弁済(べんさい)とは?

弁済とは、債務の履行、すなわち債務者が債権者に対して負っている義務を果たすことを指します。

一般的には金銭の支払いを意味することが多いですが、物の引き渡しや労務の提供なども弁済に含まれます。

弁済の基本概念

定義 債務の履行を行うこと
法的根拠 民法第474条以下
主な形態 金銭の支払い、物の引き渡し、労務の提供など

弁済の種類

任意弁済 債務者が自主的に債務を履行すること
強制執行 裁判所の力を借りて債務を履行させること
代物弁済 債権者の同意を得て、本来の給付に代えて他の給付をすること
供託 債権者に弁済できない場合に、供託所に弁済物を預けること

弁済の効果

  • 債務の消滅
  • 担保権の消滅(付従性による)
  • 債権証書の返還請求権の発生
  • 受取証書の請求権の発生

弁済の原則

全部弁済の原則 債務の全額を一度に支払うことが原則
現実弁済の原則 実際に給付を行うことが必要
弁済期の遵守 約定の弁済期に履行すべき
債権者への弁済 原則として債権者本人に対して行う

弁済と債務整理の関係

任意整理 債権者と交渉して弁済計画を立てる
個人再生 再生計画に基づいて弁済を行う
自己破産 免責により弁済義務が消滅する可能性がある
過払い金返還請求 過剰な弁済があった場合に返還を求める

弁済に関する特殊な概念

第三者弁済 債務者以外の第三者が債務を弁済すること
充当 複数の債務がある場合に、どの債務に弁済を充てるかを決めること
相殺 互いに債権債務がある場合に、対等額で債権債務を消滅させること
弁済の提供 債務者が弁済の準備をしたにもかかわらず、債権者が受け取らない場合の対応

弁済に関する注意点

弁済の証明 領収書の取得や振込記録の保管が重要
弁済期前の弁済 原則として可能だが、利息が発生する場合は注意が必要
弁済の順序 複数の債務がある場合、充当の順序に注意が必要
時効の中断 一部弁済は債務承認となり、時効を中断する効果がある

弁済についてのよくある質問

原則として、弁済は全部弁済が原則ですが、債権者の同意があれば一部弁済も可能です。

ただし、一部弁済を行う場合は、必ず債権者と事前に合意を取り、支払計画を立てることが重要です。また、一部弁済を行った場合、それは債務の承認となり、時効が中断することにも注意が必要です。

任意整理などの債務整理を行う場合は、専門家に相談することをおすすめします。

はい、第三者による弁済(第三者弁済)は法律上認められています。ただし、債務の性質上、債務者本人が履行しなければならない場合(例:労務の提供)を除きます。

第三者弁済を行った場合、弁済者は債務者に対して求償権(立て替えた金額の返還を求める権利)を取得します。

なお、債権者は第三者からの弁済を拒否することもできますので、事前に債権者の同意を得ることが望ましいでしょう。

弁済の証拠を残すためには、以下の方法があります。

  1. 現金で支払う場合は必ず領収書を受け取る
  2. 銀行振込の場合は振込明細書を保管する
  3. 債権者に受取証書の発行を求める
  4. 分割払いの場合は支払経過を記録する

これらの証拠は、後のトラブル防止のため、債務が完済してから最低5年間は保管することをおすすめします。

特に、債務整理を行う可能性がある場合は、すべての支払い記録を慎重に保管しておくことが重要です。

弁済は債務整理や日常の金銭管理において重要な概念です。適切な弁済計画を立てることで、債務問題の解決や経済的な再生が可能になります。

弁済に関する疑問や、債務整理の方法についてお悩みの方は、杉山事務所にご相談ください。

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