自己破産をした場合の保証人・連帯保証人への影響
自己破産すると、破産者の借金は基本的にすべて免除してもらえます。借金の苦しみから逃れられるのは助かりますが、ここで気になるのが保証人・連帯保証人への影響です。「自己破産したら保証人にも迷惑がかかる?」「保証人に迷惑をかけないための方法は?」など、自己破産と保証人についての質問が寄せられることも珍しくありません。
保証人に迷惑はかけられないと、返済が苦しいにもかかわらず自己破産を迷っている方は大勢います。しかし、迷っているうちに自然と返済できるようになる保証はありません。時間が経てば経つほど状況が悪化し、保証人により大きな迷惑をかけてしまう恐れもあるのです。
このような事態を避けるためにも、自己破産が保証人・連帯保証人に与える影響について知り、適切に自己破産を決断できるよう準備しておきましょう。
自己破産で保証人・連帯保証人に迷惑がかかるのか
借金は、実際にお金を借りた本人(債務者)が返済しなければなりません。しかし、借金の返済は長期間にわたることも多く、環境が変わって返済できなくなる場合もあります。このようなとき、債務者の代わりに返済をおこなうのが保証人・連帯保証人です。
債務者が自己破産をすれば、保証人・連帯保証人が残りの借金を返済しなければならず、大きな迷惑をかけてしまいます。具体的にどのような事態になるのか、迷惑をかけない方法はあるのかなど、気になる点について詳しく見ていきましょう。
残った借金は保証人に一括請求される
自己破産の効力は、あくまでも申し立てた債務者本人だけに発生します。借金そのものがなくなるわけではなく、保証人・連帯保証人まで返済が免除されるわけではないのです。実際に債務者が自己破産すると、保証人・連帯保証人は「期限の利益」を失い、残りの借金について一括請求されてしまいます。
期限の利益とは、借金を毎月一定額ずつ返済するなど、分割返済をする権利のことです。たとえば、200万円の借金を50回払いで返済する契約で、40万円を返済していたとします。これまでは月に4万円ずつ返済すれば良かったところ、自己破産をすると保証人・連帯保証人は残りの160万円を一括で支払わなければなりません。
一括払いは経済的な負担が大きいので、保証人・連帯保証人を気づかってなかなか自己破産を決断できない債務者も多いです。しかし、自己破産を迷っているうちに滞納してしまえば、延滞利息がついて保証人・連帯保証人への請求額がますます増えてしまいます。
また、何とか返済しようとして新たに別の借金を重ね、借金を増やしてしまう方もいます。これでは、いつまで経っても借金の苦しさから逃れられません。このような悩みを解決するには、なるべく早く借金問題の専門家に相談するのが一番です。
保証人・連帯保証人と一緒に相談すれば、影響を最小限に抑えるための的確なアドバイスもしてもらえるので、まずは連絡してみましょう。
自己破産以外の解決方法
どうしても保証人・連帯保証人に迷惑をかけたくないという場合は、自己破産以外の方法を考えてみましょう。たとえば、自己破産と同じく債務整理のひとつである「任意整理」なら、手続き対象の借金を自由に選ぶことができます。
保証人・連帯保証人がついている借金を手続きから外し、これまで通り返済を続けることで、迷惑をかけずに済むのです。また、借金が奨学金の場合は、日本学生支援機構がおこなっている支援制度を利用できる場合もあります。
返還額を減らす、返済期間を延長する、年収が一定額に達するまで返済を待ってもらえるなど、さまざまな支援制度があるので検討してみましょう。利用にあたりいくつか条件がありますが、任意整理しなくても借金の負担を軽くできるのは大きな魅力です。
さらに、杉山事務所のような専門家に相談するというのも効果的な方法です。自分では自己破産するしかないと思っていても、プロの意見は違うかもしれません。杉山事務所では司法書士と無料で直接相談でき、報酬の分割払いも可能です。より良い解決方法が見つかる可能性もあるので、まずはご相談ください。
保証人になっていても自己破産できる
