裁量免責(さいりょうめんせき)とは?
裁量免責とは、破産手続きにおいて、通常であれば免責が認められない事由がある場合でも、裁判所の判断により例外的に免責を認める制度のことです。
裁量免責の基本概念
定義 | 免責不許可事由がある破産者に対し、裁判所の裁量で免責を認める制度 |
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目的 | 破産者の更生機会の確保と債務からの解放 |
法的根拠 | 破産法第252条第1項但書 |
裁量免責の主な特徴
適用条件 | 免責不許可事由がある場合でも適用の可能性がある |
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判断基準 | 破産者の誠実性、免責不許可事由の程度、更生の見込みなど |
裁判所の役割 | 各種事情を総合的に考慮し、裁量により判断を下す |
効果 | 免責が認められれば、対象となる債務から解放される |
裁量免責が検討される主な状況
ギャンブル性のある行為 | ギャンブルによる借金でも、その程度や反省の態度により検討 |
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投資失敗 | 投資による多額の負債でも、状況により免責の可能性あり |
浪費 | 過度の浪費による債務でも、更生の見込みにより判断 |
その他の免責不許可事由 | 詐欺的行為や破産手続きの濫用など、各種事由が対象 |
裁量免責の判断要素
破産者の誠実性 | 債務整理への真摯な態度や反省の程度 |
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免責不許可事由の程度 | 行為の悪質性や社会的影響の大きさ |
更生の見込み | 今後の生活再建や経済的再生の可能性 |
債権者への影響 | 免責による債権者への影響の程度 |
裁量免責のメリット
- 免責不許可事由がある場合でも債務からの解放の可能性がある
- 破産者の更生機会が確保される
裁量免責のデメリット
- 裁判所の判断に委ねられるため、結果の予測が困難
- 免責が認められない場合、債務が残存する
裁量免責の申立てにおける注意点
誠実な対応 | 裁判所や債権者に対して誠実に対応し、情報を開示する |
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反省の態度 | 過去の行為に対する反省と今後の更生意欲を示す |
証拠の準備 | 更生の見込みを示す具体的な計画や証拠を準備する |
専門家の助言 | 複雑な手続きのため、専門家のサポートを受けることが重要 |
裁量免責についてのよくある質問
ギャンブルによる借金があっても、裁量免責が認められる可能性はあります。ただし、裁判所は以下のような点を重視して判断します。
- ギャンブルを完全にやめている期間
- 借金の反省度合いと更生意欲
- 現在の生活態度や収入状況
- 家族との関係修復努力
特に、ギャンブル依存症の治療を受けている場合や、長期間ギャンブルを絶っているなど、具体的な更生への取り組みが認められれば、裁量免責が認められる可能性が高くなります。
裁量免責の可能性を高めるためには、以下のような準備が重要です。
- 債務発生の経緯や反省点を具体的に説明できる資料の準備
- 安定した収入源の確保と収支計画の作成
- 浪費や不適切な行為を改めた証拠(例:ギャンブル依存症の治療記録、家計簿など)
- 今後の生活設計と返済計画の具体的な提示
また、破産手続きの申立てから判断までの間、真摯な態度で裁判所に協力することも重要です。専門家に相談しながら、これらの準備を進めることをおすすめします。
裁量免責が認められなかった場合、破産手続きは終了しますが、債務は残ったままとなります。
この場合の選択肢としては、①債権者との個別交渉による分割払いなどの返済計画の策定、②一定期間経過後の再度の自己破産申立て(ただし、前回の免責不許可事由が解消されている必要があります)、③他の債務整理方法(任意整理や個人再生)の検討、などが考えられます。
具体的な対応方針については、専門家に相談することをおすすめします。
裁量免責は複雑な法的判断を伴う制度です。自己破産を検討されている方で、免責不許可事由に該当する可能性がある場合は、杉山事務所にご相談ください。
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