委任契約(いにんけいやく)とは?

委任契約とは、ある行為を行うことを他人に任せる契約です。具体的には、ある人(委任者)が他の人(受任者)に対して、法律行為をすることを委託する契約を指します。

債務整理の場合、債務者が弁護士や司法書士などの専門家に手続きを依頼する際に結ぶ契約がこれにあたります。この契約によって、専門家は依頼者に代わって債権者との交渉や必要書類の作成・提出などを行う権限を得ることができます。

委任契約の法的根拠と基本概念

委任契約は民法第643条以下に規定されており、法律行為の委託を目的とする契約です。債務整理の場合、依頼者である債務者が委任者となり、弁護士や司法書士が受任者となります。

法的根拠 民法第643条「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」
契約の性質
  • 諾成契約(当事者の合意のみで成立)
  • 有償・無償いずれも可能(専門家への依頼は通常有償)
  • 信頼関係を基礎とする契約
当事者
  • 委任者:行為を委託する側(債務者)
  • 受任者:委託された行為を行う側(弁護士・司法書士)

委任契約は基本的に当事者間の信頼関係に基づいて結ばれるものです。そのため、受任者は委任者の意向を尊重しながら、専門的知識を活かして最善の結果が得られるよう行動する義務があります。

債務整理における委任契約の役割

債務整理の手続きは法律知識が必要であり、専門家に依頼することで手続きをスムーズに進めることができます。委任契約を結ぶことで、依頼者は以下のようなメリットを得ることができます。

専門家への権限付与 債権者との交渉や書類作成などの権限を専門家に与え、債務者本人に代わって手続きを進めることができます
債権者との交渉代行 債権者からの取立てや連絡が専門家に向けられるようになり、精神的負担が軽減されます
専門的知識の活用 法律の専門家のアドバイスを受けながら、最適な債務整理の方法を選択できます
責任の明確化 依頼内容と専門家の責任範囲を明確にすることで、トラブルを防止できます

債務整理の場合、委任契約を結ぶことで債権者に対する交渉力が高まり、より有利な条件での和解が期待できます。また、専門家が介入することで違法な取立行為から保護される効果もあります。

委任契約の具体的な内容

債務整理における委任契約には、主に以下の内容が含まれます。契約書には依頼内容や報酬について明確に記載されていることが重要です。

  1. 債務整理の方法選択(任意整理個人再生自己破産など)
  2. 債権者との交渉内容や方針
  3. 必要書類の作成と提出
  4. 裁判所での手続き(必要な場合)
  5. 報酬額と支払方法(着手金、成功報酬など)
  6. 受任者の報告義務
  7. 契約の解除条件
  8. 秘密保持義務

これらの内容は、依頼する債務整理の種類や事務所のポリシーによって詳細が異なります。契約前に十分な説明を受け、不明点がある場合は質問することが大切です。

受任者の主な義務
  • 委任された事務を誠実に遂行する義務
  • 善管注意義務(専門家としての注意義務)
  • 定期的な報告義務
  • 秘密保持義務
委任者の主な義務
  • 必要な情報・資料の提供
  • 報酬の支払い(有償の場合)
  • 必要経費の償還

特に債務整理の場合は、正確な債務状況を伝えることが重要です。意図的に情報を隠したり虚偽の報告をしたりすると、適切な手続きができなくなる可能性があります。

委任契約締結時の注意点

債務整理の委任契約を結ぶ際には、以下の点に注意しましょう。契約内容をしっかり確認し、納得した上で契約することが大切です。

委任内容の明確化 依頼する債務整理の種類や具体的な業務内容を明確にし、契約書に記載されているか確認しましょう
報酬体系の確認 着手金、成功報酬、分割払いの可否など、費用に関する条件を詳細に確認しましょう
必要書類の確認 依頼者が準備すべき書類や資料のリストを確認し、期限内に提出できるようにしましょう
解約条件の確認 途中解約の場合の報酬や返金条件について、前もって確認しておきましょう
見通しの共有 債務整理にかかる期間や想定される結果について、専門家から説明を受けておきましょう

委任契約は信頼関係に基づく契約ですので、疑問点や不安な点は契約前に解消しておくことが重要です。杉山事務所では、契約前の無料相談で丁寧に説明いたしますので、お気軽にご相談ください。

委任契約の終了

委任契約は、以下のような場合に終了します。特に債務整理の場合は、手続きが完了するまでに時間がかかることがありますので、契約期間についても確認しておきましょう。

  • 委任事務の完了(債務整理手続きの終了)
  • 委任期間の満了(期間を定めた場合)
  • 当事者の合意による解除
  • 一方的な解除(委任者・受任者どちらからも可能)
  • 当事者の死亡・破産・後見開始

委任契約は原則として両当事者がいつでも解除できますが、不利な時期に解除すると損害賠償責任が生じる可能性があります。例えば、債務整理の重要な局面で突然解約した場合などです。

また、契約終了時には、受任者は委任事務の経過と結果について報告し、受け取った金銭や書類などを返還する義務があります。

よくある質問

はい、状況の変化に応じて債務整理の方法を変更することは可能です。例えば、最初は任意整理で進めていたが、返済が難しくなり個人再生や自己破産に切り替えるケースなどがあります。

ただし、方法の変更に伴い追加費用が発生する場合があります。また、既に進めていた手続きの費用が無駄になる可能性もありますので、専門家とよく相談した上で決断することをおすすめします。

委任契約後に新たな債務が見つかった場合は、速やかに受任者(弁護士・司法書士)に報告することが重要です。契約時に把握していなかった債務については、追加で手続きを行う必要があります。

場合によっては追加費用が発生することもありますが、隠れた債務があると債務整理の効果が十分に得られないこともあるため、必ず報告しましょう。杉山事務所では、途中で見つかった債務についても丁寧に対応いたします。

着手金が一括で支払えない場合、多くの事務所では分割払いに対応しています。また、法テラスの民事法律扶助制度を利用できる場合もあります。

杉山事務所では、お客様の経済状況に配慮した柔軟な支払プランをご用意しております。着手金や初期費用は無料で費用の分割払いなど、ご相談に応じて対応いたしますので、費用面でご不安がある場合もまずはお気軽にご相談ください。

委任契約後の連絡方法は事務所によって異なりますが、電話、メール、書面、対面での面談など様々な方法があります。定期的な報告会や進捗状況のお知らせなどのルールを設けている事務所もあります。

杉山事務所では、お客様が安心して手続きを任せられるよう、定期的な報告とご質問への迅速な対応を心がけております。また、重要な局面では対面での相談機会も設けておりますので、ご不安な点があればいつでもご連絡ください。

まとめ

委任契約は、債務者が専門家に債務整理の手続きを依頼する際に結ぶ重要な契約です。この契約によって、専門家は依頼者に代わって債権者との交渉や必要な手続きを行う権限を得ることができます。

債務整理の委任契約では、依頼内容や報酬体系、解約条件などを明確にすることが重要です。また、契約後も依頼者は必要な情報を提供し、専門家は誠実に業務を遂行するとともに定期的な報告を行う義務があります。

委任契約は信頼関係を基礎とする契約であるため、専門家選びは慎重に行うことが大切です。杉山事務所では、相談無料で債務整理に関するご相談をお受けしております。契約内容についても分かりやすく説明いたしますので、債務でお悩みの方はぜひ杉山事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。

債務整理は適切な専門家に依頼することで、より良い結果につながります。委任契約の内容をしっかり理解した上で、安心して手続きを進めていただければと思います。

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