プロミスに過払い金請求できる条件と返還率や期間の目安【2022年最新】
プロミスは2007年以前まで、利息制限法を超える金利で貸し付けをおこなっていました。そのため、2007年以前にプロミスから借り入れをしている場合は過払い金が発生している可能性が高いです。
借り入れ状況により異なりますが、プロミスは比較的高い返還率で過払い金を取り戻すことができます。
しかし、過払い金請求をする際の方法を間違えると過払い金を取り戻すどころか、ブラックリストに登録されてしまうリスクもあるため注意が必要です。
■もくじ
プロミスで過払い金が発生している条件
プロミスは貸金業者としての長い歴史をもっており、最近ではCM広告も多く打ち出しているためその名が知られるようになりました。現在は三井住友フィナンシャルグループに属し、プロミスは商品名、社名はSMBCコンシューマーファイナンスとなっており、経営状態が安定している貸金業者です。
しかし、プロミスは貸金業者としての歴史が長いため、法定金利を超えたいわゆる「グレーゾーン金利」での貸し付けをおこなっていた時代があり、過払い金が発生している取り引きがあります。プロミスで過払い金が発生している可能性があるのは、次の3つの条件のいずれかに該当する場合です。
- 2007年以前にプロミスで借り入れをしている場合
- 2008年4月以前にポケットバンクで借り入れをしている場合
- 2007年8月以前にクラヴィスからプロミスに切り替えている場合
特に取り引き期間が長いと過払い金が多く発生している可能性が高くなりますが、2007年以降にプロミスから借り入れを始めた場合は、法定金利内の貸し付け(年18%以下の金利)をしているため、取引期間が長くても原則として過払い金は発生していません。
しかし、プロミスとの取引期間が長い方は過払い金が発生しているかどうかだけでも、司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
2007年以前にプロミスで借り入れをしている
2007年以前からプロミスで借り入れをしている場合は、過払い金が発生している可能性が高いです。過払い金が発生しているのは、次の条件のいずれかを満たしている場合です。
- 2007年12月19日より前から取引をしているが完済していない場合
- 2007年12月19日より前から取引をしていて完済したが、完済から10年経過していない場合
- 2007年12月19日より前から取引をしていて完済と借り入れを繰り返している場合
2010年に出資法が改正されるまで、貸金業者が貸し付けの際に守らなければならない法律は2つありました。
ひとつが「利息制限法」であり、上限金利が15%~20%(借り入れ金額によって変動)上限利息を超えても罰則規定(刑事罰)はないものと、もうひとつは「出資法」の上限金利一律29.2%であり、こちらは上限金利を超えると罰則規定(刑事罰)があったため、多くの貸金業者は利息制限法以上、出資法以下の金利(グレーゾーン金利)で貸し付けをおこなっていました。
プロミスも2007年12月19日まで金利25.5%で貸し付けをおこなっていたため、過払い金が発生している取り引きがあります。なお、現在は法改正がおこなわれ、出資法の上限金利が20%に引き下げられたため、グレーゾーン金利は撤廃されています。
法改正は2010年に施行され、その数年前から金利を下げた貸金業者もいましたが、プロミスは2006年に最高裁判所が「グレーゾーン金利は無効」という趣旨の判決を下したことから、法改正がおこなわれる前の2007年12月から利息制限法で定める範囲内の利率で貸し付けをおこなっています。
そのため、2007年12月以前から取り引きをしていて完済をしていない場合や、完済してから10年が経過していない場合は過払い金請求ができる可能性が高いです。
プロミスから借り入れと完済を繰り返している場合は注意
2007年12月以前からプロミスと取り引きをしていて、完済と借り入れを繰り返している場合は注意が必要です。完済と借り入れを繰り返している場合、それぞれの取り引きが「一連の取り引き」とみなされるか「分断した取り引き」とみなされるかにより、時効の起算日が異なるからです。
最終取り引きから10年が経過していると時効が完成してしまい、過払い金請求をすることができません。分断した取引とみなされた場合、時効の起算日は早くなってしまうため時効が完成している可能性が高くなってしまいますが、一連の取引とみなされた場合は時効の起算日が遅くなるため時効が完成していない可能性が高くなります。
