異議申立【支払督促】(いぎもうしたて・しはらいとくそく)とは?
異議申立(支払督促)とは、裁判所から送られてきた支払督促に対して、債務者が内容を争うために行う手続きです。支払督促に異議を申し立てることで、通常の訴訟手続きに移行し、裁判所で審理されることになります。
支払督促は債権者が簡易・迅速に債権回収するための制度ですが、異議申立をすることで債務者も自分の言い分を主張する機会を得ることができます。
支払督促と異議申立の基本
支払督促とは、債権者(お金を貸した側)が債務者(借りた側)に対して、裁判所を通じて支払いを求める簡易な手続きです。通常の裁判と違い、債務者の言い分を聞かずに発行されるという特徴があります。
支払督促が届いたからといって、必ずしもその内容をそのまま受け入れる必要はありません。債務者には「異議申立」という権利が認められており、これを行使することで通常の裁判手続きに移行します。
支払督促の特徴 | 債務者の言い分を聞かずに発行される |
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異議申立の効果 |
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上記の表は支払督促と異議申立の基本的な特徴をまとめたものです。異議申立をすることで、一方的な支払命令から、双方の主張を聞く公平な手続きに変わります。
異議申立の方法と期限
異議申立は、支払督促を受け取ってから2週間以内に行わなければなりません。この期間を過ぎると、支払督促が確定してしまい、強制執行の対象となってしまうことがあります。
- 支払督促を受け取る
- 異議申立書を作成する
- 裁判所に異議申立書を提出する(2週間以内)
- 訴訟手続きに移行
上記のリストは異議申立の基本的な流れです。異議申立書の作成には専門的な知識が必要な場合があるため、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
異議申立書には、支払督促の内容のどの部分に異議があるのかを明確に記載する必要があります。全部に異議を申し立てる場合でも、その理由を簡潔に記載することが望ましいです。
異議申立書に記載する内容 |
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異議申立書の作成は専門的な知識が必要です。書式を間違えたり、期限を過ぎたりすると効力が認められないことがありますので、不安な場合は専門家に相談することをおすすめします。
異議申立後の流れ
異議申立が受理されると、手続きは通常の訴訟に移行します。これにより、裁判所での口頭弁論が行われ、双方の言い分を主張する機会が設けられます。
- 異議申立が受理される
- 第一回口頭弁論期日の通知
- 裁判所での審理(口頭弁論)
- 和解または判決
異議申立後は、通常の裁判と同様の流れで進行します。裁判所での審理では、債務の存在や金額について争うことができます。
口頭弁論では、債務者側も主張や証拠を提出できるため、支払督促の内容に不服がある場合は積極的に主張すべきです。例えば、借入の事実がない、金額が違う、すでに返済済みなどの主張が可能です。
異議申立をしないとどうなるか
支払督促に対して2週間以内に異議申立をしないと、支払督促は確定します。確定した支払督促には、裁判所の判決と同じ効力(既判力・執行力)が生じます。
支払督促確定の効果 |
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支払督促が確定すると、債権者は債務者の財産(給与や預金など)に対して強制執行を申し立てることができます。そのため、内容に不服がある場合は必ず期間内に異議申立を行うことが重要です。
特に、借入の覚えがない、すでに返済済み、金額が違うなどの場合は、必ず異議申立をするべきです。放置すると、不当な支払義務を負う可能性があります。
債務整理中の支払督促への対応
債務整理を検討している、または手続き中に支払督促が届いた場合は、特に注意が必要です。債務整理の種類によって対応が異なります。
任意整理中の場合 | 交渉中の債権者からの支払督促には異議申立をし、任意整理の交渉を継続する |
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個人再生・自己破産申立中の場合 | 支払督促に異議申立をして訴訟に移行させ、個人再生や自己破産の申立てにより中止させる |
個人再生・自己破産開始決定後の場合 | 債権者に対して債務整理手続きが開始されていることを通知する |
上記の表は債務整理の各段階における支払督促への対応方法をまとめたものです。債務整理中であっても支払督促には適切に対応することが重要です。
債務整理と支払督促への対応は複雑なため、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。杉山事務所では、このような状況における適切な対応について無料相談を行っています。
よくある質問
借りた覚えがない場合は、必ず異議申立をしてください。異議申立をすることで通常の訴訟手続きに移行し、裁判所で事実関係を争うことができます。
異議申立をしないまま放置すると、支払督促が確定してしまい、借りていないお金でも支払義務が生じてしまう可能性があります。異議申立は2週間以内に行う必要がありますので、早めに専門家に相談することをおすすめします。
異議申立自体に裁判所への手数料はかかりません。ただし、専門家に依頼する場合は、その報酬が必要になります。
異議申立後の訴訟手続きでは、訴訟の結果によっては訴訟費用を負担することがありますが、正当な理由があって異議申立をする場合は心配する必要はありません。具体的な費用については、個別の状況により異なりますので、杉山事務所の無料相談でお気軽にお尋ねください。
原則として、2週間の異議申立期間を過ぎると支払督促は確定し、裁判所の判決と同じ効力を持ちます。ただし、やむを得ない事由により期間内に異議申立ができなかった場合は、「異議申立ての追完」という手続きが認められる場合があります。
これは、支払督促を知った日から2週間以内に申し立てる必要があり、「やむを得ない事由」が消滅した日から1週間以内に行わなければなりません。この手続きは非常に厳格に判断されますので、期限を過ぎた場合はすぐに専門家に相談することをおすすめします。
異議申立後は通常の訴訟手続きに移行しますので、自分の主張を裏付ける証拠を集めることが重要です。例えば、返済したことを主張するなら領収書や振込記録、借入金額が違うと主張するなら契約書や取引履歴などを準備しましょう。
また、口頭弁論では自分の言い分を明確に伝える必要がありますので、主張内容を整理しておくことも大切です。専門的な知識が必要になるため、司法書士や弁護士などの専門家に相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。
まとめ
支払督促は債権者が簡易・迅速に債権回収するための手続きですが、債務者には異議申立という権利が認められています。異議申立をすることで、一方的な支払命令ではなく、裁判所で双方の言い分を主張できる訴訟手続きに移行します。
異議申立は支払督促を受け取ってから2週間以内に行う必要があり、期限を過ぎると支払督促が確定して強制執行の対象となる可能性があります。異議申立書の作成には専門的な知識が必要な場合が多いため、不安な場合は専門家に相談することをおすすめします。
債務整理中に支払督促が届いた場合も、適切に対応することが重要です。債務整理の種類や段階によって対応方法が異なりますので、専門家のアドバイスを受けることが望ましいでしょう。
支払督促や異議申立についてお悩みの方は、杉山事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。債務整理の専門家がご相談者様の状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。
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