相保証(あいほしょう)とは?

相保証とは、複数の借り手が互いの債務を保証し合う契約形態です。例えば、AさんとBさんが別々に融資を受ける際に、Aさんが Bさんの返済を保証し、同時にBさんがAさんの返済を保証する仕組みとなります。

この制度は以前は消費者金融などで用いられていましたが、借り手にとってリスクが大きく、現在では主流ではなくなっています。相保証の仕組みを理解することで、過去の借入トラブルの解決や将来の借入における注意点を把握することができます。

相保証の基本的な仕組み

相保証は、複数の借り手が互いに保証人となり、それぞれの債務を保証し合う制度です。一般的には2人が組むケースが多く見られますが、3人以上の場合もあります。

相保証の流れ AさんとBさんがそれぞれ別々に借入を行う際、互いに相手の保証人となります。どちらかが返済不能になると、もう一方が返済義務を負うことになります。
保証の範囲 基本的には元金と利息、および遅延損害金などを含む全額が保証の対象となります。契約内容によって範囲が定められています。
貸金業者の狙い 債務者本人からの回収が困難な場合でも、保証人から回収できる可能性を確保する目的があります。また、互いに監視し合う関係を作ることで、返済の確実性を高める意図もあります。

相保証の契約は、融資契約の際に同時に結ばれることが一般的です。契約書には保証の範囲、責任の内容などが明記されており、署名・捺印により効力が発生します。

相保証のリスクと問題点

相保証には借り手にとって様々なリスクや問題点が存在します。このような制度が現在あまり見られなくなった理由も、以下のような課題が認識されるようになったためです。

予期せぬ債務負担 自分自身は返済を続けていても、相手が返済不能になった場合に突然高額な債務を負うことになります。これにより自分の生活まで圧迫されるリスクがあります。
人間関係の悪化 相手の返済状況によっては人間関係が悪化する可能性があります。特に友人や知人と相保証を組んだ場合、金銭トラブルによって関係が壊れることも少なくありません。
連鎖的な経済的破綻 一方が経済的に破綻すると、もう一方も同様に経済的困難に陥りやすくなります。これは「返済不能の連鎖」を引き起こす可能性があります。
情報の非対称性 相手の返済状況や経済状況を常に把握することは困難であり、突然の債務負担に対して準備ができないことが多いです。

上記の表は相保証の主なリスクと問題点をまとめたものです。こうしたリスクは借り手にとって大きな負担となるため、現在では相保証を求める貸金業者は減少しています。

相保証に関する法的対応

相保証によるトラブルや過大な債務負担に対して、法的な対応策もいくつか存在します。これらを理解することで、相保証による問題を解決する手がかりとなります。

  1. 保証債務の履行請求に対する異議申立て:保証契約に不備がある場合や、契約時の説明が不十分だった場合には、履行請求に対して異議を申し立てることができます。
  2. 保証契約の錯誤無効主張:契約時に重要な事実について誤解があった場合、錯誤による無効を主張できる可能性があります。
  3. 消滅時効の援用:保証債務にも時効があり、一定期間が経過していれば時効を主張できる場合があります。
  4. 債務整理による解決:自己破産や民事再生などの債務整理手続きにより、保証債務も含めた債務問題の解決を図ることができます。

相保証に関するトラブルは複雑な法律問題を含むことが多いため、専門家である司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。杉山事務所では相保証に関する問題についても無料相談を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

相保証と債務整理の関係

相保証の問題を抱えている方が債務整理を検討する際には、いくつかの特有の注意点があります。相保証と債務整理の関係を理解することで、より適切な解決策を見つけることができます。

自己破産の場合
  • 自己破産により自分の債務は免責されますが、保証人としての責任はそのまま残る可能性があります。
  • 相手も同時に自己破産すれば、双方の債務が整理されます。
  • 保証人の責任が残る場合、貸金業者は保証人に対して請求を強化することがあります。
個人再生の場合
  • 債務の一部が減額されますが、保証債務についても状況を確認する必要があります。
  • 再生計画に保証債務を含めて整理する方法を検討できます。
  • 保証人との関係や双方の経済状況を考慮した計画作成が重要です。
任意整理の場合
  • 債権者との交渉により保証契約についても見直しを求めることができる場合があります。
  • 相保証をしている相手との調整や情報共有が重要になります。
  • 双方が同時に任意整理を行うことで、より効果的な解決につながることもあります。

債務整理を検討する際には、相保証の関係にある相手との調整や情報共有が重要です。また、双方の債務状況を総合的に考慮した解決策を検討することが必要になります。

よくある質問

原則として、すでに成立した保証契約を一方的に解除することは難しいです。解除するためには貸金業者の同意が必要になります。

ただし、契約時の説明が不十分だった場合や、不適切な勧誘があった場合には、契約の無効や取消しを主張できる可能性があります。具体的な状況に応じて専門家に相談することをおすすめします。

相保証人が自己破産した場合、その方の債務に対する請求が保証人である貴方に向けられる可能性が高くなります。

貸金業者は回収が困難になった債権について、保証人からの回収を強化する傾向があります。そのため、突然の請求に備えて法的な対応策を事前に検討しておくことが重要です。

保証債務にも消滅時効があり、一般的には最後の取引や請求から5年または10年が経過していれば時効を主張できる可能性があります。

ただし、時効の起算点や中断事由など、複雑な法律判断が必要になるため、請求を受けた際には速やかに専門家に相談することをおすすめします。安易に債務を認めたり、一部でも支払ったりすると時効が中断してしまう可能性があります。

杉山事務所では、相保証に関するトラブルについても無料相談を受け付けています。

具体的な契約内容や現在の状況をお聞きした上で、最適な解決策をご提案いたします。相保証は複雑な法律問題を含むことが多いため、専門家による適切なアドバイスが重要です。お気軽に杉山事務所の無料相談をご利用ください。

まとめ

相保証は、複数の借り手が互いの債務を保証し合う制度であり、かつては消費者金融などで利用されていましたが、借り手にとってのリスクが大きいため、現在ではあまり見られなくなっています。

相保証の最大の問題点は、自分は返済を続けていても、相手が返済不能になった場合に予期せぬ債務を負う可能性があることです。これにより経済的困難が連鎖的に広がり、人間関係の悪化も招くことがあります。

相保証によるトラブルに対しては、契約の無効主張や債務整理などの法的解決策があります。特に債務整理を検討する場合は、保証債務の扱いについても専門家に相談することが重要です。

相保証に関する問題を抱えている方は、一人で悩まず、専門家に相談することをおすすめします。杉山事務所では相保証のトラブルについても無料相談を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。適切な解決策を見つけ、将来に向けた新たな一歩を踏み出すお手伝いをいたします。

債務整理用語集一覧に戻る

お気軽に無料相談をご利用ください。

page top