調停調書(ちょうていちょうしょ)とは?

調停調書とは、特定調停において債権者が返済計画に同意した場合に作成される公的文書です。債務整理の一種である特定調停が成立したことを証明し、合意された返済条件を明確に記録するものです。

裁判所(調停委員会)によって作成されるこの文書は、確定判決と同等の法的効力を持ち、債務者と債権者の双方を法的に拘束します。債務整理を行う上で非常に重要な役割を果たす公的書類といえるでしょう。

調停調書の基本

定義 特定調停において合意された返済計画を記載した公的文書
作成時期 債権者が返済計画に同意した時点で作成されます
作成者 裁判所(調停委員会)が作成する公的文書です
必要性 特定調停成立の証明および返済条件を明確にするために必要です

調停調書は特定調停において非常に重要な文書です。債務者と債権者の間で合意された返済計画が法的な効力を持つための基礎となります。当事者間の合意内容が明確に記録されるため、後々のトラブルを防ぐ役割も果たします。

調停調書に記載される内容

  • 当事者(債務者・債権者)の氏名や住所などの基本情報
  • 債務の種類、債権額(元金・利息・遅延損害金の内訳)
  • 合意された返済計画(返済金額・返済期間・返済方法)
  • 利息遅延損害金に関する免除や減額の取り決め
  • 分割払いの場合の各回の支払期日と支払金額
  • 特約事項(期限の利益喪失条項など)

調停調書には、債務整理における重要な合意事項がすべて記載されます。特に返済計画については詳細に記録され、各回の支払金額や支払期日が明確に定められています。これにより債務者は計画的な返済が可能になり、債権者も回収計画が立てやすくなります。

調停調書の法的効力

確定判決と同等の効力 調停調書は裁判所での確定判決と同じ法的効力を持ちます
債務名義性 強制執行の際の根拠(債務名義)となる法的効力があります
契約の変更 従来の債務契約は調停調書の内容に変更されます
拘束力 債務者と債権者の双方を法的に拘束します

調停調書の最大の特徴は、確定判決と同等の法的効力を持つ点です。これにより、債務者が返済を怠った場合、債権者は改めて訴訟を起こすことなく、この調停調書を基に強制執行の申立てが可能になります。そのため、調停調書に記載された返済計画は必ず守る必要があります。

調停調書のメリット

法的安定性 合意内容が法的に保証され、当事者間のトラブルを防止できます
債務整理の証明 債務整理が正式に行われたことを証明する公的文書となります
返済条件の明確化 新たな返済条件が明確に記録され、計画的な返済が可能になります
利息・遅延損害金の軽減 多くの場合、将来利息や遅延損害金の一部または全部が免除されます

調停調書によって債務整理が正式に成立すると、債務者は返済条件の緩和というメリットを得られます。多くの場合、将来発生する利息や遅延損害金の減免、返済期間の延長などの条件が含まれるため、債務者の負担が軽減されます。また、返済条件が明確に定められることで、計画的な返済が可能になります。

調停調書に関する注意点

内容の確認 調停調書作成前に内容を十分確認することが非常に重要です
返済計画の遵守 調停調書に記載された返済計画を必ず守る必要があります
不履行のリスク 返済を怠ると強制執行のリスクがあることを認識しておきましょう
変更の困難さ 一度作成された調停調書の内容変更は原則として困難です

調停調書は強い法的効力を持つため、その内容には細心の注意を払う必要があります。作成前に返済計画が現実的で実行可能なものかどうかをしっかり確認することが重要です。また、返済計画を守れなかった場合は強制執行のリスクがあることを十分に理解しておきましょう。

よくある質問

調停調書は確定判決と同等の効力を持つため、原則として一方的に変更することはできません。

ただし、病気や失業などにより収入が大幅に減少した場合など、予期せぬ事情の変更があれば、債権者との合意のもと、再度調停を申し立てて変更することは可能です。

返済が困難になった場合は、放置せずに早めに債権者や法律の専門家に相談することをおすすめします。

調停調書には債務名義としての効力があるため、返済を怠った場合、債権者は裁判所に強制執行を申し立てることができます。

その結果、給与や預金の差し押さえ、財産の競売などの強制執行を受ける可能性があります。返済が困難になった場合は、すぐに債権者に連絡し、対応を相談することが重要です。

調停調書の謄本を紛失した場合は、調停が行われた裁判所に申請することで再発行が可能です。

申請の際は、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)と手数料が必要になります。調停調書は重要な法的文書ですので、再発行後は適切に保管しておくことをおすすめします。

特定調停は債務整理の一つの手続き方法であり、債務者と債権者が裁判所の仲介のもとで話し合いを行うプロセス全体を指します。

一方、調停調書は特定調停が成立した際に作成される文書です。つまり、特定調停は手続きのことであり、調停調書はその結果作成される文書という関係になります。

まとめ

調停調書は特定調停において債権者が返済計画に同意した際に作成される重要な公的文書です。債務者と債権者の基本情報、債務の内容、そして合意された返済計画が詳細に記載されます。

この文書は確定判決と同等の法的効力を持ち、両当事者を法的に拘束します。債務者にとっては返済条件の緩和というメリットがある一方で、返済計画を必ず守る必要があるという責任も伴います。

調停調書に記載された返済計画を怠ると、強制執行のリスクがあるため、内容をしっかり確認し、返済計画は必ず守ることが重要です。また、やむを得ない事情で返済が困難になった場合は、放置せず早めに債権者や専門家に相談することをおすすめします。

債務整理は人生の再スタートを切るための重要なステップです。調停調書の重要性と効力を十分に理解した上で、計画的な返済を進めていきましょう。債務整理についてお悩みの方は、杉山事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。

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