債権認否一覧表(さいけんにんぴいちらんひょう)とは?
債権認否一覧表とは、民事再生手続きにおいて、債務者が債権者から提出された債権届出の内容を確認し、その債権を認めるかどうかの判断結果をまとめた公式文書です。
民事再生手続きを進める上で、どの債権をいくら認めるかを明確にするための重要な書類であり、再生計画策定の基礎となります。
■もくじ
債権認否一覧表の基本知識
定義 | 債務者が届出された債権の内容を精査し、認めるか否かを記載した公式文書 |
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作成主体 | 再生債務者(民事再生手続きを申し立てた債務者) |
主な対象手続き | 民事再生手続き |
法的位置づけ | 民事再生法において作成が義務付けられている書類 |
債権認否一覧表は民事再生手続きの中核となる書類で、債務者が自らの債務状況を正確に把握し、再建計画を立てる基礎となります。
債権認否一覧表の役割と目的
- 債権者から届出された債権内容の整理と確認
- 債権の存在と金額の明確化
- 再生計画立案のための基礎資料作成
- 債権者間の公平な扱いの確保
- 透明性のある債務整理プロセスの実現
債権認否一覧表を作成することで、債務者は自身の負債状況を把握し、適切な再生計画を立案できます。また、債権者にとっては自分の債権がどのように扱われるかを確認する重要な資料となります。
債権認否一覧表の記載内容
債権者情報 | 債権者の氏名・名称、住所、連絡先など |
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債権の内容 | 債権の種類、金額、利息、遅延損害金、発生原因など |
認否の結果 | 債権を全部認める、一部認める、または全部否認するかの判断 |
認否の理由 | 債権を否認または一部認める場合の具体的理由の説明 |
担保権の有無 | 債権に担保が付いているかどうかの情報 |
債権認否一覧表には債権の詳細情報と、それに対する債務者の認否判断が明確に記載されます。特に否認や一部認定の場合は、その理由を具体的に記載することが重要です。
債権認否の種類
全部認める | 届出された債権の内容をすべて認める判断 |
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一部認める | 届出された債権の一部のみを認め、残りは認めない判断 |
全部否認する | 届出された債権の全額を認めない判断 |
債務者は各債権について、自社の帳簿や資料と照合しながら、正確に認否判断を行います。金額の相違や債権の発生原因に疑義がある場合は、一部認定や否認の判断をすることになります。
債権認否一覧表の作成手順
- 債権者からの債権届出書を受理する
- 届出内容と自社の帳簿・資料を照合する
- 各債権について認否の判断を行う
- 否認や一部認定の場合はその理由を明確にする
- 認否結果をまとめて一覧表を作成する
- 期限内に裁判所へ提出する
債権認否一覧表の作成は専門的な知識が必要なため、司法書士や弁護士などの専門家のサポートを受けながら進めることをおすすめします。
債権認否一覧表の効果
債権の確定 | 異議がなければ、認められた債権が確定します |
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再生計画への反映 | 確定した債権額に基づいて再生計画が策定されます |
異議申立ての基礎 | 債権者が認否結果に不服がある場合の根拠となります |
弁済の根拠 | 確定した債権は再生計画に基づく弁済の対象となります |
債権認否一覧表によって確定した債権は、再生計画における弁済の基礎となります。債権者と債務者の双方にとって、債権関係を明確にする重要な意味を持っています。
債権認否一覧表作成時の注意点
- 正確な帳簿や資料に基づいて判断すること
- 特定の債権者を有利に扱わないこと
- 否認や一部認定の場合は具体的かつ明確な理由を記載すること
- 法定期限内に必ず作成・提出すること
- 専門家のアドバイスを受けながら作成すること
- 記載内容に誤りや漏れがないか確認すること
債権認否一覧表の作成ミスは再生手続き全体に影響を与える可能性があるため、細心の注意を払って作成する必要があります。特に否認や一部認定の理由は後の紛争を防ぐためにも明確に記載しましょう。
債権者側の対応
認められた場合 | 再生計画に基づいて弁済を受けることができます |
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否認された場合 |
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一部認められた場合 | 認められた範囲で弁済を受け、否認された部分については異議申立てなどの対応を検討します |
債権者は債権認否一覧表の内容を確認し、認否結果に不服がある場合は法定期間内に異議申立てなどの手続きを取る必要があります。期間を過ぎると権利が制限されるため注意が必要です。
よくある質問
債権を否認された場合、以下の対応が可能です。
まず、債権調査期間内に異議を申し立てることができます。その後、債権査定の申立てや訴訟提起を行うことができます。
これらの手続きには期限があるため、否認された場合は速やかに司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
債権認否一覧表は、債権届出期間の満了後、裁判所が定めた債権調査期間開始日の3日前までに提出する必要があります。
期限を守らないと手続きに支障をきたす可能性があるため、早めに準備を始めることが重要です。
具体的な期限は裁判所からの通知で確認できますので、必ず確認するようにしましょう。
債権の一部のみが認められた場合、認められなかった部分は否認されたものとして扱われます。
認められた部分については、その範囲で債権が確定し、再生計画に基づく弁済の対象となります。
認められなかった部分について不服がある場合は、異議申立てや債権査定の申立て、訴訟提起などの手続きを取ることができます。
法律上は債務者自身が作成することも可能ですが、専門的な知識が必要なため、実務上は司法書士や弁護士などの専門家のサポートを受けることをおすすめします。
債権認否一覧表の作成ミスは再生手続き全体に影響を与える可能性があるため、正確性を期すためにも専門家に相談することが望ましいでしょう。
まとめ
債権認否一覧表は、民事再生手続きにおいて債務者が債権者からの届出債権を認めるか否かを判断し、その結果をまとめた重要な文書です。
この一覧表は、債権の存在と金額を明確にし、再生計画の基礎資料となるとともに、債権者間の公平性を確保する役割を果たします。
債権認否の種類には「全部認める」「一部認める」「全部否認する」の3種類があり、債務者は自社の帳簿や資料と照合しながら、各債権について適切に判断する必要があります。
債権認否一覧表は法定期限内に作成・提出することが求められ、作成に当たっては正確性、公平性、透明性を確保することが重要です。
債権者は認否結果に不服がある場合、法定期間内に異議申立てなどの手続きを取ることができますが、期限を過ぎると権利が制限されるため注意が必要です。
債権認否一覧表の作成は専門的な知識が必要なため、債務整理に関する悩みや疑問がある場合は、杉山事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。
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