連帯債務者(れんたいさいむしゃ)とは?

連帯債務者とは、一つの債務に対して、複数の人が全額の支払い責任を負う各債務者のことです。連帯債務の場合、それぞれの連帯債務者は債務の全額について責任を負うことになります。

例えば、夫婦で住宅ローンを組む場合や複数の事業主が共同で融資を受ける場合などに、連帯債務者となることがあります。債権者は任意の連帯債務者に対して債務の全額を請求することができるため、他の連帯債務者が返済不能になった場合でも、残りの連帯債務者が全額を返済する責任を負います。

連帯債務者の基本概念

定義 一つの債務に対して、複数の人が全額の支払い責任を負う人々
責任の範囲 債務の全額について責任を負います
債権者の権利 各連帯債務者に対して債務の全額を請求できます

連帯債務者は民法上の制度であり、複数の人が同じ債務に対して連帯して責任を負う仕組みです。債権者は自身の判断で、どの連帯債務者に対しても債務の全額を請求することができます。

連帯債務者の特徴

全額責任 各連帯債務者は、債務の全額について責任を負います
選択的請求 債権者は、任意の連帯債務者に全額を請求できます
求償権 支払いを行った連帯債務者は、他の連帯債務者に対して求償権を持ちます

連帯債務の大きな特徴は、どの連帯債務者も債務の全額について責任を負うことです。例えば、3人で100万円を借りた場合、各人の内部的な負担割合が3分の1ずつであっても、債権者はそのうちの1人に対して100万円全額を請求することができます。

また、一人の連帯債務者が自分の負担割合以上を支払った場合、超過分について他の連帯債務者に請求できる「求償権」が発生します。

連帯債務者が生じる場面

共同借入 夫婦や親子で住宅ローンを組む場合など
保証人 主たる債務者の債務を保証する場合
事業融資 複数の事業主が共同で融資を受ける場合
クレジットカードの家族カード 本人と家族会員が連帯債務者となる場合があります

連帯債務者となる代表的な場面として、夫婦で住宅ローンを組むケースが挙げられます。このケースでは、夫婦それぞれが連帯債務者となり、ローン全額について責任を負います。

また、事業資金の融資を受ける際に、複数の事業主や役員が連帯債務者となるケースも多く見られます。このような場合、会社の経営状況が悪化すると、個人の資産にまで返済義務が及ぶことになります。

連帯債務者のリスク

全額請求のリスク 他の連帯債務者が支払えない場合、全額を請求される可能性があります
財産の差し押さえリスク 債務不履行時に自身の財産が差し押さえられる可能性があります
信用低下のリスク 他の連帯債務者の債務不履行が自身の信用にも影響する可能性があります

連帯債務者になる最大のリスクは、他の連帯債務者が返済不能となった場合、残りの債務全額を自分一人で負担しなければならない可能性があることです。例えば、共同経営者が破産した場合、残りの事業融資全額をもう一方の経営者が返済しなければならなくなります。

また、債務不履行になると、自身の財産が差し押さえられるリスクもあります。さらに、他の連帯債務者の返済遅延や債務不履行によって、自分の信用情報にも悪影響が及ぶ可能性があります。

連帯債務者が債務整理を行う場合の注意点

他の連帯債務者への影響 自身の債務整理が他の連帯債務者にも影響を与える可能性があります
債権者との交渉 連帯債務の特性を考慮した交渉が必要です
求償権の問題 債務整理後の求償権の取り扱いについて検討が必要です

連帯債務者の一人が個人再生自己破産などの債務整理を行った場合、他の連帯債務者の負担が増える可能性があります。例えば、一人が自己破産すると、その人の債務は免責されますが、他の連帯債務者は依然として全額の返済義務を負います。

また、債務整理を行う際は、連帯債務の特性を考慮した交渉が重要です。債権者との交渉によっては、他の連帯債務者への影響を最小限に抑える合意が得られることもあります。

連帯債務者の責任を軽減する方法

分別の利益の特約 予め各自の負担部分を決めておく方法です
免責特約 特定の連帯債務者を免責する特約を結ぶ方法です
債務の引受 他の連帯債務者や第三者に債務を引き受けてもらう方法です

