債務名義(さいむめいぎ)とは?

債務名義とは、債権者強制執行によって実現されるべき債権が存在することを公的に証明した文書のことを指します。

これは、強制執行を行う際に請求権があることを証明する、執行力を付与された公的文書です。

債務名義の基本概念

定義 強制執行の根拠となる公的文書
目的 債権者の請求権を公的に証明し、強制執行を可能にすること
法的根拠 民事執行法第22条

債務名義の主な種類

債務名義の役割

強制執行の根拠 債務名義があることで、債権者は強制執行を申し立てることができる
債権の公的証明 債権の存在と内容を公的に証明する
紛争の終結 多くの場合、債務名義の取得により当事者間の紛争が終結する

債務名義の取得方法

訴訟による方法
  • 裁判所に訴えを提起し、勝訴判決を得る
  • 訴訟中に和解や請求の認諾を行い、和解調書や認諾調書を得る
訴訟によらない方法
  • 公証人役場で執行証書を作成する
  • 支払督促の申立てを行い、債務者が異議を申し立てないまま確定させる
  • 調停や和解などの裁判外紛争解決手続を利用する

債務名義の効力

執行力 債務名義に基づいて強制執行を行うことができる
既判力 債務名義の内容について、再び争うことができなくなる
形成力 債務名義によって新たな法律関係が形成される場合がある

債務整理における債務名義の位置づけ

任意整理 債務名義がない段階で行われることが多い
法的整理 債務名義の有無によって手続きの進め方が変わる可能性がある
強制執行 債務名義に基づいて行われる

債務名義に関する注意点

時効 債務名義によって認められた請求権にも消滅時効がある
不服申立て 債務名義の種類によっては、不服申立ての方法がある
執行文の付与 一部の債務名義では、執行文の付与が必要
債務者の保護 債務名義があっても、債務者の一定の財産は差押禁止となる

債務名義と強制執行の流れ

  1. 債務名義の取得
  2. 執行文の付与(必要な場合)
  3. 強制執行の申立て
  4. 執行機関による強制執行の実施

債務名義についてのよくある質問

債務名義を取得されても、債務整理の手続きを行うことは可能です。特に自己破産や個人再生などの法的整理を検討することをおすすめします。

債務名義があることで強制執行のリスクが高まるため、早めに弁護士や司法書士などの専門家に相談することが重要です。

また、生活に必要な最低限の財産(給与の一部や生活必需品など)は、債務名義があっても差押えが禁止されています。

支払督促は、債務者に督促が送達されてから2週間以内に債務者が異議を申し立てなければ、自動的に債務名義となります。

ただし、債務者に督促が確実に届いたことを証明するため、原則として直接手渡しで送達される必要があります。

そのため、債務者の居所が不明な場合や、債務者が受け取りを拒否した場合は、債務名義の取得までに時間がかかったり、別の方法を検討する必要が生じたりする場合があります。

債務名義に基づく請求権の消滅時効は、確定判決などの場合は10年間です(民法第169条第1項)。ただし、債務名義の種類や債権の性質によって時効期間が異なる場合があります。

また、時効の起算点は債務名義が確定した時点からとなります。なお、時効期間内に強制執行などの法的手続きが行われた場合は、時効は中断され、新たに時効期間が進行し始めます。

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