期限の利益(きげんのりえき)とは?

期限の利益とは、債務の返済や履行に期限が設定されていることによって、当事者(主に債務者)が受ける利益のことを指します。

この概念は、特に借入や分割払いなどの金融取引において重要な役割を果たしています。

期限の利益の基本概念

定義 期限が付されていることによって当事者が受ける利益
主な受益者 債務者(借り手)
法的根拠 民法第136条

期限の利益の具体例

一括返済の場合

「50万円を令和5年12月31日までに返済する」という約定
意味 令和5年12月31日まで返済しなくてよい

分割返済の場合

「毎月末日に5万円ずつ返済する」という約定
意味 各月末日まで、その月の5万円を返済しなくてよい

期限の利益のメリット

債務者のメリット
  • 返済までの時間的余裕が得られる
  • 資金を他の用途に活用できる
  • 計画的な返済が可能になる
債権者のメリット
  • 安定的な利息収入が得られる
  • 債務者の返済能力に応じた契約設計が可能

期限の利益の喪失

以下のような場合、債務者は期限の利益を失うことがあります。

  • 支払いを怠った場合(債務不履行
  • 破産手続開始の申立てがあった場合
  • 債務者が財産隠匿や廃棄を行った場合
  • 担保物件の価値が著しく減少した場合

期限の利益を喪失した場合の影響

期限の利益を喪失すると以下のことが生じる可能性があります。

  • 残債務全額の即時返済義務が生じる
  • 遅延損害金が発生する可能性がある
  • 信用情報に記録され、将来の借入れに影響を与える可能性がある

債務整理での期限の利益の重要性

任意整理 債権者との交渉により、期限の利益を維持しながら返済条件の変更を行う可能性がある
個人再生 再生計画に基づき、新たな期限の利益を設定する
自己破産 原則として全ての債務について期限の利益を喪失する

期限の利益に関する注意点

契約内容の確認 期限の利益喪失条項を含む契約条件をよく確認する
返済計画の遵守 期限の利益を維持するため、約定通りの返済を心がける
債権者に相談 返済が困難な状況になった場合、早めに債権者と相談する
法的助言の重要性 期限の利益喪失の可能性がある場合、専門家に相談する

期限の利益についてのよくある質問

期限の利益を喪失すると、原則として残債務の全額を一括で返済する義務が生じます。ただし、債権者との交渉により、分割での支払いに応じてもらえる可能性があります。

また、任意整理や個人再生などの債務整理の手続きを行うことで、新たな返済計画を立てることも可能です。返済が困難な場合は、早めに債権者や法律の専門家に相談することをおすすめします。

影響が及ぶ可能性があります。多くの金融機関では、他社への債務不履行や期限の利益喪失を自社の期限の利益喪失事由として定めています(クロスデフォルト条項)。

また、信用情報機関に期限の利益喪失の事実が登録されることで、他の借入れにも影響が及ぶ可能性があります。

このため、一つの借入れで返済が困難になった場合は、全ての借入れについて包括的な対応を検討する必要があります。

返済が遅れそうな場合は、期限の利益を維持するために以下の対応をおすすめします。まず、支払期日より前に債権者に連絡を取り、状況を説明して返済期限の延長や返済計画の変更について相談してください。

多くの場合、事前の連絡と誠実な対応があれば、債権者も柔軟な対応を検討してくれる可能性があります。また、複数の借入れがある場合や返済の見通しが立たない場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、任意整理や個人再生などの債務整理についても検討するとよいでしょう。

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