再生計画案(さいせいけいかくあん)とは?
再生計画案とは、民事再生手続きにおいて、債務者が作成し裁判所に提出する重要な書類です。この計画には、減額された借金の返済方法や債権者の権利変更内容が詳細に記載されています。
債権者集会での可決と裁判所の認可を経ることで法的な効力が生じ、この計画に基づいて債務の返済が進められます。民事再生を成功させるための道筋を示す、最も重要な要素と言えるでしょう。
■もくじ
再生計画案の基本情報
定義 | 民事再生手続における債務返済計画と債権者権利変更の提案書 |
---|---|
作成者 | 再生債務者(借金を抱えた個人または法人) |
提出先 | 民事再生手続を担当する裁判所 |
効力発生条件 | 債権者集会での可決と裁判所の認可決定 |
再生計画案は民事再生手続の核心部分です。債務者の経済的再生を可能にするため、債務の減額や返済条件の変更を具体的に示す書類となります。
再生計画案に記載される主な内容
債権の減免 | 各債権がどの程度減額されるかの具体的な割合や金額 |
---|---|
返済計画 | 月々の返済額、返済期間、返済方法などの詳細 |
権利変更 | 各債権者の権利をどのように変更するかの内容 |
事業継続計画 | 事業者の場合、今後どのように事業を立て直すかの計画 |
再生計画案には債務者の現在の財産状況や収入見込みに基づいた、実現可能な返済計画が記載されます。債権者にとっても納得できる内容である必要があります。
効果的な再生計画案作成のポイント
- 債務者の収入状況と財産状態を正確に反映した現実的な計画を立てる
- 全ての債権者に対して公平な取り扱いを確保する
- 無理のない返済計画で確実に履行できる内容にする
- 民事再生法で定められた法的要件を満たす内容にする
- 債権者が納得できる合理的な説明と根拠を示す
計画案作成にあたっては、専門家のサポートを受けながら債務者の実情に合った内容を検討することが重要です。無理な計画は後の履行不能につながる恐れがあります。
再生計画案の効果
債務の再構築 | 計画に基づいて借金の総額や返済条件が変更される |
---|---|
返済の明確化 | いつまでにいくら返済すればよいかが明確になる |
法的拘束力 | 認可後は全ての債権者がこの計画に従わなければならない |
経済的再生 | 債務者が経済的に再生するための道筋が示される |
裁判所に認可された再生計画案は法的拘束力を持ち、債権者はこれに従う義務があります。債務者にとっては新たな出発点となります。
再生計画案の手続きの流れ
- 債務者が再生委員等の専門家の助言を得て計画案を作成
- 作成した計画案を裁判所に提出
- 提出した計画案の写しを全ての債権者に送付
- 債権者集会で計画案について説明と議決
- 債権者の同意を得た計画案について裁判所が認可審査
- 裁判所の認可決定により計画が確定
民事再生手続きでは、この流れに沿って再生計画案が審査され、最終的に認可されます。各段階で専門家のサポートが重要です。
計画案作成時の注意点
- 自分の返済能力を超える無理な計画は避ける
- 特定の債権者だけを優遇するような不公平な内容にしない
- 将来の収入見込みは楽観的すぎないよう慎重に見積もる
- 法律の専門家のアドバイスを積極的に取り入れる
- 計画の実行可能性を多角的に検討する
再生計画案は一度認可されると変更が容易ではないため、現実的で実行可能な内容を慎重に検討することが大切です。専門家の助言を受けながら作成しましょう。
他の債務整理方法との比較
任意整理 | 法的手続きではないため裁判所の関与がなく、個別交渉が必要 |
---|---|
個人再生 | 小規模個人再生では標準的な計画案のひな形が用意されている |
破産 | 債務が免除されるため返済計画は不要だが、財産は処分される |
債務整理方法によって計画案の要否や内容は大きく異なります。自分の状況に最適な方法を専門家と相談して選びましょう。
再生計画案の変更と廃止について
計画案の変更 | やむを得ない事情による収入減少などがあれば変更申立てが可能 |
---|---|
廃止の申立て | 計画の履行が不可能になった場合、手続きの廃止を申し立てることができる |
監督期間 | 計画の確実な履行のため、裁判所が監督期間を設けることがある |
再生計画案は原則として守るべきものですが、予期せぬ状況変化があった場合には変更や廃止の手続きも用意されています。状況に応じて適切に対応しましょう。
よくある質問
法律上は債務者自身が作成することになっていますが、実際には法律の専門知識が必要なため、弁護士や司法書士などの専門家のサポートを受けるのが一般的です。
再生計画案には法定の要件があり、債権者の同意を得るためには適切な内容にする必要があります。専門家に相談することで、認可されやすい計画案を作成できます。
杉山事務所では、ご相談者様の状況に合わせた最適な再生計画案の作成をサポートしています。
病気や失業など予期せぬ事情により計画通りの返済が困難になった場合、再生計画案の変更を申し立てることが可能です。
ただし、変更には再度債権者の同意と裁判所の認可が必要となります。変更の理由が合理的で真にやむを得ないものであることが求められます。
返済が困難になりそうな場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
債権者集会で再生計画案が否決された場合、原則として民事再生手続きは廃止となります。
否決の理由が明確で修正可能であれば、内容を見直して再提出することも検討できます。修正が難しい場合は、破産手続きへの移行や任意整理など別の債務整理方法を検討することになります。
否決のリスクを減らすためにも、事前に債権者との調整を行い、専門家のアドバイスを受けながら計画案を作成することが重要です。
個人再生の場合、一般的には3年以内(最長5年)の返済期間が設定されます。事業者の民事再生では、事業の状況に応じて返済期間が個別に設定されます。
返済期間は債務者の収入状況や債務の金額、債権者の意向などを考慮して決定されます。無理のない返済計画を立てることが成功の鍵です。
具体的な返済期間については、個別の状況に応じて専門家にご相談ください。
まとめ:再生計画案について
再生計画案は民事再生手続きの中心となる重要な書類であり、債務者の経済的再生を実現するための具体的な道筋を示すものです。この計画案には、債務の減額や返済条件の変更、債権者の権利変更などが詳細に記載されます。
効果的な再生計画案を作成するためには、債務者の収入状況や財産状態を正確に把握し、無理のない返済計画を立てることが不可欠です。また、全ての債権者に対して公平な取り扱いを確保し、法的要件を満たす内容にする必要があります。
計画案は債権者集会での可決と裁判所の認可を経て法的効力を持ち、認可後は全ての関係者がこれに従うことになります。万が一、計画通りの返済が困難になった場合には、変更の申立てや手続きの廃止といった選択肢も用意されています。
再生計画案の作成には高度な専門知識と経験が必要です。最適な計画案を作成し、民事再生を成功させるためには、専門家のサポートを受けることをおすすめします。債務問題でお悩みの方は、杉山事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。
お気軽に無料相談をご利用ください。