保証人・連帯保証人は、誰かにお願いするものとは限りません。親族や友人などに頼まれ、債務者自身がほかの借金の保証人・連帯保証人になることもあります。この場合、「自分が自己破産すると保証人・連帯保証人を頼んできた方に迷惑をかけるのではないか」「そもそも自己破産できるのか」と、不安になる方も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、ほかの借金の保証人・連帯保証人になっていたとしても、債務者自身が自己破産することは可能です。裁判所に申し立てて返済能力がないと認められれば、一般的なケースと同じように自己破産できます。保証していた借金については、自己破産すると保証人・連帯保証人から外され、返済義務がなくなります。
このため、保証していた借金の債務者が返済できなくなっても、自分に一括請求される心配はありません。ただし、保証していた借金の債務者は、保証人・連帯保証人を失うことになるので、新たな保証人を探す必要があります。この点では迷惑をかけてしまいますが、それを心配して自己破産を迷うのは本末転倒です。
まずは自分の借金問題の解決を第一に考え、必要であれば自己破産を決断しましょう。なお、自己破産費用が準備できないと心配される方も多いですが、多くの司法書士・弁護士事務所では分割支払いが可能です。費用は各事務所で異なるものの、破産者に合わせて無理のない支払い計画を立ててくれることが多いので、まずは相談してみましょう。
自己破産後は保証人になれるか
自己破産すると、最長10年間は保証人・連帯保証人になるのはむずかしいです。法律で禁止されているわけではないものの、いわゆるブラックリスト入りしてしまうため、貸金業者などから保証人・連帯保証人として認められにくくなるのです。
ブラックリストには、自己破産を含む債務整理や借金の滞納など、金融事故を起こした人物の情報が登録されています。貸金業者などは、借金の申し込みがあった際、申し込み人や保証人・連帯保証人に返済能力があるかどうか判断するために、ブラックリストを確認するのです。
ブラックリスト入りした方は「返済能力が低い」と考えられるため、多くの貸金業者は破産者を保証人・連帯保証人にしたがりません。ただし、これはあくまでもブラックリストを確認する貸金業者や金融機関、クレジットカード会社などが相手の場合です。
物件の賃貸契約の場合、不動産会社などはブラックリストを確認しないことが多いので、基本的には保証人・連帯保証人として認めてもらえます。もちろん、保証人・連帯保証人になれたら、債務者が返済できなくなったときに債務を負担しなければなりません。
一度自己破産したからといって、手続き後に発生した債務まで免除してもらえるわけではないので注意しましょう。
自己破産した後の保証人の対応
自己破産が認められると、債務者は借金の返済義務を免除してもらえます。しかし、借金そのものが消滅したわけではないので、保証人・連帯保証人は債務者の代わりに借金を返済しなければなりません。ただし、黙って返済に応じるだけでなく、本来の債務者や債権者に対して意見を主張したり、行動を起こしたりする権利も認められています。
自己破産後は、保証人と連帯保証人のどちらでも返済しなければなりません。保証人は、債務者がどうしても返済できないときに限り、代わりに借金を返済する人のことです。これに対し、連帯保証人は債務者と同様の返済義務を負うとされており、保証人に比べると責任が重くなります。
一見すると同じような立場に思えますが、返済しなければならない金額や債権者から督促を受ける時期、認められた権利などの点で、両者は大きく異なるのです。これを踏まえながら、それぞれが自己破産後にとれる対応について具体的に確認してみましょう。
保証人ができる一括請求への対応
保証人は、保証している借金について債権者から請求されれば、基本的には請求にしたがって返済しなければなりません。しかし、場合によっては以下のような権利を行使して、請求を免れることも可能です。
- 1.催告の抗弁権
- 2.検索の抗弁権
- 3.分別の利益
- 4.求償権
「1.催告の抗弁権」とは、返済を求めてきた債権者に対して「まずは本来の債務者に対して返済を請求してほしい」と主張する権利のことです。保証人は、あくまでも本来の債務者がどうしても返済できないときに代わりに返済する立場なので、債務者が返済できるなら率先してお金を支払う必要はありません。
保証していた借金に対し、保証人以外に連帯保証人もついていれば、「連帯保証人へ先に請求してほしい」と主張することも可能です。連帯保証人は本来の債務者と同様の返済義務を負うため、催告の抗弁権が行使できず、基本的には保証人の主張通り先に返済することになります。
