多重債務(たじゅうさいむ)とは?

多重債務とは、複数の貸金業者消費者金融、クレジットカード会社などから借入れをしており、その返済が困難になっている状態を指します。

単に複数から借りているだけではなく、返済が厳しくなっている、または返済のために新たな借入れを繰り返すなど、負の連鎖に陥っている状況を表します。

多重債務の定義と特徴

多重債務とは、複数の債権者から借金をしており、その返済が困難な状態に陥っていることを意味します。

一般的には、消費者金融やクレジットカード会社など複数の金融機関からの借入れが返済できなくなる状況を指します。

複数の債権者の存在 2社以上の金融機関から借入れをしている状態です。
返済の困難性 収入に対して返済額が大きく、生活に支障をきたしている状況です。
借金の連鎖 既存の借金を返済するために新たな借入れを行う「自転車操業」の状態に陥っています。
心理的負担 借金返済のストレスで精神的な苦痛を感じている場合が多いです。

上記の表は多重債務の主な特徴を示しています。このような状態に陥ると、日常生活の維持が困難になるだけでなく、精神的な負担も大きくなります。

多重債務に陥る原因

多重債務に陥る原因はさまざまですが、主に以下のような要因が考えられます。

  • 収入に見合わない生活習慣による過剰な支出
  • 計画性のない借入れや衝動的な消費行動
  • ギャンブルや投資の失敗による突発的な出費
  • 病気やケガ、失業など予期せぬ収入減少
  • 金融知識の不足による高金利借入れの連鎖
  • 家族の病気や介護など、急な出費の発生

多重債務は単に浪費癖があるというだけではなく、様々な生活上の問題や社会的要因が複合的に絡み合って発生することが多いです。

「借金の返済のための借金」という悪循環

多重債務の特徴的なパターンとして、既存の借金の返済のために新たな借入れを行う「自転車操業」があります。

このような状態になると、借金総額は増加の一途をたどり、最終的には返済不能な状態に陥ってしまいます。

  1. A社からの借入れが返済できなくなる
  2. B社から借入れをしてA社への返済に充てる
  3. A社とB社の返済が厳しくなりC社から借りる
  4. 新たな借入先を探し続け、借金総額が膨らむ
  5. 最終的に返済不能な状態に陥る

上記のような負のスパイラルに陥ると、自力での解決が非常に困難になります。早期の専門家への相談が重要です。

多重債務の現状と推移

多重債務問題は、かつて深刻な社会問題となっていましたが、法整備の進展により状況は改善しつつあります。

平成18年以前 貸金業法改正前は、5社以上から借入れている人が約230万人にも上りました。
平成19年 貸金業法の段階的施行が始まり、多重債務者は約171万人に減少しました。
平成22年 総量規制が完全施行され、年収の3分の1を超える貸付けが原則禁止されました。
平成24年以降 5社以上の借入れがある人は約44万人まで減少し、改善傾向が続いています。

この表は貸金業法改正前後の多重債務者数の推移を示しています。法改正による規制強化が多重債務問題の改善に大きく寄与したことが分かります。

総量規制の効果

総量規制とは、貸金業法に基づき、個人の借入総額が年収の3分の1を超える場合の新規貸付けを原則として禁止する制度です。

この規制により、過剰な貸付けが抑制され、新たな多重債務者の発生が大幅に減少しました。

杉山事務所に相談される方の中でも、5社以上からの借入れがある方は以前に比べて減少しており、総量規制の効果が表れていると言えます。

多重債務から抜け出す方法

多重債務に陥った場合、以下のような解決方法があります。状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。

任意整理
  • 債権者と直接交渉して、金利の引き下げや元金のみの分割返済などを行う方法
  • 比較的軽度の多重債務に適しています
  • 信用情報機関に事故情報が登録されますが、返済が完了すれば新たな借入れも可能になります
個人再生
  • 裁判所を通じて債務を最大で5分の1まで減額して返済する方法
  • 住宅ローンがある場合でもマイホームを手放さずに債務整理ができる「住宅ローン特則」があります
  • 安定した収入がある方に適しています
自己破産
  • 裁判所に申し立てを行い、債務の支払い義務を免除してもらう方法
  • 一定価値以上の財産は処分されますが、生活必需品は手元に残せます
  • 返済能力がなく、他の債務整理では解決が難しい重度の多重債務に適しています