過払い金は、払い過ぎた利息であるため、発生している場合は早急に取り戻すべきです。過払い金が発生しているのか、時効が完成してしまっているのではないか悩んでいるのであれば、一度司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
2008年4月以前にポケットバンクで借り入れをしている
「ポケットバンク」というブランド名で貸し付けをおこなっていた三洋信販は、2010年にプロミスに吸収合併されていますが、ポケットバンクで借り入れをしていて過払い金が発生している場合、プロミスに対して過払い金請求ができます。
ポケットバンクは、法改正がされるまで金利29%で貸し付けをおこなっていましたが、2008年4月に利息制限法の範囲内まで金利を引き下げています。そのため、2008年4月以前にポケットバンクから借り入れをしている場合には、過払い金が発生している可能性があります。
なお、ポケットバンクに対して過払い金請求する場合、今現在もプロミスに返済をしている方は注意が必要です。ポケットバンクに過払い金請求をすると、戻ってきた過払い金はプロミスの返済にあてられるため、過払い金でプロミスの返済がゼロにならなかった場合は、ブラックリストに載ってしまう可能性が高くなります。
ポケットバンクの借り入れは完済していてもプロミスからの借り入れをしている場合には、過払い金で完済できるのかを計算してから手続きをすることをおすすめします。
2007年8月以前にクラヴィスからプロミスに切り替えている
2012年7月に破産したクラヴィスは、2007年ごろ貸金業関連法の改正の影響を受け、全店舗を閉鎖して新規貸し付けを停止しています。その際に、顧客に対して「クラヴィスからプロミスへ契約を切り替えができる」という趣旨の連絡をしています。
クラヴィスも利息制限法を超える金利で貸し付けをおこなっていたため、過払い金が発生している可能性が高いです。クラヴィスからプロミスへ契約を切り替えている場合、プロミスに対して過払い金請求ができます。
しかし、クラヴィスからプロミスへ契約の切り替えをおこなわず、債権を譲渡した場合には過払い金は発生していません。
クラヴィスからプロミスへ切り替えたかどうかは、取引履歴を確認すればわかります。クラヴィスとの取引履歴は現在プロミスが引き継いでいるため、プロミスに対し取引履歴を開示するように依頼することでわかります。
取引履歴は個人で取り寄せることもできますが、取り寄せ方によっては過払い金請求ができなくなってしまう恐れがあります。取引履歴を取り寄せる前に、専門家に一度相談してみることをおすすめします。
プロミスで過払い金請求ができないケース
プロミスに対して過払い金請求ができないのは、次のような場合です。
- アットローンと取り引きしていた場合
- プロミスクレジットカードのショッピング枠を利用している場合
- 過去に過払い金請求もしくは任意整理をしている場合
アットローンと取り引きしていた場合
2011年にプロミスに吸収合併されたアットローンは、利息制限法で定められていた範囲内で貸し付けをおこなっていたため、過払い金が発生していません。
プロミスが利息制限法の範囲内まで金利を下げたのは2007年12月です。つまり、2007年12月以降に吸収合併したアットローンとの取り引きについては過払い金は発生しません。
プロミスクレジットカードのショッピング利用分
プロミスのクレジットカードに限らず、クレジットカードで過払い金請求ができるのはキャッシング枠を利用したときのみです。
クレジットカードのショッピング枠は「借り入れ」ではなく「立替金」として扱われているため、利息が発生していません。また、クレジットカードのショッピング枠で分割払いをした際の分割手数料も「手数料」であって「利息」ではありません。
そのため、クレジットカードのショッピング枠では過払い金が発生することはありません。
過去に過払い金請求もしくは任意整理をしている
過去に過払い金請求をして和解した貸金業者に対しては、再び過払い金を請求することはできません。
また、過去に返済がツラくなったなどの理由で「将来過払い金を請求しない」という条件で利息分をカットしてもらっていたり、減額してもらっていたりするなど任意整理をしている場合も、過払い金請求ができない可能性があります。
貸金業者に過払い金請求をして和解していたり任意整理をしていたりする場合、貸金業者と交わす書面には、一般的に「債権債務がないことを確認する」という趣旨の文言が記載されます。
「債権債務なし」とは「この書面に書かれていること以外の権利は、お互いに主張できない」というような意味があります。この場合の「債権」とは貸金業者が金銭を受けとる権利、「債務」とは金銭を支払う義務のことです。
