保全(ほぜん)とは?
保全とは、債権者の権利を守るために、裁判所が債務者の財産の処分を一時的に禁止する法的措置のことを指します。
主に債権回収や訴訟の実効性を確保するために用いられる重要な手続きです。
保全の基本概念
定義 | 債務者の財産処分を防ぐための裁判所による暫定的措置 |
---|---|
目的 | 債権者の権利保護と将来の強制執行の実効性確保 |
申立人 | 主に債権者(当事者) |
決定機関 | 裁判所 |
主な保全措置の種類
仮差押え | 債務者の財産を差し押さえて処分を禁止する |
---|---|
仮処分 | 現状を維持したり、仮の地位を定める |
保全管理 | 財産の管理を第三者に委ねる |
保全処分 | 債務者の特定行為を禁止する |
保全の手続き
申立て | 債権者が裁判所に保全を申し立てる |
---|---|
審査 | 裁判所が申立ての妥当性を審査する |
決定 | 裁判所が保全措置の可否を決定する |
執行 | 決定に基づいて保全措置が執行される |
保全の効果
- 債務者の財産処分が制限される
- 債権者の権利が一時的に保護される
- 将来の強制執行の実効性が確保される
- 債務者に対して心理的プレッシャーを与える
保全と債務整理の関係
任意整理 | 債権者が保全措置を取る可能性があり、早期の対応が重要 |
---|---|
個人再生 | 再生手続開始の申立てにより、保全処分が認められる場合がある |
自己破産 | 破産手続開始の申立てにより、保全処分が行われる場合がある |
保全に関する注意点
不当な保全 | 根拠のない保全申立ては損害賠償の対象となる可能性がある |
---|---|
解除の申立て | 債務者は不当な保全に対して解除を申し立てることができる |
担保の提供 | 保全措置の申立てには通常、担保の提供が必要 |
時間的制約 | 保全措置は一時的なものであり、本案訴訟を提起する必要がある |
保全措置への対応
早期の債務整理 | 保全措置を回避するため、早期に債務整理を検討する |
---|---|
債権者との交渉 | 保全措置を避けるため、債権者と積極的に交渉する |
異議申立 | 不当な保全措置に対しては、異議を申し立てる |
専門家への相談 | 保全措置への対応は複雑なため、専門家に相談する |
保全についてのよくある質問
保全措置を受けた場合は、まず法的な対応期限を確認し、速やかに専門家に相談することが重要です。
保全措置が不当である場合は異議申立てや解除申立てが可能です。また、債権者との交渉により解決できる可能性もあります。
状況に応じて任意整理や個人再生などの債務整理手続きを検討することも選択肢の一つとなります。
仮差押えなどの保全措置が預金口座に対して行われた場合、対象となった口座の使用は制限されます。
ただし、差押禁止財産(給与の一部など)は保護される場合があります。また、保全措置の対象となっていない別の口座は通常通り使用できます。
生活に支障がある場合は、裁判所に対して差押えの範囲の変更を申し立てることも可能です。
債務整理の種類によって対応が異なります。自己破産や個人再生を申し立てた場合、保全命令は原則として効力を失います。
ただし、任意整理の場合は自動的には解除されないため、債権者との交渉により保全措置の解除を求める必要があります。
債務整理を検討する際は、既存の保全措置への対応も含めて専門家に相談することをおすすめします。
保全措置は債権者が取り得る強力な法的手段の一つです。債務者にとっては、財産の処分が制限されるなど大きな影響を受ける可能性があります。
債務整理を検討している方や、保全措置の対象となる可能性がある方は、早めの対応が重要です。保全措置に関する疑問や、債務整理の方法についてお悩みの方は、杉山事務所にご相談ください。
お気軽に無料相談をご利用ください。