サービサー(さーびさー)とは?
サービサーとは、債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)に基づき、法務大臣から営業許可を得た債権回収専門会社のことです。
主に金融機関などから不良債権を買い取ったり、委託を受けて債権回収業務を行います。債務整理を検討している方にとって、サービサーは重要な交渉相手となる可能性があります。
サービサーの基本情報
定義 | 債権管理回収業に関する特別措置法に基づく債権回収専門会社 |
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正式名称 | 債権回収会社(債権管理回収業者) |
監督官庁 | 法務省(法務大臣が許可・監督) |
許可条件 | 財産的基礎、人的構成、業務遂行能力などの要件を満たすこと |
サービサーは、一般的な企業とは異なり、法務大臣の厳格な審査を経て許可を取得した特別な事業者です。
日本サービサー協会に加盟している会社が多く、協会は自主規制ルールを設けて業界の健全化に努めています。
サービサーの歴史と背景
成立背景 | バブル経済崩壊後の不良債権処理の必要性 |
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法律制定 | 1998年(平成10年)10月16日 サービサー法制定 |
業務開始 | 1999年(平成11年)2月1日 サービサー法施行 |
従来の制度 | 弁護士法の規定により、債権回収は基本的に弁護士のみが可能だった |
サービサー制度は、バブル経済崩壊後の膨大な不良債権を効率的に処理するために導入されました。
それ以前は、弁護士法の規定により債権回収業務は基本的に弁護士にしか認められていませんでした。
金融機関の不良債権処理を促進し、経済の活性化を図るために、専門的な債権回収会社の存在が必要とされたのです。
サービサーの主な業務
債権買取業務 | 金融機関等から不良債権を買い取り、自社の債権として回収 |
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債権回収受託業務 | 金融機関等から債権回収業務を委託され、債権者に代わって回収 |
債権評価業務 | 債権の価値や回収可能性を評価する業務 |
債権管理業務 | 委託された債権の管理・保全に関する業務 |
サービサーが取り扱える債権には法律で制限があり、主に金銭債権に限定されています。
具体的には、貸付債権、売掛債権、手形債権、私募債等の社債権などが対象となります。
また、債権回収にあたっては、民事訴訟や強制執行などの法的手続きを行うことも可能です。
サービサーの特徴と役割
- 専門的な債権回収のノウハウと人材を持つ
- 金融機関の不良債権処理を効率化する
- 法的手続きを含む包括的な債権回収サービスを提供
- 金融システムの安定化に貢献
- 法務大臣の監督下で適法に業務を遂行
サービサーは単なる取立て会社ではなく、金融機関の不良債権処理を支援し、経済全体の健全化に貢献する役割を担っています。
また、専門的な債権回収のノウハウを持ち、債務者との交渉や法的手続きを効率的に行うことができます。
債務者とサービサーの関係
債権譲渡の通知 | 債権がサービサーに譲渡された場合、債務者に通知または承諾が必要 |
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支払い義務 | 債権が譲渡されても、債務者の支払い義務は変わらない |
交渉相手 | 債権譲渡後は、サービサーが直接の交渉相手となる |
抗弁権 | 元の債権者に対して主張できた抗弁(支払済み、時効など)は引き継がれる |
債権がサービサーに譲渡されると、債務者は新たな債権者としてサービサーと向き合うことになります。
ただし、元の債権者との間で成立していた抗弁(支払済みの主張や時効の援用など)は、サービサーに対しても主張できます。
このような債権譲渡の際には、債務者に対して債権譲渡通知が送付されるのが一般的です。
サービサー対応時の注意点
サービサーの確認 | 正規のサービサー(法務大臣許可業者)かどうかを確認する |
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債権内容の確認 | 債権の内容、金額、発生原因などを詳細に確認する |
時効の確認 | 債権が時効により消滅していないかを確認する |
交渉記録 | 交渉内容を記録し、可能な限り書面でのやり取りを残す |
違法行為の監視 | 取立て行為に違法性がないか注意する(深夜の電話、脅迫的言動など) |
サービサーとの対応では、まず相手が法務大臣の許可を受けた正規のサービサーかどうかを確認することが重要です。
また、取り扱われている債権の内容について詳細に確認し、時効が完成している可能性も検討しましょう。
交渉内容は必ず記録し、違法な取立て行為があれば法務局や弁護士に相談することをおすすめします。
債務整理とサービサー
任意整理 | サービサーとの交渉による分割払いや減額の合意が可能 |
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個人再生 | サービサーが保有する債権も再生計画に含めて整理可能 |
自己破産 | サービサーの債権も免責の対象となりうる |
過払い金 | 元の貸金業者との取引に過払いがあれば、サービサーに対しても返還請求が可能な場合がある |
債務整理を行う場合、サービサーが保有する債権も他の債権と同様に整理の対象となります。
任意整理では、司法書士や弁護士に依頼してサービサーと交渉し、分割払いや減額の合意を目指します。
個人再生や自己破産の場合も、サービサーの債権は他の債権と同様に扱われ、再生計画に含めたり免責の対象となります。
よくある質問
サービサーが適法に債権を取得している場合、原則として支払い義務があります。
ただし、必ず以下の点を確認してください。
- 正規の許可を受けたサービサーであるか
- 債権譲渡の通知が適切になされているか
- 債権の内容や金額は正確か
- 時効が完成していないか
不明な点がある場合は、すぐに支払わずに法律の専門家に相談することをおすすめします。
サービサーの取立て行為は法律で厳しく規制されています。
例えば、以下のような行為は禁止されています。
- 深夜(午後9時~午前8時)の取立て
- 職場への連絡による債務者の信用毀損
- 脅迫的な言動や執拗な連絡
- 公開の場での債務の取立て
このような行為があった場合は、詳細に記録を残し、法務局や法律の専門家に相談してください。
また、債務整理を検討することで、取立てをストップさせることも可能です。
はい、サービサーとの分割払いの交渉は可能です。
交渉の際には、以下のポイントを意識するとよいでしょう。
- 現在の収入や生活状況に見合った返済プランを提案する
- 具体的で実現可能な返済計画を提示する
- 約束した支払いは必ず守る
- 書面での合意を取り付ける
ただし、交渉が難しい場合や大幅な減額を希望する場合は、司法書士や弁護士に依頼して任意整理を行うことも検討してください。
はい、サービサーに対しても時効を主張することができます。
債権の時効期間は、一般的に以下のようになっています。
貸金業者の債権 | 5年間(改正民法施行前は5年または10年) |
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クレジットカード債権 | 5年間(改正民法施行前は5年または10年) |
判決確定後の債権 | 10年間 |
ただし、時効の起算点や中断事由の有無など、専門的な判断が必要です。
また、時効を援用するには明確な意思表示が必要ですので、専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
サービサーは、債権管理回収業に関する特別措置法に基づき法務大臣から許可を受けた債権回収専門会社です。主に金融機関から不良債権を買い取ったり、債権回収業務を受託したりして活動しています。
債権がサービサーに譲渡されても、債務者の支払い義務は基本的に変わらず、サービサーが新たな債権者となります。サービサーと対応する際は、正規の許可業者かどうかの確認、債権内容の精査、時効の確認などが重要です。
また、サービサーの取立て行為には法的な制限があり、違法な取立てがあれば適切に対処する必要があります。債務整理を行う場合、サービサーが保有する債権も他の債権と同様に整理の対象とすることができます。
サービサーからの連絡で不安や疑問がある場合は、自己判断で対応せず、専門家に相談することをおすすめします。債務問題でお困りの方は、杉山事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。
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