連帯保証人(れんたいほしょうにん)とは?

連帯保証人とは、主債務者と連帯して債務を保証する人のことです。通常の保証人よりも厳しい責任を負い、主債務者と同等の返済義務があります。

債権者は主債務者への請求と同時に、あるいは主債務者への請求なしに、連帯保証人に直接全額の支払いを求めることができます。

連帯保証人の基本概念

定義 主債務者と同等の立場で債務の返済義務を負う保証人
法的位置づけ 民法第452条に規定される特殊な保証形態
責任の範囲 原則として主債務の全額に及ぶ(利息・遅延損害金等も含む)

連帯保証人は、法律上、主債務者と「連帯して」債務を負担することを約束した人です。これは、債権者が債務の履行を求める際に、主債務者と連帯保証人のどちらに対しても、自由に請求できることを意味します。

連帯保証人の特徴と責任

連帯責任 主債務者との区別なく、債務全額について責任を負う
請求の直接性 債権者は主債務者への請求を経ずに連帯保証人へ直接請求可能
責任の独立性 主債務者の支払い状況に関わらず、独立して返済義務を負う
求償権 債務を支払った場合、主債務者へ求償権を行使できる

連帯保証人の最大の特徴は、主債務者と同じ立場で債務を負担する点です。債権者からすれば、連帯保証人は「もう一人の債務者」のような存在となります。

支払い能力がある連帯保証人がいる場合、債権者は回収の確実性が高まるため、融資の審査が通りやすくなる傾向があります。

連帯保証人と通常の保証人の違い

催告の抗弁権
  • 通常の保証人:主債務者にまず請求するよう求める権利がある
  • 連帯保証人:この権利が認められない
検索の抗弁権
  • 通常の保証人:主債務者の財産から先に回収を求める権利がある
  • 連帯保証人:この権利が認められない
分別の利益
  • 通常の保証人:複数の保証人がいる場合、債務を分割できる
  • 連帯保証人:債務全額の支払い義務を負う

この表は、連帯保証人と通常の保証人の主な違いを示しています。通常の保証人には主債務者の支払いを優先させる権利がありますが、連帯保証人にはこうした保護が与えられていません。

連帯保証人になるリスク

全額返済義務 主債務の全額について支払い義務を負う
直接請求のリスク 債権者から突然、債務全額の支払いを求められる可能性
財産差押えリスク 債務不履行の場合、給与や財産が差し押さえられる可能性
信用情報への影響 支払い遅延で自身の信用情報に悪影響が及ぶ
求償権回収困難 主債務者に資力がない場合、支払った金額を取り戻せない

連帯保証人になることは、主債務者と同じリスクを負うことになります。そのため、家族や知人から連帯保証人を頼まれた場合は、慎重に判断する必要があります。

特に、主債務者の返済能力や信用状況を十分に確認せずに連帯保証人になると、後に大きな負担を背負うことになりかねません。

連帯保証人と債務整理

  1. 主債務者が債務整理を行った場合、連帯保証人への請求が強まる
  2. 主債務者の自己破産により、連帯保証人が全額返済を求められる
  3. 連帯保証人自身も債務整理が必要になる場合がある
  4. 任意整理個人再生で保証債務の整理も可能

この流れは、主債務者の債務整理が連帯保証人に与える影響と、連帯保証人自身の対応方法を示しています。主債務者が債務整理を行っても、連帯保証人の責任は消滅せず、むしろ債権者からの請求が強まることがあります。

法改正による連帯保証制度の変化

  • 2020年4月施行の改正民法により保証人保護が強化
  • 個人の根保証契約には極度額の定めが必要に
  • 事業用融資の第三者保証には公正証書作成が義務化
  • 保証意思確認の厳格化と情報提供義務の新設

これらの法改正は、安易に連帯保証人になることによるトラブルを防ぐために導入されました。特に事業融資の保証については、保証人の保護規定が大幅に強化されています。

よくある質問

はい、連帯保証人は主債務者の支払い状況に関わらず、債権者からの請求に応じて支払う義務があります。

連帯保証人には催告の抗弁権や検索の抗弁権がなく、債権者は主債務者への請求を経ずに直接連帯保証人に請求できます。

支払いに応じない場合は、給与や財産の差し押さえなどの法的措置を受ける可能性があります。

連帯保証人が債務を支払った場合、その支払った金額について主債務者に対して求償権を行使できます。

ただし、主債務者に資力がない場合や、すでに破産している場合は、実際に返還を受けることが困難なことが多いです。

求償権を行使する際は、支払いの証拠を残しておくことが重要です。

一度連帯保証契約を締結すると、原則として一方的に解約することはできません。

解約するには、債権者の同意が必要になります。また、主債務者が別の連帯保証人を立てるなど、債権者が納得する代替案を提示できれば、解約に応じてもらえる可能性があります。

解約が難しい場合は、債務整理などの方法で保証債務の負担軽減を図ることも検討する必要があります。

はい、連帯保証人も自身の債務として債務整理を行うことができます。

任意整理では分割払いの交渉、個人再生では返済額の圧縮、自己破産では保証債務の免責を受けられる可能性があります。

ただし、債務整理の種類によって効果や影響が異なるため、専門家に相談して自分に適した方法を選ぶことが重要です。

まとめ

連帯保証人は主債務者と同等の責任を負い、債権者からの直接請求に応じる義務があります。通常の保証人と異なり、催告の抗弁権や検索の抗弁権が認められず、保護が限定的です。

連帯保証人になることは、主債務の全額返済義務を負うという重大なリスクを伴います。特に、主債務者が債務整理を行った場合、連帯保証人への請求が強まることが多く、自身も債務整理が必要になるケースがあります。

2020年の民法改正により保証人保護の規定が強化され、特に事業融資における第三者保証については、公正証書の作成が義務付けられるなど、安易な保証を防ぐ仕組みが整備されました。

連帯保証人としての立場でお悩みの方や、保証債務に関する債務整理をお考えの方は、専門知識を持つ杉山事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。適切な解決策をご提案いたします。

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