「2.検索の抗弁権」とは、債権者に対して「本来の債務者の財産を差し押さえて支払わせてほしい」と主張する権利のことです。債務者が財産を持っているなら、まずはそれを処分して返済するべきなので、財産を調べて差し押さえるよう請求します。財産には現金だけでなく、不動産や車などお金に換えられるものが幅広く含まれます。
「3.分別の利益」とは、保証人がほかにも何人かいる場合、全員で借金を均等に分けて返済することです。たとえば、300万円の借金に対して保証人が3人いた場合、各保証人は300万円÷3人=100万円だけ負担します。100万円をきちんと支払えば返済義務は終了し、残りの200万円について責任を負う必要がありません。
ただし、借金の契約時に、保証人がそれぞれ借金の全額について責任を負うと約束した場合など、分別の利益が認められないケースもあります。この場合は、保証人が何人いても、それぞれが借金の全額を支払わなければなりません。
「4.求償権」とは、とりあえず保証した借金を返済した後、支払った金額について本来の債務者に請求できる権利のことです。保証人が複数いる場合、ほかの保証人に対して求償権を行使することもできます。
このように、保証人にはもともと4つの権利が認められています。ただし、催告の抗弁権と求償権については、債務者が自己破産すると行使できないので注意しましょう。
連帯保証人ができる一括請求への対応
連帯保証人は本来の債務者と同様の責任が求められるため、認められる権利が少ないです。保証人が4つの権利を認められているのに対し、連帯保証人は求償権しか認められていません。しかし、求償権が行使できるのは任意整理・個人再生・特定調停の場合のみです。
自己破産では求償権も免責の対象となるため、債務者が自己破産すると求償権も行使できなくなります。実質的にとれる対応はなく、債権者から返済を求められれば、残りの借金を一括で支払うしかありません。返済がむずかしい場合は、債務者と同じように債務整理をすることになります。
奨学金や住宅ローンなどでは債務者の家族が連帯保証人になっているケースが多く、一緒に債務整理することが珍しくありません。また、妻が保証人・連帯保証人になっている場合、離婚しても返済義務が免除されるわけではないので注意が必要です。
債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の4種類があります。それぞれの手続きの特徴は以下の通りなので、必要に応じてどの債務整理をするか決めましょう。それぞれの手続きの詳しい内容を知りたい、どれを選べば良いのかわからないという場合は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
借金 | 減額 | 大幅に減額 | すべて免除 |
返済期間 | 3~5年 | 3~5年 | なし |
財産 | すべて残る | 住宅は残せる(それ以外の財産は影響なし) | 一定額の現金や生活必需品など必要最低限の財産以外はすべて処分 |
費用相場 | 債権者1社あたり2~5万円+減額した借金の10% | 20~30万円 | 20~30万円 |
※特定調停は任意整理とほぼ同じ手続きなので省略しています。(裁判所に仲裁に入ってもらう点が主に異なる)
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自己破産が保証人・連帯保証人に与える影響について、さまざまなことがおわかりいただけたでしょうか。理解はしたものの、やはり迷惑をかけてしまう以上、簡単に自己破産はできないと考える方もいるかもしれません。しかし、自己破産を先延ばししても、返済ができるようになる保証はありません。
借金を重ねたり利息が膨らんだりして、余計に保証人・連帯保証人に迷惑をかけてしまう可能性もあります。一人では決断できない場合は、悩みを抱え込まず専門家の意見を聞いてみてください。過払い金の返還請求など、個人ではむずかしい方法で借金を減額し、苦しい状況から抜け出せることもあります。
杉山事務所では、全国にある事務所で無料相談を受けつけております。過払い金や債務整理を含む借金問題のご相談を月に10,000件以上寄せられ、多くのお悩みの解決をお手伝いしてきました。その結果、過払い金の返還額は1億円にまでのぼり、債務整理において圧倒的な経験と実績を誇っています。
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