上記の表は主な債務整理の方法とその特徴を示しています。どの方法が最適かは債務の状況や収入、財産状況などによって異なります。

専門家への相談の重要性

多重債務問題は、法律や金融の専門知識が必要となるため、一人で解決するのは困難です。

司法書士や弁護士などの専門家に相談することで、自分の状況に最適な解決方法を見つけることができます。

杉山事務所では、多重債務でお悩みの方に対して無料相談を実施しています。早期の相談が問題解決の第一歩です。

多重債務を防ぐための対策

多重債務に陥らないためには、日頃から以下のような点に注意することが重要です。

  • 収入に見合った生活設計を行い、無理のない家計管理を心がける
  • 緊急時に備えた貯蓄を確保し、突発的な出費に対応できるようにする
  • クレジットカードやカードローンの利用限度額を必要以上に高く設定しない
  • 借入れを行う際は、金利や返済条件をしっかり確認する
  • 複数の借入れがある場合は、おまとめローンなどで一本化を検討する
  • 返済が厳しくなってきたら、早めに専門家に相談する

これらの対策を心がけることで、多重債務に陥るリスクを大幅に減らすことができます。特に「収入の範囲内で生活する」という基本原則を守ることが重要です。

よくある質問

多重債務に陥ったと感じたら、まず現在の借入状況を正確に把握することが重要です。すべての借入先、借入額、金利、返済状況を整理しましょう。

その上で、司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。自分だけで解決しようとせず、専門家のアドバイスを受けることで、最適な解決方法を見つけることができます。

また、新たな借入れを行わないことも重要です。「借金返済のための借金」は状況を悪化させるだけですので、避けるべきです。

はい、多重債務があっても債務整理は可能です。むしろ、多重債務は債務整理の主な対象となります。

任意整理、個人再生、自己破産など、借入状況や収入に応じた最適な方法を選ぶことができます。専門家に相談することで、自分の状況に合った債務整理の方法を見つけることができます。

債務整理を行うことで、金利の引き下げや元金の減額、支払義務の免除など、状況に応じた解決策を講じることができます。

はい、総量規制の対象外となる借入れがいくつかあります。主なものは以下の通りです。

住宅ローンや自動車ローンなど、資金使途が明確で、担保がある借入れは対象外です。また、不動産を担保とした借入れや、配偶者の収入を合算して返済能力を審査する場合も対象外となります。

ただし、これらの借入れであっても、返済能力を超えた借入れは避けるべきです。総量規制の対象外だからといって、無理な借入れをすることは多重債務につながる可能性があります。

多重債務状態で返済が滞ると、信用情報機関に延滞情報が登録されます。この情報は一定期間(通常5〜10年)保存され、その間は新たな借入れやクレジットカードの作成が難しくなります。

また、債務整理を行った場合も、その事実が信用情報に記録されます。ただし、返済を完了させることで、徐々に信用を回復することは可能です。

信用情報の回復には時間がかかりますが、債務整理によって借金問題を解決し、適切な返済計画を立てることが長期的には信用回復につながります。

まとめ

多重債務とは、複数の金融機関からの借入れがあり、その返済が困難になっている状態を指します。収入に対して返済額が大きくなりすぎたり、借金の返済のために新たな借入れを繰り返したりする「負のスパイラル」に陥っている状況です。

かつては深刻な社会問題となっていた多重債務問題ですが、貸金業法の改正や総量規制の導入により、近年では改善傾向にあります。しかし、依然として多くの方が多重債務に苦しんでいるのが現状です。

多重債務から抜け出すためには、任意整理、個人再生、自己破産などの債務整理の方法があります。どの方法が最適かは個々の状況によって異なるため、専門家への相談が重要です。

また、多重債務を防ぐためには、収入に見合った生活設計や計画的な借入れ、金融知識の習得などが重要となります。返済が困難になりそうだと感じたら、早めに専門家に相談することが問題解決の近道となります。

杉山事務所では、多重債務でお悩みの方に対して無料相談を実施しています。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。経験豊富な専門家が、ご相談者様の状況に合った最適な解決策をご提案いたします。

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