一括請求(いっかつせいきゅう)とは?

一括請求とは、分割返済の契約がなされている債務において、返済の延滞などにより期限の利益が喪失した場合に、債権者が返済期日の到来していないものも含めて、借金残額の全額を一度に返済するよう債務者に求めることです。

通常、ローンやクレジットは毎月の分割払いとなっていますが、支払いの遅延や契約違反があると、一括で全額を支払うよう求められることがあります。

一括請求の基本的な意味

一括請求は、分割返済契約において債務者が契約条件に違反した場合に、債権者が残りの債務全額を一度に支払うよう請求する行為です。

これは「期限の利益の喪失」によって生じる状況で、本来であれば将来の返済期日まで待ってもらえる利益(期限の利益)を失うことを意味します。

定義 分割返済契約の債務全額を一度に返済するよう求めること
発生原因 期限の利益の喪失(主に返済の延滞による)
請求内容 未払い分だけでなく、将来の分割払い予定分を含めた残債務全額

この表は一括請求の基本的な特徴をまとめたものです。定義、発生原因、具体的な請求内容について明記しています。

一括請求が行われる状況

一括請求は様々な状況で行われますが、最も一般的なのは返済の延滞です。

契約書に記載されている期限の利益喪失条項に基づいて、特定の条件が満たされた時に一括請求が行われます。

返済の延滞 約定の返済日を過ぎても支払いがない場合(一般的に2回以上の延滞で期限の利益を喪失することが多い)
契約違反 返済以外の契約条項(資金使途の制限など)に違反した場合
信用不安 債務者の破産申立て、差押え、他社への延滞など信用状態が著しく悪化した場合
虚偽申告 契約時の申告内容に重大な虚偽があると判明した場合

この表は一括請求が行われる主な状況をまとめたものです。返済の延滞以外にも、様々な理由で期限の利益を喪失する可能性があることを示しています。

一括請求の法的根拠

一括請求は法的根拠に基づいて行われるもので、民法の規定や当事者間の契約条項が重要な役割を果たします。

期限の利益の喪失 民法第137条(期限の利益の喪失)に基づく法的概念
契約条項 ローン契約書等に記載された期限の利益喪失条項の内容
判例・実務 裁判例や金融実務における取り扱いの蓄積

この表は一括請求が行われる法的な根拠をまとめたものです。民法の規定だけでなく、個別の契約条項が重要な役割を果たしていることがわかります。

一括請求がもたらす影響

一括請求を受けると、債務者には様々な影響が生じます。

特に経済的・法的な面での負担が急増することが大きな問題となります。

返済負担の急増 将来の返済予定分も含めた多額の返済を一度に求められる
法的措置のリスク 返済できない場合、強制執行や財産差押えなどの法的措置が取られる可能性
信用情報への影響 延滞情報が信用情報機関に登録され、新たな借入れやクレジットカードの利用が困難になる
精神的負担 突然の高額請求によるストレスや不安の増大

この表は一括請求がもたらす主な影響をまとめたものです。経済的な影響だけでなく、信用情報や精神面への影響も大きいことがわかります。

一括請求への対応方法

一括請求を受けた場合、適切な対応をとることが重要です。

状況に応じて様々な選択肢があります。

  1. 債権者との交渉:返済計画の見直しや分割返済の継続などについて交渉する
  2. 資金の調達:親族や知人からの借入れ、資産の売却などで返済資金を確保する
  3. 債務整理の検討:任意整理、個人再生、自己破産などの債務整理手続きを検討する
  4. 法的助言の取得:弁護士や司法書士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受ける

上記のリストは一括請求を受けた際の主な対応方法を示しています。状況に応じて最適な方法を選択することが大切です。

一括請求を避けるための注意点

一括請求を避けるためには、日頃からいくつかの点に注意することが大切です。

  • 返済計画の遵守:約定の返済日と金額を必ず守る
  • 早期の相談:返済が困難になりそうな場合は早めに債権者に相談する
  • 契約内容の理解:期限の利益喪失条項など、契約内容をよく理解しておく
  • 返済能力の見極め:借入れ時点で無理のない返済計画を立てる
  • 家計管理の徹底:収支のバランスを適切に管理し、返済資金を確保する

このリストは一括請求を避けるための主な注意点をまとめたものです。予防的な対応が最も効果的であることがわかります。

債務整理における一括請求の取り扱い

すでに一括請求を受けている場合でも、債務整理によって問題解決を図ることができます。

各債務整理方法によって一括請求への対応が異なります。

任意整理 債権者と交渉し、分割返済の継続や金利の引き下げなどを求めることで、一括請求の撤回や返済条件の緩和を目指す
個人再生 裁判所の関与のもと、債務を最大で5分の1程度に減額し、3〜5年の返済計画を立てることで、一括請求に対応する
自己破産 返済が著しく困難な場合の最終手段として、債務の免責を受けることで一括請求の問題を解決する

この表は債務整理の各方法における一括請求の取り扱いをまとめたものです。状況に応じて最適な債務整理方法を選択することが重要です。

よくある質問

一括請求を受けた場合でも、必ずしも直ちに全額を支払う必要はありません。

債権者との交渉により、分割返済の継続や返済計画の見直しが認められる可能性があります。

ただし、放置すると法的措置に発展する可能性が高いため、早めに債権者への連絡や専門家への相談をすることが重要です。

一般的には、2〜3回の返済遅延で期限の利益を喪失し、一括請求の対象となることが多いです。

ただし、具体的な基準は契約書の期限の利益喪失条項に明記されており、債権者によって異なります。

また、金額が大きい場合や悪質な延滞と判断された場合は、1回の延滞でも一括請求されることがあります。

一括請求に応じられない場合、債権者からの督促が続き、最終的には裁判所を通じた法的措置(支払督促、訴訟提起など)に発展する可能性があります。

判決が確定すると、財産の差押えなどの強制執行を受けるリスクが高まります。

このような状況を避けるためにも、早期に専門家に相談し、債務整理などの適切な対応を検討することが重要です。

はい、一括請求を受けた後でも、任意整理、個人再生、自己破産などの債務整理は可能です。

むしろ、一括請求を受けて返済が困難になった場合は、債務整理を検討するタイミングといえます。

どの債務整理の方法が最適かは個々の状況によって異なるため、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、自身の状況に合った解決方法を選択することが重要です。

まとめ

一括請求とは、分割返済契約において期限の利益を喪失した場合に、債務の残額全額を一度に返済するよう求められることです。

主に返済の延滞や契約違反によって発生し、債務者には返済負担の急増や法的措置のリスク、信用情報への悪影響などの深刻な問題をもたらします。

一括請求を受けた場合は、債権者との交渉や債務整理の検討など、状況に応じた適切な対応が必要です。また、一括請求を避けるためには、返済計画の遵守や早期相談、契約内容の理解などが重要となります。

債務の返済でお悩みの方や一括請求を受けてお困りの方は、専門家のアドバイスを受けることで問題解決の糸口が見つかる可能性があります。

一括請求でお悩みの方は、杉山事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。早期の対応が問題解決への近道です。

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