法定利息(ほうていりそく)とは?
法定利息(法定利率とも呼ばれる)とは、法律によって定められている金利のことを指します。
契約当事者間で特に金利の取り決めがない場合に、自動的に適用される利率です。
法定利息の基本概念
定義 | 法律で定められた利率 |
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目的 | 利息に関する紛争の予防と公平な取引の促進 |
法的根拠 | 民法第404条、商法第514条 |
法定利息の種類
民事法定利率
適用 | 当事者がともに非商人の場合 |
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利率 | 年5% |
商事法定利率
適用 | 当事者の一方または双方が商人の場合 |
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利率 | 年6% |
法定利息の適用条件
- 契約で利率の定めがない場合
- 法律で特別な定めがある場合
- 商行為によって生じた債務の場合(商事法定利率)
法定利息の機能
デフォルト利率 | 特約がない場合の標準的な利率として機能 |
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上限規制 | 一部の取引における利息の上限を定める基準となる |
遅延損害金の基準 | 債務不履行の際の損害賠償額算定の基準となる |
法定利息の影響
契約解釈 | 利率の定めがない契約の解釈に影響を与える |
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債務計算 | 債務額の計算に用いられる |
損害賠償 | 遅延損害金の計算基準となる |
法定利息と約定利息の違い
法定利息 | 法律で定められた利率 |
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約定利息 | 当事者間の契約で定められた利率 |
法定利息に関する注意点
適用範囲 | すべての取引に適用されるわけではない |
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強行法規性 | 当事者間の合意によっても排除できない場合がある |
改正の可能性 | 法改正により利率が変更される可能性がある |
債務整理における法定利息について
債務計算 | 債務整理における債務額の計算に影響を与える |
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遅延損害金 | 債務不履行時の損害金計算の基準となる |
和解交渉 | 債権者との交渉における基準点として機能する可能性がある |
法定利息のこれまでの変遷
- 民法制定時(1896年):年5%
- 商法制定時(1899年):年6%(商事法定利率)
- 現在に至るまで基本的な利率の変更なし
法定利息の国際比較
日本 | 民事5%、商事6% |
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アメリカ | 州によって異なる(一般的に4%~10%程度) |
ドイツ | 基準金利+5%(変動制) |
フランス | 政令で定める(変動制) |
法定利息についてのよくある質問
民事法定利率(年5%)は、当事者がともに非商人(一般個人)の場合に適用され、商事法定利率(年6%)は、取引の当事者の一方または双方が商人である場合に適用されます。
例えば、個人間の金銭貸借では民事法定利率が、企業との取引では商事法定利率が適用されます。
ただし、消費者契約の場合は、事業者が相手方であっても民事法定利率が適用されることがあります。
はい、契約書に利息についての特別な定めがない場合は、自動的に法定利息が適用されます。
これは民法の規定により、当事者間で利率について特別な合意がない場合のデフォルトの利率として機能します。
ただし、無利息の合意がある場合や、取引の性質上利息を付すことが適切でない場合などは例外となります。契約書作成時には、利息について明確に定めておくことが望ましいでしょう。
原則として、遅延損害金について特別な定めがない場合は法定利息と同じ利率が適用されます。
ただし、契約書で別途遅延損害金の利率を定めている場合は、その約定利率が優先されます。
なお、消費者契約の場合は利息制限法や消費者契約法による制限を受けることがあり、約定利率が法定利息を大きく上回る場合は無効となる可能性があります。
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