自由財産(じゆうざいさん)とは?

自由財産とは、自己破産の手続きを行った場合でも、債務者が手元に残すことができる財産のことを指します。

これは、債務者の生活再建を支援し、最低限の生活を維持するために認められている制度です。近年、この自由財産の範囲が拡大され、債務者の生活再建がより容易になっています。

自由財産の基本概念

定義 自己破産後も債務者が保持できる財産
目的 債務者の生活再建と最低限の生活維持
法的根拠 破産法、裁判所の運用基準

自由財産の範囲(東京地方裁判所の例)

現金 99万円以下
特定の財産 20万円以下
その他 生活に必要不可欠な家財道具など

自由財産の種類

  • 現金や預貯金(上限額あり)
  • 生活に必要な家財道具
  • 通勤用の自動車(一定の条件下)
  • 仕事に必要な道具
  • 衣類や日用品
  • 一定額以下の保険金

自由財産制度の意義

生活再建の支援 最低限の生活基盤を確保し、再出発を助ける
人権の保護 債務者の人間としての尊厳を守る
社会的安定 債務者の生活崩壊を防ぎ、社会の安定に寄与する
自己破産の促進 必要な場合の自己破産を躊躇させない効果がある

自由財産の拡張申立

定義 通常の自由財産以上の財産保持を裁判所に申し立てること
対象例 高額な医療費が必要な場合、自営業の継続に必要な場合など
判断基準 債務者の生活状況、職業、健康状態などを総合的に考慮

自由財産に関する注意点

地域差 裁判所により自由財産の範囲が異なる場合がある
財産の隠匿 財産を隠す行為は違法であり、免責不許可事由となる
変動の可能性 社会情勢により自由財産の範囲が変更される可能性がある
個別判断 具体的な自由財産の範囲は個々のケースで判断される

自由財産と他の債務整理手法との比較

任意整理 財産の処分は原則不要で、自由財産の概念は適用されない
個人再生 原則として全財産を維持できるが、返済原資として考慮される
特定調停 財産の処分は原則不要で、自由財産の概念は適用されない

自由財産についてのよくある質問

自由財産として認められる現金の額は、地方裁判所によって異なります。

例えば、東京地方裁判所では99万円までとされていますが、地域によってはこれと異なる金額が設定されている場合があります。

また、債務者の状況(病気や障害の有無、家族構成など)によっても認められる金額が変わる可能性があるため、お住まいの地域の基準について、専門家に確認することをおすすめします。

事業用の車両や機械設備は、それが債務者の生計を維持するために必要不可欠であると認められる場合、自由財産として認められる可能性があります。

ただし、通常の自由財産の範囲を超える場合は、自由財産の拡張申立てが必要となります。裁判所は、その必要性や価値、代替性などを考慮して個別に判断を行います。

高額な設備の場合は、事前に弁護士などに相談し、認められる可能性について確認することが重要です。

保険金が自由財産として認められるかどうかは、保険の種類や金額によって異なります。

生命保険の死亡保険金や医療保険の給付金など、債務者やその家族の生活保障を目的とするものは、一定額まで自由財産として認められる可能性が高くなっています。

ただし、高額な保険金の場合や、貯蓄性の高い保険の解約返戻金などは、自由財産として認められない可能性があります。具体的な判断は個別のケースによって異なるため、専門家への相談をおすすめします。

自由財産制度は、自己破産後の債務者の生活再建を支援する重要な仕組みです。しかし、その具体的な範囲や申立方法については、専門的な知識が必要となります。

自己破産を検討している場合や、自由財産の範囲について不明な点がある場合は、杉山事務所にご相談ください。

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