保証人(ほしょうにん)とは?
保証人とは、主たる債務者(借金をした本人)が返済できなくなった場合に、代わりに返済する義務を負う人のことです。
保証人は債務者の信用を補完し、債権者(お金を貸した側)にとって債権回収の安全性を高める重要な役割を担っています。
保証人の基本概念
定義 | 主たる債務者が返済できない場合に代わって返済する法的義務を負う人 |
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法的根拠 | 民法第446条以下に規定されています |
主な役割 | 債務者の信用を補完し、債権者の債権回収リスクを軽減します |
保証人制度は、貸し手にとっての安全性を確保しながら、お金を借りる側の信用を高める仕組みとして機能しています。
保証人の種類
通常保証人 | 主たる債務者への請求が先で、それでも返済がない場合に保証人に請求されます |
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連帯保証人 | 主たる債務者と同等の責任を負い、債権者は最初から直接請求できます |
根保証人 | 一定の範囲内で継続的に発生する複数の債務を保証します |
連帯保証人は「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」がなく、通常の保証人よりも厳しい責任を負うことになります。
保証人になる場面
- 住宅ローンを組む際の保証人
- 事業資金借入時の保証人
- 賃貸住宅契約での連帯保証人
- 奨学金の保証人
- 消費者金融からの借入時の保証人
特に事業資金借入や住宅ローンでは、多額の債務の保証を求められることが多く、慎重な判断が必要です。
保証人の責任と義務
返済義務 | 主たる債務者が返済できない場合に、その債務を代わって返済する義務があります |
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責任の範囲 | 原則として主たる債務の範囲内ですが、利息や遅延損害金も含まれます |
極度額の設定 | 個人根保証の場合は、保証する金額の上限(極度額)の設定が必要です |
情報提供義務 | 主たる債務者の返済状況などの情報を債権者へ提供することが求められます |
保証人の責任は重大で、場合によっては自分の財産から多額の返済を求められることがあります。
保証人の権利
求償権 | 保証人が代わりに返済した場合、その金額を主たる債務者に請求できる権利です |
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抗弁権 | 主たる債務者が持つ抗弁(支払い拒否の正当な理由)を保証人も主張できます |
免責請求権 | 事情変更により保証契約の解除を求める権利があります |
情報請求権 | 主たる債務の内容や返済状況について債権者に確認できる権利があります |
保証人には様々な権利がありますが、実際に行使するには適切な知識と手続きが必要です。
保証人になる際の注意点
責任の重大性 | 保証人になると多額の支払い義務を負う可能性があることを十分に認識しましょう |
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主たる債務者の信用力 | 債務者の返済能力や信用状況を事前に十分確認することが重要です |
契約内容の確認 | 保証の範囲や条件を詳細に確認し、内容を理解してから契約しましょう |
自身の経済状況 | 万が一の場合に自分で返済できるかどうか、自身の経済状況も考慮して判断しましょう |
親族や知人から頼まれて安易に保証人になると、後に大きな負担を背負うことになりかねません。
保証人と債務整理の関係
主債務者の自己破産 | 主たる債務者が自己破産しても保証人の責任は消滅せず、むしろ請求が集中します |
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保証人の債務整理 | 保証債務も任意整理や自己破産などの債務整理の対象となります |
保証履行後の対応 | 保証債務を支払った後は、主債務者への求償権行使や自身の債務整理を検討できます |
保証人が債務整理をする場合は、通常の債務と保証債務の両方を考慮した対応が必要です。
保証人保護の法改正
- 事業用融資以外の個人保証の制限
- 保証契約締結前の債権者による情報提供義務
- 公正証書作成による保証意思の確認義務
- 根保証契約における極度額(上限額)の設定義務
- 債権者による主たる債務者の情報提供義務
2004年と2017年の民法改正により、保証人、特に個人の保証人を保護するための規定が強化されました。
よくある質問
通常の保証人には「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」があり、まず主債務者に請求するよう求める権利があります。
一方、連帯保証人にはこれらの権利がなく、債権者は最初から連帯保証人に直接請求できます。
そのため、連帯保証人は通常の保証人よりも重い責任を負うことになり、実務上は多くの場合、連帯保証人が求められます。
主たる債務者が自己破産しても、保証人の責任は消滅しません。
むしろ、債権者からの請求が保証人に集中するようになり、全額の返済を求められることになります。
このような状況では、保証人自身も任意整理や自己破産などの債務整理を検討する必要が出てくる場合があります。
はい、保証人が債務を支払った場合、その金額を主たる債務者に請求することができます。
これを「求償権」といい、民法に規定された保証人の重要な権利です。
ただし、主たる債務者に資力がない場合は、実際に回収することが難しい場合も多いので注意が必要です。
一度保証契約を締結すると、一方的に解除することは原則としてできません。
解除するには、債権者の同意が必要になるか、契約に解除条件が明記されている必要があります。
ただし、主たる債務者の資力が著しく悪化するなど事情変更があった場合には、免責を請求できる場合があります。
まとめ
保証人とは、主たる債務者が返済できなくなった場合に代わりに返済義務を負う重要な役割です。保証人には通常保証人、連帯保証人、根保証人などの種類があり、特に連帯保証人は主債務者と同等の厳しい責任を負います。
保証人は債務者が返済できない場合に代わって返済する義務がある一方で、求償権などの権利も持っています。保証人になる際は、その責任の重大性を理解し、主債務者の返済能力や信用状況、契約内容を十分に確認することが重要です。
債務者が債務整理をすると保証人への請求が集中するため、保証人自身も債務整理を検討する必要が生じる場合があります。2004年と2017年の民法改正により、個人保証人を保護するための規定が強化され、極度額の設定や情報提供義務などが導入されました。
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