取引履歴(とりひきりれき)とは?

取引履歴とは、債権者(主に貸金業者)が保有する、債務者との間の借入や返済に関する記録のことです。

この記録は、債務整理や過払い金請求の際に重要な役割を果たします。正確な債務額の把握や過払い金の計算に不可欠な情報となるため、債務整理を検討している方は必ず押さえておくべき概念です。

取引履歴の基本概念

定義 貸金業者と債務者間の借入・返済に関する詳細な記録
内容 契約年月日、借入金額、返済金額、利息計算方法など取引の全詳細
法的根拠 貸金業法第19条、第19条の2に基づく規定

取引履歴には、いつ・いくら借入れたか、いつ・いくら返済したかといった情報が時系列で記録されています。これにより債務の全体像を正確に把握することができます。

貸金業法における取引履歴の規定

記録義務(第19条) 貸金業者は業務に関する帳簿を備え、債務者ごとの取引を記録し保存する法的義務がある
開示義務(第19条の2)
  • 債務者は貸金業者に対し、取引履歴の閲覧または謄写(コピー)を請求できる権利がある
  • 貸金業者は正当な理由なくこの請求を拒むことができない

貸金業法では、貸金業者に対して取引履歴の記録・保存を義務付けるとともに、債務者からの開示請求に応じる義務を明確に定めています。これは債務者の権利を保護するための重要な規定です。

取引履歴開示義務の法的背景

最高裁平成17年7月19日判決
  • 貸金業者の取引履歴開示義務を信義則上の義務として明確に認定
  • 貸金業者による開示拒絶は違法性を有し、不法行為を構成する可能性あり
平成18年貸金業法改正 上記最高裁判決を受けて、取引履歴開示義務を法律で明文化

現在の取引履歴開示制度は、最高裁判決を契機として法制化されました。債務者の権利を守るための重要な制度として確立されています。

取引履歴の重要性

債務整理での活用
  • 現在の正確な債務額の把握が可能になる
  • 任意整理や個人再生などの返済計画立案に必要な基礎資料となる
過払い金請求での活用
  • 過払い金の有無や正確な金額を計算するための不可欠な資料
  • 過払い金請求訴訟における重要な証拠として使用
紛争解決 貸金業者との取引内容に関する紛争が生じた際の客観的証拠として機能する

取引履歴は債務整理のあらゆる場面で活用される重要資料です。特に過払い金請求では、利息制限法に基づく引き直し計算を行うために必須となります。

取引履歴に関する問題点

保存期間の制限 法定の保存期間(10年間)を超えた古い取引履歴は廃棄されている可能性が高い
不完全な記録 業者の記録管理が不十分な場合、一部の取引が正確に記録されていないことがある
冒頭ゼロ計算の問題 古い取引履歴が入手できない場合の計算方法について法的な議論が存在する

取引履歴に関しては、古い記録の入手困難性や記録の正確性についての問題が存在します。特に長期間の取引がある場合は注意が必要です。

取引履歴の取得方法

貸金業者への直接請求 貸金業法に基づき、本人が貸金業者に対して直接開示を請求する方法
弁護士・司法書士を通じての請求 債務整理の専門家に依頼して代理で取得手続きを行う方法(確実性が高い)
裁判所を通じての取得 貸金業者が正当な理由なく開示を拒否した場合、裁判所の力を借りて取得を求める方法

取引履歴の取得は本人でも可能ですが、貸金業者とのやり取りに不安がある場合は、専門家に依頼することをおすすめします。杉山事務所では取引履歴の取得代行も行っています。

取引履歴に関する注意点

早期の取得 債務整理や過払金請求を検討する場合、記録が廃棄される前に早めに取得することが重要
記録の確認 取得した履歴の内容に誤りや不自然な点がないか慎重に確認する必要がある
専門家の助言 取引履歴の解釈や有効活用については、債務整理の専門家のアドバイスを受けることが有益
適切な保管 取得した取引履歴は債務整理の重要書類として大切に保管しておく

取引履歴は債務整理の基礎となる重要書類です。早めに取得し、内容を専門家と一緒に確認することで、最適な債務整理方法を選択できます。

よくある質問

貸金業法では、貸金業者に対して取引帳簿を10年間保存することを義務付けています。そのため、基本的には過去10年分の取引履歴を請求することが可能です。

ただし、それ以前の取引記録は法的義務がないため廃棄されている可能性が高いです。債務整理や過払い金請求を検討されている場合は、できるだけ早めに取引履歴を請求することをおすすめします。

なお、古い取引記録が存在しない場合でも、冒頭ゼロ計算という方法で過払い金を計算できる可能性がありますので、杉山事務所にご相談ください。

貸金業法により、貸金業者には取引履歴の開示義務が明確に定められており、正当な理由なく開示を拒否することはできません。

開示を拒否された場合は、まず杉山事務所などの司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。専門家を介して再度請求を行うことで、多くの場合は開示に応じてもらえます。

それでも開示されない場合は、裁判所を通じて文書提出命令などの法的手段を取ることも可能です。また、不当な開示拒否は不法行為となる可能性もあります。

貸金業法に基づく取引履歴の開示請求自体は基本的に無料です。ただし、謄写(コピー)の際には実費程度の費用(1枚数十円程度)が必要となる場合があります。

司法書士や弁護士に依頼して取得する場合は、専門家への報酬が別途必要となりますが、多くの場合は債務整理全体の費用に含まれています。

杉山事務所では、取引履歴取得に関するご相談を無料で承っています。債務整理や過払い金請求を検討されている場合は、まず無料相談をご利用ください。

はい、取引履歴は本人が直接貸金業者に請求することも可能です。貸金業法に基づく権利として認められています。

取得方法としては、貸金業者の窓口や電話で請求する方法と、書面で請求する方法があります。書面で請求する場合は、本人確認書類(運転免許証のコピーなど)を同封する必要があります。

ただし、貸金業者によっては様々な理由をつけて開示を渋ったり、不完全な履歴しか提供しないケースもあります。確実に取得するためには、杉山事務所のような専門家に依頼することをおすすめします。

まとめ

取引履歴は、貸金業者と債務者間の借入・返済に関する詳細な記録であり、債務整理や過払い金請求において極めて重要な役割を果たします。貸金業法によって貸金業者には取引履歴の記録・保存・開示義務が課されており、債務者には開示を請求する権利が保障されています。

取引履歴を適切に取得・活用することで、正確な債務額の把握や過払い金の計算が可能になります。特に過払い金請求では、引き直し計算の基礎資料として不可欠です。

ただし、法定保存期間を超えた古い記録は入手困難な場合があるため、債務整理を検討している方は早めに取得行動を起こすことが重要です。また、取得した取引履歴の内容を正確に理解し活用するためには、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

取引履歴に関してご不明な点がある方や、債務整理・過払い金請求をお考えの方は、杉山事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。経験豊富な司法書士が、ご相談者様の状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。

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