しかし、「債権」は貸金業者が金銭を受け取る権利だけではありません。過払い金を請求する権利も「債権」です。
つまり、「仮に過払い金が発生していたとしても、過払い金はないものとする」という条件で書面を交わしたということとなり、過払い金請求権を放棄したことになります。
そのため、過去に過払い金請求していたり、任意整理をしていたりする貸金業者と「債権債務なし」という書面を交わしている場合には、過払い金請求ができません。
プロミスに過払い金請求をする際の注意点
プロミスに対して過払い金請求をする場合、次の点に注意する必要があります。
- プロミスと吸収合併した会社がある場合
- 時効が完成していないか
- プロミスから借り入れができなくなる可能性
プロミスと合併した会社との取引があったかどうか、時効が成立しているのかどうかなど、自分では分からなくなっている場合は、一度司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
プロミスと吸収合併した会社がある場合
プロミスへ過払い金請求をすると、ポケットバンクやアットローンなど吸収合併した会社に対しても過払い金請求をすることになるため注意が必要です。
たとえば、プロミスで発生した過払い金よりもポケットバンクやアットローンの債務の方が多い場合には、債務整理扱いとなってしまうため、いわゆるブラックリストに登録されてしまいます。
ブラックリストに登録されないようにするためには、ポケットバンクやプロミスに過払い金がどれくらい発生しているのかをきちんと確認する必要があります。過払い金があるかどうかは取引履歴で確認できます。
なお、プロミスに対して取引履歴の開示請求をしただけでは、ブラックリストに登録されることはありません。
時効が完成していないか
過払い金とは払い過ぎた利息のことで、過払い金が発生しているのであれば取り戻す権利があります。しかし、過払い金請求には時効があります。
民法改正により、2020年4月1日以降に完済した場合、過払い金請求の時効は「最後の取引日から10年」もしくは「権利があることを知ってから5年」のどちらか早い方で時効が完成することになりました。
しかし、2020年4月1日より前に完済した取引に関しては、改正前の「最後の取引日から10年」という規定が適用されます。たとえば、2010年12月に完済していた場合、2020年12月に時効が完成してしまい過払い金を請求することができなくなります。
なお、プロミスとの取り引きにおいて、完済と取引を繰り返しているよう場合には時効が完成している場合があるため注意が必要です。完済した取引とその後の取引が「一連の取引」とみなされるか「分断した取引」とみなされるかにより時効の起算日が違い、過払い金請求をしないままでいると、過払い金を取り戻せなくなるかもしれません。
借り入れと完済を繰り返している場合は、時効が完成している恐れがありますのでなるべく早く確認することをおすすめします。
プロミスから借り入れができなくなる可能性がある
プロミスに対して過払い金請求をおこなった場合、プロミスはその情報を顧客情報として保管しているため(社内ブラックリスト)、過払い金が返還された時点で新たに借り入れできなくなる可能性があります。
顧客情報はグループ会社で共有しているため、プロミスに関連する企業とローンを組む場合には一般的に審査が通らないといわれていますが、審査基準は企業によって異なります。
過払い金請求をしても新規でローンを組める企業もありますので、ローンの借り入れを検討している際は一度専門家に相談してください。
プロミスに過払い金請求した場合の返還率と期間の目安
過払い金請求には、話し合いによる和解をする方法と、返還額に納得できなかった場合に裁判をおこなう方法があります。
返還率や返還期間は借り入れ状況などにより異なりますが、専門家に依頼した方が高い返還率で早く過払い金を取り戻すことができます。
話し合いのみで解決した場合のプロミスの返還率と期間
専門家に依頼した場合
返還までの期間
3ヶ月~
返還率
~70%
プロミスの過払い金請求を専門家に依頼して話し合いで和解した場合、目安として過払い金の60%~70%を取り戻すことができます。過払い金が返還されるまでの期間は平均すると3ヵ月から4ヵ月が目安になります。
個人でおこなう場合
返還までの期間
6ヶ月~
返還率
~40%
個人でプロミスと話し合いをした場合の返還率は多くても40%です。個人で過払い金を請求した場合にはプロミスも強気の交渉をしてくるため、不当に低い額を提示される場合があります。
