強制執行(きょうせいしっこう)とは?

強制執行とは、債権者債務者から返済を受けられない場合に、裁判所に申し立てて債務者の財産を強制的に差し押さえ、債権を回収する法的手続きのことです。

この制度は、債権者の権利を保護し、債務の履行を確保するための重要な手段です。

強制執行の基本概念

定義 裁判所を通じて債務者の財産を強制的に差し押さえ、債権を回収する手続き
目的 債権者の権利保護と債務の強制的な履行
法的根拠 民事執行法

強制執行の主な種類

金銭執行

債務者の財産を換価して債権者に支払う

  • 不動産執行(競売など)
  • 動産執行
  • 債権執行(預金債権、給与債権など)
非金銭執行

特定の行為を強制的に実現させる

  • 明渡執行
  • 代替執行
  • 間接強制

強制執行の手続きの流れ

  1. 債権者による申立て
  2. 裁判所による審査
  3. 執行機関(執行官など)による執行
  4. 財産の換価(売却など)
  5. 債権者への配当

強制執行に必要な書類

債務名義 判決、支払督促公正証書など
執行文 債務名義に付与される執行力を証明する文書
送達証明 債務名義が債務者に送達されたことを証明する文書

※債務名義さえ用意できれば、執行文と送達証明は裁判所の指示に従って入手可能です。

強制執行の特徴

公的機関の関与 裁判所や執行官が手続きを主導
強制力 債務者の意思に関わらず執行が可能
法的手続きの遵守 厳格な法的手続きに従って実施される
債務者の権利保護 過度の執行から債務者を保護する規定もある

債務整理における強制執行について

債務者の立場
  • 強制執行を回避するための債務整理の検討
  • 執行異議や執行停止の申立ての検討
債権者の立場
  • 債権回収手段としての強制執行の検討
  • 他の債権回収方法との比較検討

強制執行に関する注意点

手続きの複雑さ 専門的な知識が必要
コストと時間 手続きに費用と時間がかかる
債務者の資力 債務者に資力がない場合、執行が困難
優先順位 他の債権者との優先順位に注意が必要

強制執行の制限

差押禁止財産 生活に必要な最小限の財産は差押えできない
差押禁止債権 給与の一部など、法律で保護されている債権がある
執行停止 一定の事由がある場合、裁判所が執行を停止することがある

強制執行と任意履行の比較

強制力 強制執行には強制力があるが、任意履行は債務者の意思に依存
手続きの複雑さ 強制執行は複雑な手続きが必要、任意履行は比較的簡単
コスト 強制執行は高コスト、任意履行は低コスト
債権者・債務者関係 強制執行は関係悪化のリスク、任意履行は関係維持の可能性

強制執行についてのよくある質問

強制執行を行うためには、主に3つの書類が必要です。

まず、判決や支払督促、公正証書などの「債務名義」が必要です。その他に、その債務名義に執行力があることを証明する「執行文」、債務名義が債務者に確実に届いたことを証明する「送達証明」が必要となります。

なお、債務名義を取得できれば、執行文と送達証明は裁判所の指示に従って入手することができます。

いいえ、全額が差し押さえられることはありません。給与については、法律で一定額が差押禁止債権として保護されています。

具体的には、給与から所得税等を控除した手取額のうち、その4分の3が差押禁止額となります。また、手取額が一定額以下の場合は、生活維持のために必要な最低限度の金額が保護されます。

預金についても、給与が振り込まれた口座の場合、一定の保護を受けることができます。

強制執行を止める方法はいくつかあります。例えば、執行手続きに違法性がある場合は「執行異議」を申し立てることができます。

また、債務者が個人再生や自己破産などの法的債務整理を申し立てた場合、強制執行は一時的に停止されます。さらに、債権者との話し合いにより任意整理を行う場合も、債権者が強制執行を取り下げる可能性があります。

ただし、これらの手続きには専門的な知識が必要なため、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

強制執行に関する問題や、債務整理による強制執行の回避についてお悩みの方は、お気軽に杉山事務所にご相談ください。

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