一連計算(いちれんけいさん)とは?

一連計算とは、過払い金請求における計算方法の一つで、同一の貸金業者との間で複数の取引がある場合に、それらを一連の取引として扱い、過払い金の充当を認める計算方法です。

反対に同一の貸金業者との複数の取引を、それぞれ独立した別個の取引として扱い、個別に計算する方法を分断計算といいます。

一連計算の基本概念

定義 複数の取引を一連のものとみなし、過払い金を後続の取引に充当する計算方法
目的 借主の利益保護と、より公平な過払い金の返還を実現すること
適用場面 同一業者との間で取引が一旦終了後、再開された場合

一連計算が問題となる状況

典型的には以下のような状況で一連計算が問題となります。

第1取引 借入と返済を行い、取引が完済・終了
間隔期間 一定期間、取引が行われない
第2取引 同じ業者との間で新たな借入を開始

この場合、第1取引で発生した過払い金を第2取引の借入金(債務)に充当できるかが争点となります。

一連計算の適用条件

裁判所は以下のような要素を考慮して、一連計算の適用可否を判断します。

  • 取引間の時間的間隔
  • 取引の継続性・連続性
  • 当事者の意思
  • 取引の同一性(目的、態様など)

一連計算のメリット

  • 過払い金の回収可能性の向上
  • 時効の問題を回避できる可能性
  • より多くの過払い金返還を受けられる可能性

一連計算の影響

過払い金額の増加 後続の取引に過払い金が充当されることで、全体の過払い金額が増加する可能性があります。
時効の起算点の変更 一連の取引とみなされることで、時効の起算点が後ろにずれる可能性があります。
返還請求額の増加 結果として、貸金業者に対する返還請求額が増加する可能性があります。

一連計算に関する裁判例

裁判所の判断は事案によって異なりますが、一般的に以下のような傾向があります。

取引間隔が短い場合 一連の取引とみなされやすい
取引目的が同一の場合 一連の取引とみなされやすい
当事者の意思が継続的取引を示す場合 一連の取引とみなされやすい

ただし、具体的な判断は個々の事案によって異なります。

一連計算の注意点

個別判断 一連計算の適用は事案ごとに判断されるため、必ずしも認められるとは限りません。
証拠の重要性 取引の継続性を示す証拠が重要となります。
法改正の影響 貸金業法の改正などにより、適用基準が変更される可能性があります。

一連計算に関するよくある質問

取引の間に期間が空いている場合でも、一連計算が認められる可能性があります。判断の際には、取引間の時間的間隔だけでなく、取引の目的や態様の同一性、当事者の意思なども総合的に考慮されます。

ただし、一般的に取引間隔が長くなるほど、一連計算が認められにくくなる傾向にあります。具体的な判断は事案によって異なるため、専門家への相談をおすすめします。

一連計算の場合、第1取引で発生した過払い金を第2取引の借入金に充当することができるため、通常は分断計算よりも過払い金の総額が大きくなります。

また、時効の起算点も後ろにずれる可能性があるため、請求できる過払い金の範囲が広がることがあります。一方、分断計算では各取引を独立して計算するため、過払い金の総額は比較的少なくなる傾向にあります。

一連計算を認めてもらうためには、取引の継続性や関連性を示す証拠が重要です。具体的には、取引履歴(借入・返済の記録)、契約書類、通帳の写し、取引明細書などが主な証拠となります。

また、貸金業者とのやり取りの記録や、取引の目的が同一であったことを示す資料なども有用です。できるだけ多くの資料を保管しておくことをおすすめします。

一連計算についてお悩みの方は、お気軽に杉山事務所にご相談ください。

債務整理用語集一覧に戻る

お気軽に無料相談をご利用ください。

page top