連帯債務者のリスクを軽減するために、契約時に「分別の利益」を特約として設けることが考えられます。これにより、予め各自の負担部分を明確にしておくことができます。

また、債権者の同意を得て、特定の連帯債務者を免責する特約を結ぶことも可能です。さらに、他の連帯債務者や第三者に債務を引き受けてもらう「債務引受」という方法もあります。

連帯債務者に関する注意点

契約内容の確認 連帯債務者となる際は、契約内容をよく確認しましょう
他の連帯債務者の状況把握 他の連帯債務者の返済能力や信用状況を把握しましょう
リスクの認識 全額返済を求められる可能性があることを認識しましょう
計画的な返済 自身の負担部分は確実に返済する計画を立てましょう

連帯債務者になる際は、契約内容を十分に理解し、全額返済を求められるリスクを認識することが重要です。特に、他の連帯債務者の返済能力や信用状況をよく把握しておくことが大切です。

また、万が一の事態に備えて、自身の負担部分はもちろん、場合によっては全額を返済できる資金計画を立てておくことをおすすめします。不安がある場合は、早めに専門家に相談することも検討してください。

よくある質問

いいえ、連帯債務者の内部的な負担割合は、当事者間の取り決めによって自由に決めることができます。例えば、収入の割合に応じて負担することも可能です。

ただし、債権者(金融機関)に対しては、各連帯債務者が借入金の全額について責任を負うことになります。つまり、一方が返済不能になった場合、もう一方が全額を返済する義務があります。

このため、負担割合を決める際は、お互いの収入や返済能力をよく考慮することが重要です。また、内部的な取り決めは書面にしておくことをおすすめします。

原則として、他の連帯債務者が破産しても、残りの債務は他の連帯債務者が負担しなければなりません。これは連帯債務の基本的な性質によるものです。

例えば、夫婦で住宅ローンを組んでいる場合、一方が破産しても、もう一方はローン全額の返済義務を負います。債権者は返済能力のある方に全額を請求することができます。

ただし、このような状況で債務の支払いが困難な場合は、任意整理や個人再生などの債務整理を検討できます。早めに杉山事務所にご相談ください。

はい、連帯債務者の一人が債務を全額返済した場合、他の連帯債務者に対して「求償権」を行使することができます。求償権とは、自己の負担部分を超えて支払った金額について、他の連帯債務者に支払いを請求できる権利です。

例えば、2人で100万円を借りて内部的に半分ずつ負担する約束だった場合、一人が100万円全額を返済したら、もう一人に50万円を請求できます。

ただし、他の連帯債務者に資力がない場合は、実質的に回収が困難となる可能性があります。この場合、債権者と同様の立場になり、債権回収の問題に直面することになります。

まとめ

連帯債務者とは、一つの債務に対して複数の人が全額の支払い責任を負う制度です。住宅ローンの共同借入や事業融資など、さまざまな場面で連帯債務者となることがあります。

連帯債務の最大の特徴は、各連帯債務者が債務の全額について責任を負うことです。これにより、他の連帯債務者が返済不能になった場合でも、残りの連帯債務者が全額を返済しなければならないリスクがあります。

また、連帯債務者の一人が債務整理を行った場合、他の連帯債務者の負担が増えることがあります。このため、連帯債務者となる際は契約内容をよく確認し、他の連帯債務者の返済能力も把握しておくことが重要です。

連帯債務に関するトラブルを防ぐためには、内部的な負担割合を明確にし、書面で残しておくことをおすすめします。また、連帯債務に関する問題が発生した場合は、早めに専門家に相談することが大切です。

連帯債務者としての立場でお悩みの方、連帯債務に関連する債務整理を検討されている方は、杉山事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。専門知識を持った司法書士が、ご相談者様の状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。

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