相殺(そうさい)とは?
相殺とは、二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときに、各債務者がその対当額について債務を免れることができる法的手段です。
民法第505条に規定されており、債権債務関係を簡易に解消する重要な方法の一つです。
相殺の基本概念
定義 | 同一の者に対する債権と債務を重なる金額の範囲で消滅させること |
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法的根拠 | 民法第505条 |
主な目的 | 債権債務関係の簡易な解消、公平な決済 |
相殺の要件
同種の目的 | 通常は金銭債権同士であること |
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債務の弁済期 | 双方の債務が弁済期にあること |
対当額の存在 | 相殺可能な共通の金額が存在すること |
相殺の意思表示 | 当事者の一方が相殺の意思を表示すること |
相殺の具体例
カード取引での相殺 | 過払い金が発生したカードと残債務のあるカード間での相殺 |
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保証会社との相殺 | 過払い金債権と保証会社の事前求償権との相殺 |
銀行取引での相殺 | 預金債権と貸付債権の相殺 |
相殺のメリット
- 債権債務関係の簡易・迅速な解消
- 相互の債権回収リスクの軽減
- 取引コストの削減
- 公平な決済の実現
相殺と債務整理の関係
過払い金請求 | 過払い金債権と残債務の相殺が問題となる |
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任意整理 | 債権者が相殺を主張し、債務減額に影響する可能性 |
破産手続 | 破産債権と破産財団所属財産に関する債務の相殺が問題となる |
相殺に関する注意点
相殺禁止の特約 | 契約で相殺が禁止されている場合がある |
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法定相殺と契約相殺 | 法律による相殺と契約による相殺の区別が必要 |
相殺の時効 | 相殺適状にある債権の消滅時効に注意 |
相殺の遡及効 | 相殺の効果は相殺適状時に遡って生じる |
相殺が制限される場合
不法行為債権 | 故意の不法行為に基づく損害賠償債権を受働債権とする相殺は不可 |
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差押禁止債権 | 差押えが禁止されている債権を受働債権とする相殺は制限される |
預金債権 | 預金債権に対する差押えがあった後の相殺には制限がある |
相殺についてのよくある質問
過払い金債権と現在の借入残債務は、同一の貸金業者との間で発生したものであれば、原則として相殺することが可能です。
ただし、過払い金債権が時効消滅している場合や、既に債権譲渡されている場合は相殺できないことがあります。
また、別会社との債務の場合は原則として相殺できませんので、専門家への相談をおすすめします。
相殺は当事者の一方から相手方に対する意思表示のみで効力が生じ、双方の合意は必要ありません。
ただし、相殺の要件(同種の債務であること、双方の債務が弁済期にあることなど)を満たしている必要があります。
なお、契約で相殺が禁止されている場合や、法律で相殺が制限されている場合は、一方的な意思表示だけでは相殺できないことがありますので注意が必要です。
破産手続開始後でも、一定の要件を満たす場合には相殺が可能です。
ただし、破産法では相殺権の行使に制限が設けられており、破産手続開始後に債権を取得して相殺する場合や、債務者の破産を知って債権を取得して相殺する場合などは、相殺が禁止されます。
破産手続における相殺の可否については、破産管財人や弁護士に確認することが重要です。
相殺は、債権債務関係を簡易に解消できる有用な手段ですが、その適用には様々な法的要件や制限があります。特に債務整理の過程では、過払い金請求や任意整理において重要な役割を果たすことがあります。
相殺に関する問題や、債務整理における相殺の取り扱いでお悩みの方は、杉山事務所にご相談ください。
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