支払督促(しはらいとくそく)とは?
支払督促とは、債権者が裁判所に申し立てることで、裁判所書記官が債務者に対して支払いを命じる簡易的な法的手続きです。
正式な裁判を経ずに債権回収を進められるため、通常の訴訟よりも短期間かつ低コストで債権回収が可能となります。
債務整理をお考えの方にとって、支払督促を受け取ることは大きな不安要素となりますが、適切な対応をすれば問題を解決することができます。
支払督促の基本知識
定義 | 債権者の申立てにより裁判所書記官が発する支払命令文書 |
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法的根拠 | 民事訴訟法第382条以下に規定 |
特徴 | 書面審査のみで発付され、債務者側の意見は聴取されない |
主な対象 | 金銭債権(貸金、売掛金、未払料金など) |
支払督促は、債務者が出頭する必要のない簡易な手続きであり、債権者側の申立てだけで進められるという特徴があります。
通常の裁判と異なり、証拠調べや債務者からの反論を聴くことなく手続きが進むため、迅速な債権回収が可能です。
支払督促の手続きの流れ
- 債権者が裁判所に支払督促の申立てを行う
- 裁判所書記官が申立ての内容を審査する
- 請求に理由があると認められれば支払督促が発付される
- 債務者に支払督促が送達される
- 債務者が異議申立てをしない場合、仮執行宣言がされる
- 仮執行宣言後、強制執行の申立てが可能になる
支払督促の手続きは、債権者の申立てから始まり、最終的には強制執行にまで至る可能性があります。
債務者は支払督促を受け取ってから2週間以内に異議申立てをすることができ、異議申立てがあれば通常の訴訟手続きに移行します。
支払督促を受け取った場合の対応
内容確認 | 請求内容や金額が正しいか確認する |
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異議申立て | 請求に不服がある場合は2週間以内に異議申立てを行う |
支払い | 請求内容に問題がなければ指定された方法で支払いを行う |
専門家への相談 | 不安な場合は速やかに司法書士や弁護士に相談する |
支払督促を受け取った場合、まずは内容をしっかり確認することが重要です。
請求に不服がある場合は、2週間以内に異議申立てを行うことで通常訴訟に移行し、裁判所で主張立証の機会が得られます。
支払督促を無視して何も対応しないと、仮執行宣言がされ、最終的には財産の差押えなどの強制執行を受ける可能性がありますので注意が必要です。
支払督促のメリット・デメリット
支払督促のメリット
- 通常の訴訟よりも短期間で債権回収が可能
- 申立て費用が通常の訴訟より安価
- 債務者が異議を申し立てなければ執行力を得られる
- 債権者側の手続きが比較的簡単
支払督促のデメリット
- 債務者が異議申立てをすると通常訴訟に移行し時間がかかる
- 債務者の防御権が限られた状態で進む
- 送達が確実に行われないと効力が生じない
- 債権の内容によっては利用できない場合がある
支払督促は効率的な債権回収手段である一方で、債務者の異議申立てにより通常訴訟に移行するリスクがあります。
債権者側は迅速な回収を期待できますが、債務者側にとっては突然の法的手続きに不安を感じることも多いでしょう。
支払督促に関する注意点
異議申立期間 | 支払督促を受け取ってから2週間以内 |
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仮執行宣言 | 異議申立てがない場合、債権者の申立てにより仮執行宣言がされる |
執行力 | 仮執行宣言後は確定判決と同じ効力を持つ |
時効の中断 | 支払督促の申立てにより時効が中断する |
支払督促を受け取ったら期限を守ることが非常に重要です。
異議申立ての期間(2週間)を過ぎると、債権者の申立てにより仮執行宣言がされ、財産の差押えなどの強制執行が可能になります。
ただし、やむを得ない事情で異議申立てができなかった場合は、異議申立期間経過後でも特別な手続きで救済される可能性があります。
よくある質問
請求内容に納得できない場合は、支払督促を受け取ってから2週間以内に「異議申立て」を行うことができます。
異議申立ては、支払督促に添付されている異議申立書に必要事項を記入して裁判所に提出するだけです。
異議申立てをすると通常の訴訟手続きに移行し、裁判所で十分に主張・立証を行う機会が得られます。
原則として2週間の異議申立期間は厳格に適用されますが、やむを得ない事情がある場合は救済措置があります。
例えば、引っ越しなどで支払督促が届かず知らなかった場合は、「督促異議の申立て」が認められる可能性があります。
また、仮執行宣言がされた後でも、債務の存在自体を争う「請求異議の訴え」を提起できる場合もあります。
期限を過ぎた場合でも、すぐに司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。
支払督促の申立て費用は請求金額によって異なりますが、通常の訴訟より安価です。
例えば、100万円の請求であれば申立手数料は2,000円程度、300万円の請求でも4,000円程度となります。
ただし、債務者から異議申立てがあり訴訟に移行した場合は、別途訴訟費用が必要となります。
また、送達費用や専門家への依頼費用なども考慮する必要があります。
まとめ
支払督促は、裁判所を通じて比較的簡易かつ迅速に債権回収を図ることができる法的手続きです。債権者にとっては効率的な回収手段となりますが、債務者側は異議申立ての期間(2週間)を厳守して適切に対応することが重要となります。
異議申立てを行えば通常訴訟に移行し、裁判所で十分に主張・立証を行う機会が得られます。支払督促を受け取った場合は内容をよく確認し、不明点があれば速やかに専門家に相談することをおすすめします。
債務整理を検討中の方が支払督促を受け取った場合は、債務整理の方法によっては対応が異なりますので、早めに杉山事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。杉山事務所では、支払督促への対応から債務整理全般まで、ご相談者様の状況に最適な解決策をご提案いたします。
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