかったり、月々の返済額を減額できなかったりと、貸金業者との交渉がまとまらなかった場合、次の選択肢として特定調停というやり方があります。
特定調停とは
特定調停とは、裁判所を通して手続きを行う債務整理の方法です。裁判所が任ずる調停委員を介して貸金業者と交渉し、支払ができなくなった借金の減額、利息の免除、毎月の返済額の減額などの調整をしてもらいます。
特定調停の流れ
特定調停の相談をする
まずは特定調停についての相談をしましょう。特定調停のメリットは、弁護士に依頼せず自分で手続きを進められる点です。
何から手を付けていいかわからない場合は、自治体が設置する法律相談や、法テラスなどで無料相談ができます。あるいは、申立てをする簡易裁判所に直接問い合わせをしてください。
特定調停申立書の作成をする
特定調停の申立書は、裁判所の窓口で用紙を受け取るか、裁判所のホームページからダウンロードすることができます。申立人と相手方の名称と住所。借金の状況などを記載します。
特定調停の申し立てる
申し立ては簡易裁判所にします。特定調停申立書のほか、関係権利者一覧表、資産状況がわかる資料など、一連の書類を揃えて提出します。必要な書類は裁判所によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
債権者へ通知する
簡易裁判所に申し立てをすると、裁判所から貸金業者に申立書等の資料が郵送されます。これを受けて、貸金業者は契約書や取引履歴、引き直し計算書などを提出します。通知を受けた後は、貸金業者は借金の取り立てができなくなります。
第1回調停
債務者が直接裁判所に行って、調停委員と面談を行います。その際、返済ができなくなった理由、生活状況、収入、これからの返済見通しなどについて説明します。
第2回以降の調停
貸金業者も交えて話し合いを行います。ここで残りの返済額、返済方法を調整していきます。貸金業者との話し合いは調停委員が行うので、債務者が直接交渉する必要はありません。
調停調書の作成する
特定調停が成立すると、調停調書を作成し、合意した内容を記述します。
調停調書に基づき返済する
調停調書に基づき返済していきます。調停調書は裁判における判決と同じような効力をもちます。債務者が調書どおりに返済しなかった場合、貸金業者は調書の内容を根拠に差し押さえなどの強制執行手続きをとることができるので、返済は調書の通りに滞りなく行っていく必要があります。
任意整理を自分でする注意点
任意整理を自分で行おうとする際には次のことに注意をしてください。
取引履歴の取り寄せに注意
ゼロ和解
取引履歴を取り寄せて引き直し計算を行うと、過払い金が発生している可能性があります。その際、借金の残額よりも過払い金のほうが多かった場合、逆に債務者から貸金業者への請求ができます。
過払い金が発生していて返還しなければならない可能性がでてくると、過払い金の請求をしない代わりに借金をゼロにする「ゼロ和解」を持ちかけられることがあります。
引き直し計算は複雑でわかりにくいこともあるため、自分で任意整理を行うと過払い金を請求できることに気がつかないというリスクがあります。
取引履歴の取り寄せに時間がかかる
自分で取引履歴の取り寄せを行うと時間がかかる場合があります。貸金業者は債務整理のプロである司法書士や弁護士などへの対応を優先します。そのため、個人で取り寄せを依頼すると後回しにされてしまう可能性があります。
過払い金の見落としに注意
引き直し計算を間違える可能性がある
引き直し計算は非常に複雑です。借入の時期、利率、返済額などの情報を取引履歴から細かく引き出し、計算をし直します。無料の引き直し計算ソフトもネットからダウンロードすることができますが、自分でやると記入ミスや計算間違いをして、実際に過払い金が生じているのに見落としてしまうことがあります。
貸金業者との交渉に注意
不当な条件で貸金業者と和解しない
任意整理を自分で行うときに一番リスクが大きいのが貸金業者との交渉です。弁護士に依頼せずに自分で交渉に臨むと、相手が素人だからということで不当な条件での和解案を提示してきます。
業者によっては、そもそも交渉に応じてくれないことも少なくありません。
任意整理するなら杉山事務所に依頼したほうが良い理由
任意整理は簡単な債務整理だと言われていますが、貸金業者との話し合いによって返済の負担を小さくしてもらう方法です。法律の知識や債務整理の経験がない素人には非常に難しく、手間も時間もかかります。
債務整理の実績が豊富な専門家に依頼すると、貸金業者との交渉がスムーズにいき、債務者の有利な条件で和解できる可能性も高くなります。
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