過払い金が返還されるまでの期間は6ヵ月から1年と、専門家に依頼した場合よりも長くなることが多いです。
裁判で解決した場合のプロミスの返還率と期間
専門家に依頼した場合
返還までの期間
4ヶ月~
返還率
~100%+利息
プロミスの過払い金請求を専門家に依頼して、裁判で解決した場合には過払い金100%のほかに、過払い金に年5%の利息を付けて取り戻すことができます。
過払い金が返還されるまでの期間は、平均すると4ヵ月から5ヵ月になります。話し合いのみで解決するよりも期間は長くなりますが、取り戻せる過払い金の金額が多くなるメリットがあります。
個人でおこなう場合
返還までの期間
12ヶ月~
返還率
~60%
プロミスに対して個人で裁判をおこなった場合の返還率は60%程度です。過払い金を取り戻せるまでの期間は1年半前後が目安になります。
プロミスに過払い金請求をしたときの争点
プロミスに対し過払い金請求をして裁判をおこした場合、次のような争点が発生する可能性があります。
- 取引が分断か一連か
- 返済の遅れの有無(遅延損害金)
- 債権の切替契約について
過払い金請求を専門家に依頼せずに個人でおこなっている場合、話し合いがスムーズに進まなかった時点で専門家に相談することもできます。
プロミスが提示した過払い金額に納得できない場合や不利な条件で和解をする前に、一度、専門家に相談してみることをおすすめします。
取引が分断か一連か
プロミスに限らず貸金業者から借り入れをしている場合、一度完済し、その後新たに借り入れをしたことがある場合、貸金業者は「分断した取引」を主張してきます。分断した取引とは、完済した取り引きとその次に借り入れをした取り引きを別々の取引とみなすことです。
分断した取引と認められた場合、それぞれ別々に引き直し計算をすることになるため、過払い金の額に大きな差が生じます。また、完済した取引の最後の取引日から10年が経過していた場合、時効が完成してしまうため、過払い金を請求することができなくなります。
プロミスの場合、完済した取引と次の取引の空白期間が1年以上ある場合は、分断した取引を主張してくることが多い傾向にあります。一連の取引と主張するためには、カード失効の手続きの有無、空白期間中のプロミスとの接触状況、途中で解約手続きをしているかどうかなどを立証する必要があります。
プロミスの取引履歴には「解約」という記載はされませんが、取引履歴の「契約金額」の欄に金額が記載されている場合には再契約しているとみなされます。しかし、「契約金額」の欄に記載がされていなければ、一連の取引として主張しやすくなります。
返済の遅れの有無(遅延損害金)
返済に遅れがあった場合、プロミスは「期限の利益喪失」を主張してきます。一般的に貸金業者との契約には「返済に遅れがあった場合、残った金額を一括して、遅延損害金を付して返還する」という条項が記載されています。
プロミスは返済に遅れがあった場合には、支払いが遅れた日以降は利息制限法で定められた利率ではなく、遅延損害金の利率に基づいて過払い金を計算するように主張してきます。遅延損害金の利率は遅れたことに対するペナルティとしての意味合いがあり、プロミスの場合は遅延損害金の利率を20%に設定しています。
遅延損害の利率で引き直し計算をした場合には、過払い金の額が少なくなってしまいますが「返済が遅れた日数分のみ遅延損害金がかかる」という判例があるため「返済が遅れた日以降は遅延損害金の利率で計算する」というプロミスの主張が認められることはあまりありません。
債権の切替契約について
プロミスは2007年ごろから、当時プロミスの子会社であった株式会社クラヴィスの顧客に対して、クラヴィスからプロミスへ契約を切り替えることを勧めてきました。
その後、このときにプロミスへ切替契約をした方に対して、クラヴィスとの取引において発生した過払い金をプロミスが支払うかどうかについて争われていました。
当時、最高裁判所は「クラヴィスとの取引で発生した過払い金はプロミスが支払うべきで、クラヴィスの取引とプロミスの取引は一連の取引とみなすべきである」ことを認めました。
しかし、プロミスは現在でもこの点について徹底的に争っており、地方裁判所で敗訴した場合には必ず控訴してくるような状態が続いています。
プロミスへ過払い金請求を検討しているなら
プロミスとの取引で発生した過払い金は、比較的高い返還率で取り戻すことができます。過払い金請求は個人でおこなうことも可能ですが、専門家に依頼した場合は個人で請求するよりも早く、高い返還率で過払い金を取り戻せる傾向にあります。
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